なるほど! 納得!! ミャンマー法 ~駐在弁護士が気になる“あれこれ”を解説~

【コラム】 2021120


ミャンマーでどうやってブランドを保護するか?(2)
指定商品、指定役務を広く登録しておくべきミャンマー特有の事情
~ミャンマーで「スナック シャネル事件」が起きたらどうなるか?~

 まだ、元号が昭和だったころ、日本のある地方に「スナック シャネル」という飲食店が開業しました。「シャネル」といえば、言わずと知れた世界の有名ブランド。シャネルの訴えを受けた日本の最高裁は、不正競争防止法の「混同を生じさせる行為」として、このような店名の使用は許されないと判断しました。

 では、ミャンマーで、これと同じケースが発生した場合、どのような法律が問題となるでしょうか。また、このような紛争を避けるために、どのような対策を取ることができるのでしょうか。

 ミャンマーでも競争法が存在し、以下の行為により消費者を誤解させることは禁止されています。
・競争の目的で、合法的に登録された製品、ビジネススローガン、ロゴ、パッケージ、原産地表示その他の要素について誤解を招く虚偽の情報を使用すること
・これらの情報を用いて製品の製造及びサービスの提供等のビジネスを行うこと

 このように、不正な競争行為については、競争法で取締りの対象となっています。しかしながら、このような競争法違反を主張する場合は、「競争の目的」「誤解を招く虚偽の情報を使用」という要件について、証明する必要があります。そして、ミャンマーの裁判の実情に照らすと、この点を立証するのは容易ではないのが現状です。

 そのため、商標登録の際に、なるべく多くの指定役務、指定商品で出願しておくことが望ましいといえます。商標の出願に際しては、国際的な商標の商品・サービスの分類の中から、商標を使用している、又は使用予定の商品・サービスを選択する必要がありますが、その登録したその商品・サービスの範囲内でのみ、商標を独占使用することができます。

 競争法が十分に機能していないミャンマーにおいては、日系企業の製品ロゴやブランドを第三者が別の業態で無断使用する可能性も懸念されますので、なるべく多くの商品・サービスを指定して商標登録をしておくことが望ましいといえます。すなわち、ブランド物の鞄のメーカーでも、ミャンマーで飲食物の提供についても指定役務として商標登録しておけば、上記の「競争の目的」「誤解を招く虚偽の情報を使用」という要件を立証しなくても、商標法違反として飲食店での使用差し止め等を請求することができます。

 なお、商標登録については、3年間使用していないと、取り消し請求の対象になります。そのため、定期的に新聞広告等を行い、使用の証拠を確保しておくことが必要となります。

(2021年1月号掲載)

甲斐史朗(かい ふみあき)
TMI総合法律事務所パートナー(ミャンマー担当)。日本国弁護士。早稲田大学政治経済学部政治学科、ロンドン大学LLM卒業。2015年1月よりヤンゴンオフィス駐在。

TMI総合法律事務所
+95(0)1-255-047
弁護士約500名、弁理士約90名を擁する日本の五大法律事務所の一つ。
ミャンマーには、日本の法律事務所として最初に進出し、2012 年にヤンゴンオフィスを開設。

TMIは、ミャンマー知財庁指定の商標出願代理人に指定されました。
 TMIヤンゴンオフィスでは、これまでの旧制度下での多数の商標登録の取り扱い実績が認められ、ミャンマー知財庁から申請アカウントを付与された商標出願代理人に指定されました。また、TMIヤンゴンオフィスは、著名な商標のランキング媒体であるWorld Trademark Review 1000(WTR 1000)の2020年度版(ミャンマー部門)において、日本の法律事務所として唯一ランクインされております。

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