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ミャンマー在住者最大の関心事 実録!医療最前線


ミャンマーと日本の医療現場に詳しい東京クリニックに在籍するDr.ミント。ミャンマーの医学部を卒業し、日本で博士号も修了した同氏だからこそわかるミャンマー医療の問題を詳しく解説してもらった。

Myat Mon Tokyo Clinic Dr. Myint Oo
 正直、大学卒業までは日本とほとんどレベルは変わりません。しかし、大きく変わるのは病院で勤務してから。問題の根源となっているのが、専門医の担当制です。日本の場合、病院が指定した担当医や助手が患者の容体を確認しますが、ミャンマーの場合、患者に「どの専門医に頼みますか?」と聞いてから1人の専門医に治療のすべてが委ねられます。
 専門医はいわばフリーランスのような関係で病院に常駐しているわけではなく、一方病院で24時間勤務している助手医たちには決定権が与えられません。もし、患者に何が起きても専門医の了承がないと何もできないんです。急に容体が悪化した場合、助手医が専門医に電話をしますが、仮に専門医が電話に出られなければ最悪のこともありえます。その場合、すぐに来られる専門医を呼びすべてを任せることになるのですが、治療方針までも変わる場合があるんです。
 それが嫌なら最初の専門医が来るまで待たないといけない。ミャンマーで入院する場合、慎重に総合病院を選ぶ必要があると考えます。総合病院に信頼できる専門医がいない場合、安易に入院を決めないでください。できるだけミャンマーの医療に精通している保険会社、医療通訳会社、医療クリニックなどと相談しながら選択することをおすすめします。


何かと不安の尽きないミャンマーでの医療。医師のスキル、機械の性能、輸血の問題といった悩みは限りない。そこでジャパニーズメディカルデスク(JMD)の西村氏に“海外で治療した方がいいケース”について聞いた。

ジャパニーズメディカルデスク(JMD) 西村 博彦 General Manager

 

 内科外科問わず、手術に関することはすべて国外をおすすめします。ミャンマーでできる手術は増えてきましたが、それでも万が一のことがあります。もっと言えば、デング熱も腸チフスも海外で治した方がいいですね。また、循環器系に疑いのある方は、ミャンマーの在住自体がリスクですし、ご高齢の方も当然同じようにリスクがあります。一刻を争う事態での対応は、日本と比較できませんので。
 また、脳神経疾患も緊急対応が必要になるので、海外で治療されることをおすすめします。糖尿病は日本人でも実際に患っている方もいます。ある日、目が見えにくくなって眼科で診察された患者様が、実は糖尿病が原因だったというケースもありました。ただ、ミャンマー人も糖尿病を患っている患者は多いですし、インシュリン注射や人工透析も可能です。
 輸血のリスク?かつては在住者の日本人同士で献血を呼びかけることもあったようですが、現在は行っておりません。輸血が必要な症状の場合、私立病院では血液のストックがないことが多く、ストックされているダウンタウンにある国立のヤンゴンジェネラル病院での処置を選択する可能性が高くなります。しかし、正直施設自体が外国人向けではなく、ローカル向けと言わざるを得ません。衛生面からもあまり日本人にはおすすめできないのが実情です。とはいえ、仮に交通事故が起きた場合と、輸血はここでしか対応ができないんです。そのため輸血が必要な手術などは、当然ミャンマーから近いタイなどで治療することをおすすめします。