先週の新型コロナの流行状態を分析します。
陽性者数
ヤンゴンの陽性者数は、最近では1,000人を切ることも多いので、ピークは過ぎたかなと思っているかもしれません。先週のヤンゴンの陽性者数は6,485人で微増です。しかし、ヤンゴン以外の陽性者数は過去最高の3,352人です。全国合計9,837人は、なんと10月5日週の9,564人を超えています。ミャンマー全体では、コロナの週間陽性者数は今が過去最高なのです。ヤンゴン以外ではマンダレーの1週間の陽性者数は1,112人で、その前の週の643人から倍増しています。この水準は第3波になる前の東京都の水準なので、マンダレーはもうコロナをほぼ抑え込める水準を超えてしまったと言えるのではないでしょうか。今回の急増は、11月8日の選挙とその後の騒ぎの影響かと思われますが、他の国々と同様に自粛疲れと、このままでは経済が回らないとの切羽詰まった感じの影響もあると考えています。
死亡者数
週間死亡者数は170人で微増です。陽性者数は過去最高になっていますが、死亡者数はそれほど増えていません。感染がピークを付けてから死亡者が増えるまで1~2週間かかるので、これから増える可能性があります。しかし、日本人もそうですが、高齢者はあまり外出しないで生活する習慣を身に着けているのかもしれません。当院に来てくれていた医学部の教授(もちろん、ある程度高齢者です)は「今はほとんど外出していない」と言って、当院にも来なくなっています。(代わりにもう少し若い先生が来てくれています。)
治療中患者数
10月22日に19,859人とピークを付けた治療中患者数は、11月10日に13,877人まで減りましたが、最近は次第に増えてきて18,000人代にまで増えてきています。これは、考えてみれば当然なことで、毎日1,500人ずつ新規患者が増えていけば、大部分が無症状であったとしても10日から2週間程度は隔離しておかなくてはなりませんから、どんどん患者数が増えていきます。新規患者が減ってきて初めて治療中患者数が減ってきます。
ただし、以前はほとんどの患者がヤンゴンだったので、臨時治療施設はヤンゴンにだけ作っておけばよかったのですが、現状はヤンゴン以外の患者が増えていますので、他の地域にも作らなくてはなりません。特にマンダレーは1週間で1,100人ですから、少なくとも2,000人分ぐらいの臨時施設が必要です。既存病院のベッドだけでは足りないはずです。
若い人はほとんどが無症状か軽症ですから隔離施設と治療施設はたいして変わらなくても問題ありませんが、治療施設にはやはり医者は必要ですし、一部は重症化するので酸素、人工呼吸器なども必要です。ヤンゴンのようにテントとかが作られるのでしょうか。地方はもともと医師数が少ないので心配です。
ヤンゴンに関して言えば、最近はヤンゴンの全国の陽性者に占める割合が60~65%程度に下がってきているので、治療中患者数は18,500人の60%で11,000人ぐらいです。10月初めと比べれば、まだ少し余力があると思われます。
しかしながら、このまま患者数が増えていけばミャンマーは全国的に医療崩壊になる可能性があります。工場、飲食店などはある程度はオープンさせるのはやむを得ませんが、全面解禁にするのはまだ早いと思われます。全国で患者が増えているので、各州間の交通制限もまだしばらく継続されそうな気がします。せめて陽性者数が全国で毎日1,000人、治療中患者数が10,000人程度までは下がってもらいたいものです。