日本在住17年目のミャンマー人が見たクーデター

ミャンマー国軍はクーデターで何を得たか

2021年2月22日、22222にちなんで全国で殆どの企業とお店が休業になり大規模でもが行われました。国軍は2020年11月の選挙の不正を理由にクーデターを起こしましたがこれだけの人数がクーデターに抗議しているのを見れば選挙の不正という問題は安っぽい嘘であることを証明できます。

国民の反撃
国民のCDM(市民的不服従)運動によって病院、銀行、学校などの国として必要不可欠な機関が全部停止してしまいました。燃料輸入企業も業務が停止しので国内に残されている燃料はあと1ヶ月分になります。

軍司令官がクーデターと題する記事を投稿したジャーナリストは反逆罪に当たるので逮捕せよとの命令を出したことによって出版協会のメンバー26人のうち23人が表現の自由が阻害されたことを理由に脱退しました。挙げ句の果てに国軍の広報用フェースブックページも度重なる捏造と暴力的な情報の発信が発覚したことを理由にフェースブックの運営側に削除されました。

CDMの影響
民間銀行も業務停止により企業間のやり取りができずに民間企業はほとんど停止した状態です。日本の企業はクーデター当初から業務停止して工場がほとんど止まっています。飛行機の管制センターの職員の不在で民間機の離着陸もできません。2月18日に成田からヤンゴン向けに出発した救助便は異例の沖縄を経由しました。ヤンゴン空港の職員不在で燃料補給ができないため沖縄で給油したのが理由です。

写真はLatt Pan Taungにあるレアメタル発掘工場のCMD運動

国軍財閥の銀行は国民のボイコットにより資金が引き出されキャッシュが足りずに銀行業務が停止しました。MytelやMyanmarビールなどを始めとする財閥企業の製品はすべてボイコット対象になり消費されなくなりました。中国向けレアメタル発掘工場もCDMにより停止しました。

西側諸国とオーストラリアは早くも経済制裁が始めており、オーストラリアで制裁対象の国軍幹部の親族が強制送還され、関連する銀行口座がすべて凍結されました。アメリカのバイデン大統領がミャンマー国有外貨準備金の10億ドルが国軍によって引き出しができないようにするために口座の凍結をしました。他の残り50億強のドルはシンガポールの3つの銀行に分けて保管されており凍結に働きかけている模様です。

国軍のピンチ
国軍は資金不足に悩まされた挙げ句複数の有名寺院からの国民の寄付金を借用という名目で強奪をしています。デモで捕まった国民の保釈に一人に約3500円、オートバイは7000円、車には21000円の賄賂が要求されるようなことをやっています。昨日1日で約190人が逮捕され、オートバイが300台弱と車8台が没収されています。

クーデター以前に国軍と国内の武装勢力との間で平和条約協議会(PPST)が行われていましたが今や不当なクーデターを理由にPPSTに参加したすべての武装組織が国軍との交渉を拒否しました。またKNU(カレン族の元相自治武装組織)を始め、シャン族のRCSS、カチン族のKIOとKIAなどの武装組織が国民と一体になって選挙の結果を実現と不当に逮捕した方々を釈放するように訴えかけています。

軍には何が残ったか?
ミャンマー国軍に残ったのは今や誰にも読まれない国営新聞2社と武器の持たない国民を虐殺する軍隊、それから軍の使いっぱしりの警察です。金銭面では残っているのは国内でしか使用できない軍幹部に横領されたたくさんのミャンマー通貨です。今や国軍はFacebookのページすら作成できない状態です。

中国もアメリカに圧迫されて支援の手を緩め始めています。国連とASEANの圧力と自国公務員への給与支払いの負債と他国への借金で首が回らない状態です。また国民への暴力が発展すればICCの国際刑事裁判所から国際法違反で取締まられることも確実です。

自ら起こした不当な行為の重大な罪が国軍とその財閥、さらには軍幹部の家族まで影響がでたのは軍の解体を望むミャンマー国民からしたら願ったり叶ったりではあります。

(続く)

テウインアウン
日本在住17年目のWebエンジニア
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