ミャンマーのクーデター、国軍はなぜ不正選挙を指摘したのか

【コラム】【政治】 2021204

国軍が指摘する選挙の不正について

 ミャンマー国軍がクーデターを起こした理由として総選挙で不正があったと繰り返し指摘していたが、その内容はどのようなものだったのかを解説する。

 国軍の指摘は、主に選挙人の有権者名簿に不正があったことに集中している。例えばA郡区に“山田太郎”の名前と身分証明番号があり、B郡区にも同じ名前、同じ身分証明番号があり、さらにC郡区にも同姓同名、同じ身分証明番号が登録されていることを指摘している。つまり、これらの重複が1,000万件以上あると主張しているのである。

 今回の総選挙でどのような技術を使って集計したのかは公表されていないが、実は国軍が指摘しているこのような重複があるのは事実である。
 
 
不正は本当にあったのか

 では、なぜ有権者名簿にこのような重複が発生するのか。

 それは、ミャンマーには日本の戸籍に似た「住民登録家族リスト」なるものがあり、例えばヤンゴン市内の郡区に世帯を持つと、世帯主とその家族全員が登録される。

 しかし、その家族の中で息子の...

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