日本在住17年目のミャンマー人が見たクーデター

CDMがノーベル平和賞にノミネート
(本稿は2021年3月執筆です)

ミャンマーのCDMがノーベル平和にノミネートされた話をまとめます。

2021年3月22日にオスロ大学の人類学教授6人により、ミャンマー国民がクーデターに対するの抗議手段に使っているCDM(市民的不服従運動)がノーベル平和賞候補に推薦されました。

ミャンマーでのCDMについてはこちらの記事でまとめています。

CDMとは市民的不服従運動(Civil Disobedience Movementの略号)です。市民的不服従とは市民が法律や命令に非暴力的手段で公然と違反する行為です。ミャンマー国民が2021年2月1日不当にクーデターを起したミャンマー国軍...

・ノーベル平和賞への推薦内容

2021年2月1日にミャンマー国軍が大統領とスーチー氏を始めた多数の政治家を拘束しクーデターを起しました。スーチー氏の率いるNLD党は非暴力で反抗するように国民に呼びかけました。Z世代の若者がデモを牽引し医者、学生、女性、少数民族、LGBT、労働者、芸能人、宗教関係者などが様々団体や組織が参加しました。

ミャンマー国軍はデモに対して武力で弾圧して2021年3月16日時点で2,181人を拘束し、子供を含む202人の罪のない国民を虐殺しました。国軍はデモ参加者とデモ周辺の住宅に実弾で打込みました。頭の狙い撃ち或いは死ぬまで暴力を振るなどの方法で計画的に弾圧しました。国軍は国民の怒りを誘惑し暴動まで発展するように仕向けていたのです。暴動まで発展すれば国軍は武力弾圧を正当化できるようになるためです。

国民は全国的なデモ活動、公務員による職務放棄、鉄鍋叩き、張り紙などの非暴力な手段で対抗を徹底しました。国軍は弾圧を強めて来ましたがそれでも国民は団結してデモ活動による反抗とCDMを続けて耐えました。今回ノーベル平和書にノミネートとして申請した理由はこの非暴力な方法で民主主義の実現と独裁政権への反抗をを認めるためです。デモ活動が拡大するにすれ国民の要求がより広範囲に広まって行きました。NLD党への政権の返還から真の民主主義と平和の実現への要求と変化して行きました。

CDMは、CRPHが少数民族と連携して国民全員が参加できる活動へと変わり、国軍の分離統治政策への抗議と連邦政府実現を達成しようとしています。これが成功すれば長らく続いた国軍による独裁政治と内戦が消滅すると思っています。ミャンマーの国民は自分自身をCDMの一部として認識して抗議を続けています。今回のノーベル平和賞への推薦は、ミャンマー国民が民主主義と平和の実現のために戦っていることへの敬意の表明でもあります。

CRPHについてはこちらでまとめています。

2021年2月5日に結成されたミャンマーの連邦議会代表委員会(Committee Representing Pyidaungsu Hluttaw)の略称です。クーデターで新政権の発足が出来なかったため、2020年11月の選挙で当選した議員を中心に発足した臨時政府で...

・CDMという強力な武器

1988年を経験した筆者は国軍の弾圧がエスカレートして国民の犠牲者が出ることを知っていたので国軍は武力でしか倒せないとばっかり思っていました。ただ武力で戦い始めて30年経ちますが未だに歯が立たないのが現実です。今国軍が苦しめられているのを見るとCDMこそがものすごい効力のある武器だと認識できます。CDM運動は非暴力で平和的な手段のため世代や分野を問わず全員が参加できるメリットもあります。

武力が必要ないからこそすべてを反抗の武器に使えるのが見えたかと思います。CDM以外にも社会的制裁(Social punishment)、ボイコット、不買運動などの権力への対抗手段がたくさんあるのを実感できました。今回のノーベル平和賞へのノミネートにより、ミャンマーの情勢が世界中からより注目され、国軍は更に圧力を受けます。

今回こそはミャンマー国民が勝ちます。それからミャンマー国軍はこの世から抹消され再び平和が訪れると信じています。

(続く)

テウインアウン
日本在住17年目のWebエンジニア
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