ミャンマーにおける年末年始の影響は|Dr.井上のミャンマー新型コロナウィルス最新情報

【コラム】【新型コロナ】 2021120

今年3回目のレポートです。私はホテル隔離から自宅隔離になりました。

では、先週の感染状況を見てみましょう。

陽性者数
先週のミャンマー全体の陽性者数は3,820人で前週よりは減少しましたが、年末年始の3,354人よりは多くなりました。ですが、ヤンゴンの陽性者数は1,193人とかなり減っており、マンダレーも902人と少し減っています。つまり2大流行地域であるヤンゴンとマンダレーでの感染は明らかに収まりつつありますが、その他の地域ははっきりと減少傾向とは言えないでくすぶっていると言うことになります。

(今週からグラフに変更します)

今回特徴的なことは、ヤンゴンは1日平均170人と明らかに減少しているのに対し、マンダレーの減少はそれほどでもなく、日によってはマンダレーの陽性者数のほうがヤンゴンより多い日が出てきたことです。マンダレーの方が人口が少ないことを考慮すると、マンダレーの方が押さえ込みがうまくいっていないとも言えます。しかし、マンダレーの方が流行が遅かったので、収まるのが遅くなってもおかしくはありません。

ヤンゴンの今後はどうなるでしょうか。中国のようにPCR検査を大量にやって町中の陽性者を見つけ出すようなことをやれば別ですが、今のように発症患者を隔離して、その濃厚接触者を調べる方法では、すべての患者を見つけ出すことは不可能です。だから一定数の患者は発生し続けると思われます。その数がどれぐらいだかはわかりませんが、100人ぐらいまで下がれば限界ではないでしょうか。
むしろ、ある程度にはコントロールされているのだけれど、ゼロにはならないほうが、国境を開放しやすいのではないでしょうか。ほとんどゼロになってしまうと、また海外から患者が入ってくるのが心配になります。今のシンガポールなどがその例です。

死亡者数
先週の死亡者数は116人で、前週と変わりません。
12月下旬から陽性者数が減ってきたので死亡者数も減ることが予想されていましたが、減少が下げ止まっているのを見るとこんなものではないでしょうか。陽性者が毎週4,000人ぐらい発生すれば、死者も100人ぐらいは出るでしょう。

治療中患者数
治療中患者数が13,000人台から減りません。しかしこれは全国で毎週4,000人ぐらい新規発生しているので、こんなものです。
全国の陽性者数が減ってこない限り減りません。しかし、全国の陽性者数に占めるヤンゴンの陽性者数はついに3割を切って20%台に落ちてきたので、ヤンゴンの治療中患者数は4~5,000人だと思われます。ピーク時の1/4ぐらいに減ってたことになります。

今週陽性者数が増えなかったということは、年末年始がミャンマーにとっては大きな行事ではなかったと言えるからではないでしょうか。先週も書きましたが、患者数は結構大きな行事や、コロナ対策に対応して増減しています。すると、今度はいつ増加するのでしょうか。おそらく言えることは、ミャンマーでは雨期が危ないと言うことです。現在の日本や欧州の流行は、例年インフルエンザが流行する冬だからです。ミャンマーに置き換えると、それは雨期です。4月の水掛祭りで盛り上がったあと、雨期になると再びコロナが流行するのではないかと心配です。問題はそれまでは大丈夫かということです。

ミャンマーに関してはワクチンが全国に行き渡るには少し時間がかかりそうです。日本は3月になって暖かくなれば流行が収まってくるはずです。(オリンピックのためにもそう願いたいです。)

ミャンマーも、このまま5月まで流行が来なくて日本との交通が再開してくれることを期待したいです。ただし、英国などのコロナ変異種が今後どのような影響を与えるかはまだ不明確です。

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執筆者プロフィール

井上 聡(いのうえ そう)
Yangon Japan Medical Centre院長
慶応義塾大学医学部卒業。外科専門医、消化器内視鏡専門医。2018年7月よりヤンゴン在住。

Yangon Japan Medical Centre

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