親日ミャンマー人が現地で経験した2度目のクーデター

第5回「今後のミャンマーの行方」

 2021年2月7日、軍政に抗議するための民衆による反対運動デモが起こった。軍政は抗議活動の様子を世界に拡散させないためFacebookを遮断。これに対抗するように、すぐさま市民もVPNを利用するなどの対策を採ったが、軍政はついにはスマホのデータ通信を止めた。

スーレーパゴダ付近の群衆(2月7日撮影)

 現在、1988年時の学生運動時代にリーダーだった人物たちが市民に指示を出し、学生たちと情報を共有しながら行動するよう促している。大きく以下の3つが行動計画となっている。

1⃣NLD当選議員などに呼びかけて、議会の成立を図ること。実際、当選議員たちは独自で集会を開き、政策を話し合っているという。1990年代にも同じ動きがあったが、軍政は断固として認めず、皆が逮捕され、長期間に渡って刑務所に入れられたという経緯がある。
2⃣市民不服従運動(CDM)に皆が参加するように呼びかけている。8888運動の際も同じ運動があったが、多くの人間が職を解かれ、または逮捕された。
3⃣CDMを全国的に行うことで行政を麻痺させる。それも8888運動のときとさほど変わりなく、果たしてどれほどの効果があるのかはわからない。

 ただ、今回は昔と違って軍政側に正当性はなく、一見綿密な計画があるように見えるものの、過去のやり方を踏襲しているだけで中身がない。一方、民衆は過去と大きく違い、若者ならではのデジタル活用といった知恵に加え、学生運動をやっていた先人たちの経験がある。
 今回は国際的な圧力もあり、NLD議員たちの行動力と少数民族武装勢力の支援があり、それは私が過去に経験した状況とは大きく異なっている。それらがうまく好転することで、市民を勝利に導くと期待している。

(続く)

Bandee
1965年、ヤンゴン市生まれ。88年、ヤンゴン大学在学中に8888民主化運動に参加。91年に日本に留学し、語学を学ぶ。2004年にミャンマーに帰国後、ボランティアの日本語講師となる。現在は主に人材派遣の育成プログラムを作成し、教育事業を行っている