親日ミャンマー人が現地で経験した2度目のクーデター
(18)武力というハードに対抗するソフト
(本稿は2021年2月執筆です)
今日は2月22日の「22222 REVOLUTION」が無事に開催された。全国で4~500万人の市民が参加し、運動自体は大成功だったと思う。
今回の市民の行動において、軍評議会を追い込むための条件には以下の3つを挙げた。それらが実現できれば、民主主義を取り戻せると信じている。
①デモ活動
②NLDの再始動
③CDM活動
©Zin Min
軍評議会は武力行使でしか市民を抑える方法を知らない。それは時代錯誤な行動であり、グローバル社会においても鎖国的な発想で国をコンロトールしてきた。先進的な視点はなく、今もなお民主主義を理解せず、またそうした教育もされてこなかった。武力で市民を弾圧するという思想が国家を凋落させてしまい、そもそも彼らの人間性は欠落している。武器や権力がなければ何もできない。一方、Z世代は武器というハードがないからこそソフトで対抗するしかない状況となっている。
①全国でのデモ活動は非暴力を掲げ、団結力を示した形となった。それは軍評議会にとっては驚異に感じただろうし、今後も続けていかなくてはならない。
②NLDの再始動では、アメリカのミャンマー国連大使がNLDを支持し、国際社会には十分なアピールとなった。世界がNLD政権を認めれば、軍事政権は孤立を避けられない。
③軍評議会がボイコットしている公務員に仕事に戻るよう命令しても結果は出ていない。今後も軍評議会は対策に追われるだろうし、CDMの効果が出ているのは間違いない。
つまりは①~③において、一定の成果を上げているのは事実。今後も長い道のりになりそうだが、ハードにはソフトで対抗し続けるしかないと思っている。
(続く)
Bandee
1965年、ヤンゴン市生まれ。88年、ヤンゴン大学在学中に8888民主化運動に参加。91年に日本に留学し、語学を学ぶ。2004年にミャンマーに帰国後、ボランティアの日本語講師となる。現在は主に人材派遣の育成プログラムを作成し、教育事業を行っている
バックナンバー
・(1)「クーデター発生から2日目の思い」
・(2)「アウン・サン・スーチー女史が国民に託した思い」
・(3)「なぜミャンマー国軍は強いのか?」
・(4)「なぜアウン・サン・スー・チー女史は国民に支持されるのか」
・(5)「今後のミャンマーの行方」
・(6)「私が為すべき役目とは」
・(7)「軍事政権への反対運動」
・(8)「国軍が戦略を変更したのはなぜか」
・(9)「ミャンマーの正義を守るための闘い」
・(10)「攻撃してくる象はまず一歩引く」
・(11)「2万4,000人の囚人が世に放たれる」
・(12)「上有政策下有対策」」
・(13)「民主化後、国軍幹部は処罰されるべきだった」
・(14)「日本人に伝えたい2つのこと」
・(15)「長期化も予想される籠城戦 vs 兵糧攻め」
・(16)ついに国軍による発砲で死傷者が
・(17)CDMは歪んだ構造を変える絶好の機会