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日系企業はどのような現状なのか? ミャンマー、新型コロナウイルスの影響

ヤンゴン~成田間の航空便運休が7月31日まで延長されることとなった。現在、ヤンゴンにいる邦人の数は新型コロナウイルス以前の2、3割とみられ、JCCMでも右の数字を発表している。ミャンマー政府の水際対策は確実に成果をあげているものの、やはり経済への影響は免れず、それは日系企業においても同様。コロナ以降、日系企業はどういった対策を採ってきたのか?現状は一体どうなのか?
ヤンゴンに残っているJCCM・川原会頭ほか各業種のビジネスマンに実情を聞いた。

JCCM/貿易業

ミャンマー日本商工会議所(JCCM)
会頭

三井物産
ミャンマー総代表

川原喜夫

理事会をZOOMで開催
帰国者の帰還が課題に

 4月からJCCMの会頭に就任しましたが、COVID-19の影響で、予定していた行事が延期になるなど、委員会や部会の活動も大幅に制限されています。ただ、こうした状況下では正しい情報認識の下で危機管理を行う必要があり、理事から委任状の提出を受け、執行部のみで毎月の理事会をZOOMで行っています。また、大使館とは、毎週、新型コロナウイルス関連情報についての連絡会を行い、今後の事業の本格的再開に向け、連携して取り組んでいます。
 
 ミャンマー国内の規制は緩和される方向にあります。ANAヤンゴン~成田便が運休になるのに合わせて、5月9日までに多くの駐在員とそのご家族の一時帰国が進みました。現在は事業再開・本格化のニーズが高まるなか、日本に退避中の邦人をどのようにして帰還させるかが課題になっています。ANA便は7月末までの運休を発表しましたが、ミャンマー発着定期便の運行再開には、日本での感染状況、トランジットの近隣諸国の状況も影響してきます。ミャンマー政府による「国際線商業便着陸禁止」、「72時間以内に取得したCOVID-19陰性証明書所持」、「ビザ新規発行停止」の解消、ミャンマー政府指定施設での隔離措置解消(緩和)も必要です。
 
 一時帰国者の帰還には、外国人が安心して利用できる医療施設の稼働を条件にする企業や、緊急時にタイなどの医療施設へ搬送できるように移動制限が緩和されることを条件とする企業もあります。
 
 現在、各社とも最少人数での事業継続を行っています。また、保健・スポーツ省の予防ガイドラインに沿った対策が行われており、ソーシャルディスタンスを保つために工場の稼働率が大幅に落ちている企業も。こうした状況下で、一時退避者や技術者を早くミャンマーに入国できるようにしてほしいとの要望が高まっています。
 
 貿易面では、海上と陸上の物流はほぼ通常通り動いていますが、航空便が動いていないため、原材料に不具合品が出た際、代替品に空輸が使えないといった問題があります。ただ、ミャンマー産品の需要や期待は底堅く、米中貿易摩擦に加え、今回の新型コロナ問題により、中国を中心とする物流サプライチェーンの見直し・複線化による新しい需要やモノの流れが期待されています。ミャンマーにとっては産業誘致により新たな需要を取り込めるチャンスだと考えています。

建設業

東急建設(ヤンゴン支店)(JCCM)
Chief Representative

GOLDEN TOKYU CONSTRUCTION
ミャンマー総代表

亀廼井寿明

現場は進行中だが
人手不足で工事が遅延

 東急建設と現地との合弁であるゴールデン東急コンストラクションが建設工事に関わっています。東急建設が携わっているのが、ODA案件であるヤンゴン・マンダレー鉄道整備事業とバゴー橋アプローチ部の建設工事で、ともに工事を継続中です。水かけ祭り後、我々がとまどったのは、保健・スポーツ省による通達内容がどこまで建設現場に適用されるのかということでした。ただ、その前より発注者からは工事を継続する意向が示されており、特に影響なく、協議をしながら進めました。なお、オクトイン(ミャンマー中部)の弊社工事事務所では、タウンシップとも確認を行い、「検査を受け承認を得てください」と言われていますので準備を進めているところです。
 
 工事を継続できてはいますが、3月から現場のワーカーを増やすことができず、影響を受けています。鉄道工事では土工事、ボックスカルバートなどの橋梁工事があるため、雨季前にある程度進めておきたかったのですが、2月から横ばい、水かけ祭りで少し減り、現在は増強中ですが、遅延が生じています。工期が遅れれば、最終的に経費もかかってくるので、それも話し合わなければいけないですし、課題の一つです。
 
 資材の不足など現時点では特に大きな影響は受けていませんが、日本から入れるレール溶接機械の導入に必要な日本人スーパーバイザー(専門家)や橋梁工事の専門家などが入国できなくなり、別途違う調整が必要になっています。
 
 また、現地法人のゴールデン東急コンストラクションでは、ティラワ経済特区(SEZ)内で工事を行っています。こちらは保健・スポーツ省の通達後、ティラワSEZで検査を受け、消毒、手洗い場の改善などを行い、工事を継続。
 
 ヤンゴン市内のメイン事務所については、現在事務所を2ヵ所にし、分散して業務を行っています。両事務所とも半数のスタッフをテレワークとしていますので、実質4つのグループ体制にして業務を継続しています。