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日系企業はどのような現状なのか? ミャンマー、新型コロナウイルスの影響

製造業

エースコックミャンマー
取締役社長

平野 彰

巣ごもり需要で事業好調
材料の調達も問題なし

 巣ごもり需要が増えたため、売り上げは比較的順調に推移しています。弊社はティラワ経済特区(SEZ)の工場稼働開始から3年が経過しましたが、例年よりも好調で、例年の20~30%増。売れている商品は、即席麺の「シュル」ホットアンドサワーのエビ味で、こうした状況だと人気商品はさらに売れる傾向があります。
 
 弊社の全従業員は330名ほど。水かけ祭り前に数名のスタッフが親から「帰ってこい」と言われ、帰省しました。マンダレーなどは一度戻ったらしばらくヤンゴンに帰って来られないという事情もありましたが、大半のスタッフは問題なく出社していました。
 
 工場内での作業については、早い段階から通達されたティラワSEZ委員会のガイドラインに沿って行っています。スタッフを2組に分けて、ソーシャルディスタンスを守りながら作業。入場するときには6フィート、工場内では3フィート離れ、座るときも向かい合わせにならないようにといったルールです。オフィススタッフについては、リモートワークで対応しています。
 
 材料の枯渇は、特になかったです。スープと調味料をベトナムから輸入しており、一時的に通関で止まると思ったのですが、スケジュール通りに進みました。また、国内物流では、マンダレーのように一部ロックダウンされた場所もありましたが、現在はほぼ問題なく行っています。
 
 我々は食品工場のため、元々衛生面においては十分配慮していましたし、消毒などは実践していました。ただ、今後も引き続き“密”にならないような作業員の配置を考えないといけません。あとリスクの観点でいえば、サプライヤーの問題です。製品を作れない、といったことがないように代替を探すことも求められるでしょう。

物流業

JCCM運輸部会
会頭

ミャンマー日本通運
Managing Director

谷田部 裕議

欧州向け輸出が壊滅状態
ミャンマー国内はほぼ改善

 物流業では、特に輸出が落ち込みました。ミャンマー貿易額統計の輸出1位は資源ですが、製造業の主要輸出品は縫製品で、欧州向け出荷が壊滅状態になりました。実は、縫製品は欧州向けが一番多く、オーダーのキャンセルも相まって、延期になっているケースが頻発しております。日本への輸出は止まっていませんが、それでも出荷量は落ち込んでいます。
 
 縫製業の物流は基本的に船便。緊急品に関しては不定期の航空便をつないでいくか、陸路でタイまで運び、そこから航空便に搭載することも可能ですが、当然物流コストは上昇しています。世界的な航空機の減便により供給が落ちているため、通常期に比べてコストは上がってしまうわけです。また、弊社の事業では、海外引越がありますが、この時期は一番のピークシーズンにもかかわらず、日本人赴任者のミャンマーへの入国が実質不可能であるため、厳しい状況が続いています。
 
 従業員への影響はほとんどありませんでした。当初感染者がヤンゴンで出たときには、出社を嫌がるスタッフは確かにおりました。対策としては在宅勤務を推奨し、公共バスの使用をやめ、会社でフェリーを提供。現在も可能な限り、在宅勤務にしておりますが、業務には大きな支障は出ておりません。
 
 ロックダウンされたマンダレーへの物流は、水かけ祭り時期が特に厳しかったのですが、今はだいぶ解消されつつあります。一時はまったく入れなかったネピドーも制限が緩くなり、国内物流はある程度改善しました。一方、国際物流はまだまだ難しい状況が続くと思われます。欧州向けは荷動きが鈍かったのですが、5月に入ってようやく少し動きが出てきている印象です。
 
 現状が景気の底だと思いますが、今後サプライチェーンは変化してゆくと思います。今まで製造業は中国一強だったのが、人件費の高騰などにより、ASEANにシフトしてきました。今後どのようにサプライチェーンが変化してゆくのかを注視していきたいと考えています。

飲食業

家津 店主
田村親弘

耐え忍ぶ期間は4ヵ月
デリバリーという変革

 通常営業となりましたが、ソーシャルディスタンスを取らないといけない、テーブルに仕切りを作らないといけないといった基準があります。現在、日本人が2、3割になってしまったことで、1日の売り上げは通常時期の5分の1ほど。日本の食材は航空便が飛んでいないため、仕入れができず、豊洲直送マグロを用意できないのはつらいところです。現状、ミャンマーの食材を使ってメニューを増やすなど改善をしています。
 
 また、Hi-So Mallなどのデリバリーによって新規のお客様獲得のチャンスでもあるので、ミャンマー食材を日本料理に仕上げるなどの対応もしてきました。あらゆる飲食店がデリバリーできるようになったのは、飲食業界でも大きな変革だと考えています。
 
 営業時間は通常通りになりましたが、これまでなかったアイドルタイムを設け、15時〜17時はクローズにしています。スタッフ一人の勤務時間を1日4時間にし、給料は半額となりましたが、納得してもらいました。また、水かけ祭りで実家に帰省するスタッフもおり、ヤンゴンに戻れば21日間の隔離(5月25日時点)。そのため今は田舎に待機したまま、隔離が解除されてから帰ってきてくださいと伝えています。
 
 他の飲食店では、いくつかの店舗が閉店したと聞いています。この状態で翌年の家賃契約の更新が厳しいのは間違いありません。そして、今が景気の底だとも思っていません。そもそも成田〜ヤンゴン便が8月になっても再開されるかわからないですし、日本人が戻ってきても隔離が28日間(※現在ミャンマーでの隔離は14日間に短縮。6月8日時点)だとすれば、8月までこの状態が続きます。9月も100%戻ってくることはないでしょうし、10月くらいからは徐々に戻って来るとは思いますが、今の状態で4ヵ月間を持ちこたえたないといけないですね。