国軍代表者の出席に抗議、ミャンマーの民主化を支援する議員連盟

【国際】【政治】 2021805

 「ミャンマーの民主化を支援する議員連盟」は8月4日、外務省に対して、8月6日に開催される日メコン外相会議にミャンマー国軍が指名した代表者を出席させる政府方針の撤回と、国会決議の遵守を求める要請書を提出した。本文は以下の通り。

2021年8月4日

外務大臣 茂木 敏充 様

日メコン外相会議(8月6日)にミャンマー国軍の代表者を出席させる政府方針に強く抗議し、その撤回と、国会決議を尊重した政府の真摯な対応と行動を求める要請書

ミャンマーの民主化を支援する議員連盟
会長  中川 正春

 本年2月1日(月)にミャンマーにおいて国軍による軍事クーデターが発生して以来、8月1日で6ヶ月が経過したが、今もなお、国軍による無抵抗の市民の殺害や不当な逮捕・拘禁・拷問、少数民族地域への武力攻撃や空爆の実施などが継続し、多くの市民の命が奪われるとともに、多数の行方不明者や生活困窮世帯、国内避難民(IDPs)が発生するなど、深刻な自由・人権・民主主義の侵害が続いている。
 加えて、軍事クーデターを原因とする医療体制の崩壊の最中にミャンマー全土を襲っている過去最悪のCovid-19(新型コロナウイルス感染症)の感染爆発によって、多くの市民が感染し、自宅療養を余儀なくされる中で、国軍は命綱である酸素の供給を止め、ボランティアで懸命に救命にあたっている医師らまで逮捕・拘禁し、結果、多数の市民を死に至らしめている。
 私ども超党派の有志議員で構成する「ミャンマーの民主化を支援する議員連盟」(以下、民主化支援議連)は、あらためて国軍によるこれらの暴挙に対し、最大級の怒りをもって糾弾するとともに、日本政府に対して、一日も早い問題解決と市民の命と安全の確保に向け、持ちうる限りの外交資源を投入して最大限の努力を傾注することをあらためて強く要請する。
 しかしこのような状況下において、日本政府は、これまで延期されていた日メコン外相会議を8月6日(金)に開催し、その場にミャンマー国軍が任命した代表者を出席させる方針であることが明らかになった。この外相会議は、2月の軍事クーデターの発生を受け、軍政が参加する会議を開けば国内外から「軍政を承認するのか」と批判される恐れがあったために開催を見合わせていたと説明されていたものである。

 そもそも日メコン会議は、日本が議長国として開催し、出席者は日本政府が決定できる権限を持つ政府間の公式な国際会議である。その政府間の公式会議に、ミャンマー軍政の任命した者を出席させれば、国内外で、とりわけミャンマー国民に、まさに日本政府が軍政を承認したことと同義に理解される懸念があるのは当然であり、私ども民主化支援議連としても、今回の突然の政府決定は、到底、容認できない。日本政府がいかなる理屈を述べようとも、国軍がこの会議への参加を国内外で自らの正当性を主張するためのプロパガンダに利用することは容易に想定され、そうなれば、ミャンマー国民はもとより、国際社会からの我が国に対する期待と信頼は大きく失墜することになる。
 このような強い問題・危機意識から、私たち民主化支援議連は、軍政による統治体制を断固認めず、これからも常に自由と民主主義の回復を希求するミャンマー国民とともにある立場から、日本政府に対し、以下、強く要請する:

1. 8月6日に開催予定の「日メコン外相会議」へのミャンマー軍政代表者の参加を撤回すること。
2. 先の通常国会において衆議院(6月8日)及び参議院(6月11日)で採択された国会決議、とりわけ①国軍による現体制の正当性を絶対に認めないこと、②我々はミャンマー国民とともにあることを、今後も厳に尊重し、あらゆる外交資源を投入して国会決議が要請する事項を早期に実現すること。
3. 特に、国内避難民(IDPs)や少数民族地域への緊急人道支援の提供は喫緊の課題であり、支援を必要とするすべてのミャンマー国民に必要な支援が行き届くよう、タイ政府をはじめとする隣国政府との連携を強化し、国内外からの緊急支援物資の提供に全力を尽くすこと。
4. 現状、ミャンマーでは、軍事クーデターによる医療崩壊の中でCovid-19の感染爆発が発生し、連日多数の命が失われている危機的な状況下にあることから、酸素濃縮器や新型コロナ・ワクチン、有効な治療薬、医療機器/装備品などのCovid-19関連の医療的支援についても、その支援を必要としている感染者やそのご家族、特に自宅療養者や避難民に早急に届くよう、緊急的な支援を可及的速やかに実施すること。
5. 上記の要請事項の実効性ある実現のため、日本政府として、ミャンマー国民統一政府(NUG)こそがミャンマー国民の正当なる代表であることを公式に認め、正式な対話を行うことを強く要請する。

以上

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