日本ミャンマー協会の渡邉秀央会長が「日刊ベリタ」に記事の撤回と謝罪を要求

【国際】【政治】 2021707

 アジア・太平洋地域の国際ニュースを取り扱う「日刊ベリタ」に対し、日本ミャンマー協会の渡邉秀央会長が記事の撤回と謝罪を要求する内容証明郵便を送付していたことがわかった。

 事の発端は4月に遡る。4月14日に千代田区の日本ミャンマー協会(JMA)本部前で在日ミャンマー人グループが抗議活動を行った。この集会を主催したグループは「日本とミャンマーをつなぐ太いパイプとはJMAと国軍のつながりであり、日本政府のあいまいな対応はJMAの誤った情報が原因」と主張した。
 渡邉会長は、2月1日のクーデター直前にアウン・サン・スー・チー国家顧問とミン・アウン・フライン国軍最高司令官と相次いで会談したことが明らかになっている。日刊ベリタは『クーデター直前にスー・チー氏と国軍トップと会見した日本のODAビジネスの黒幕 狙いは何か?』と題し、4月16日に掲載した。
『クーデター直前にスー・チー氏と国軍トップと会見した日本のODAビジネスの黒幕 狙いは何か?』

 渡邉会長はこれに対し、5月18日付で渡邉氏を請求人とする「記事撤回及び謝罪請求書」を送付した。これによると、日刊ベリタが記述した「協会の渡邉秀央会長は、日本のODA(政府開発援助)ビジネスの黒幕とみられている」という記述や、渡邉会長が「スー・チー氏とは今回初めて会った」「スー・チー氏に好感を抱いていないとみられていた」といった表記について否定、渡邉会長が国軍のクーデターによる政権奪取にかかわっているかの印象を与えるものであって、事実に反し公正な論評ではないなどと反論。請求人の名誉を毀損しているとして、法的措置についても言及した。
『日本ミャンマー協会会長渡邉秀央氏より、本紙掲載記事に対し「撤回及び謝罪請求書」』

 一方、日刊ベリタは5月31日に『日本ミャンマー協会会長渡邉秀央氏よりの「記事撤回及び謝罪請求」に対する本紙の見解』と題し、編集長の大野和興氏と執筆者の永井浩記者が回答を取りまとめ、記事に対する指摘は事実に反する的外れなものであり、訂正と謝罪をする必要は認められないとの立場を表明した。その上で、さらなる反論があれば歓迎するとして、互いの議論を読者に判断してもらうとの方針を示した。
『日本ミャンマー協会会長渡邉秀央氏よりの「記事撤回及び謝罪請求」に対する本紙の見解』

 7月7日現在、渡邉会長はこれに対する反応は示していない。

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