日本在住17年目のミャンマー人が見たクーデター

2021年2月1日にミャンマーで起きたクーデターとは?

2021年2月1日の早朝にミャンマーの国家顧問スー・チー氏と大統領のウィン・ミン氏がミャンマー国軍によって拘束されました。それ以外にも現職議員や過去に軍事政権の反抗活動をしていた著名人や作家などを含めて40人以上が不当に拘束されました。

2021年2月1日は新政権の発足日で予定通りに進めばスー・チー氏の政権が2期目を向かえます。しかし現実はクーデターという形でミャンマー国軍が武力を使って強制的に政権を強奪しました。

一夜にして不安のどん底に落ちた国民
ミャンマー国民は過去にもクーデターを3回ほど経験しています。クーデターはミャンマーと隣接するタイでもよく起きることですがタイでは政党同士の争いで国家の機関が麻痺しないように軍が一時的に介入する形です。ミャンマーはタイとは全く逆の政党の対立はなく軍による一方的な権力の掌握なので国民には受け入れられません。

こちらが日本人の西尾さんと笹本さんによるイラスト解説です。

国民は国軍に対して大規模なデモを起したり毎日20:00に一斉に鉄鍋を叩いたりして反抗しています。

軍は国民の反発を予想していて非常事態を宣言して20:00以降の外出禁止の命令を発令しました。またインターネット、電話が一時的に遮断され、民間のテレビ放送は禁止になりました。

ミャンマーは1962年以降50年に渡って国軍の独裁政権下で苦しんできました。

国軍を反抗する度に武力で弾圧されて国民が命を落とします。2007年の反抗運動では仏教の国でありながらデモに参加した僧侶がた

今回は大多数の国民に敬愛されているスー・チー氏の信念に基づいて市民的不服従運動(通称CDM)で国軍に反抗し始めました。

CDMとは?(Wikipediaからの抜粋)
市民的不服従は、良心にもとづき従うことができないと考えた特定の法律や命令に非暴力的手段で公然と違反する行為である。
わかりやすくいうと全国民による国へのストライキになります。医者、先生、銀行員、鉄道員、消防団、官公庁の職員などの公務員が一斉に仕事をやめて国家の機能を停止させる活動です。

CDMは国立病院勤務の医者から始まり、あっという間に全国に広まって国家が麻痺して停止しました。国軍は資金力があって卑劣で残虐的な組織なのでまともな人間が武力で対抗することは不可能です。ただ今回はCDMによって国軍はかなりのダメージを受けていることが現れてきています。


アジアでは最下層部類に入る発展途上国のミャンマーの国民としてはCDMに参加することは生活のリスクを伴うことでもあります。またCDMに参加した職員は警察に逮捕され投獄されることも起きています。国民はお互いに支援しあって反抗を続けています。CDM支援団体が設立されて寄付金を集めて継続的にサポートが続けられています。中国以外の国連加盟国のほとんどはこの危機を乗り越えられるようにミャンマー国民に応援をしてくれています。海外のミャンマー国民は金銭的な支援はもちろん、デモなども行って各国への支援を募っている形です。

今回はインターネットがあって世界がミャンマーの情勢を瞬時に把握できる時代です。また1988年の苦い経験を活かしながらZ世代の若者が率先して民族や宗教を超えた団結力で国軍に歯向かっています。世界的なハッカー集団のアノニマスもミャンマー国民を技術的に支援してくれています。今回こそは卑劣な国軍を解体してミャンマーを安心して暮らせる国にできると確信しています。

これからもミャンマーを暖かく見守ってくれると幸せです。

(続く)

テウインアウン
日本在住17年目のWebエンジニア
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