コロナにかからないための基本は全く変わっていません|Dr.井上のミャンマー新型コロナウィルス最新情報

【コラム】【新型コロナ】 20201223

先週の新型コロナ発生状況を振り返ってみましょう。

陽性者数
先週の全国の陽性者数は7,972人と少し減少しました。(先週のレポートの統計に計算間違いがありました。申し訳ございません。)

ヤンゴンの陽性者数はさらに減少して3,684人になり全国の50%を切りました。一日平均500人ぐらいで、当面の目標だったピーク時の半分以下になりました。これ以上減ることも当然考えられますが、日本のケースを見ると、これぐらい減ると今程度で安定してしまうかもしれません。マンダレーの週間陽性者数はさらに増えて2,134人になり、ヤンゴン以外の半数を占めています。もはやヤンゴンとマンダレーだけで流行っているといっても良いかもしれません。

どうしてヤンゴンとマンダレーだけで感染が拡大するのかは分かりませんが、やはりある程度まで拡大してしまうと、感染者の隔離などの通常の対策だけでは押さえ込みできなくなるのかもしれません。一方、あまり強力な対策が取れなかったであろうラカイン州での感染がほとんど収まってしまっているのは不思議です。

死亡者数
全国の週間死亡者数は179人で最近ほとんど増減がみられません。陽性者数の減少傾向が死亡者数に反映されるには2週間ぐらいかかるので、これから少し減ってくるのかもしれません。

地域別の情報がほとんどありませんが、保健スポーツ省の発表では12月14日現在のマンダレーでの死亡者は85人ですから、11日のデータと比べて3日間で19人しか増えていません。同期間のヤンゴンでの死亡者は87人ですから、まだ死亡者はヤンゴンが中心です。

治療中患者数
治療中患者数は19,000人を少し割ったぐらいです。新規陽性者数ほど減少していません。もちろん、患者が発生してから退院するまでに2週間程度かかるので、これからは多少減ってくると思われます。

日本では現在、第3波の患者増加のため医療崩壊の危機的状態なので、クリスマスはサイレントナイト、年末年始はステイホームと言われています。これを数字で見ると、陽性者数は最高で3,208人、平均で一日2,500人、入院治療患者27,000人、重傷者数600人、死亡者数平均で40人です。日本がミャンマーより人口が2倍以上多いので、この数字を半分にしてみると「なんだ、たいしたことない」と感じてしまう数字です。つまりミャンマーは日本基準で考えると既に医療崩壊している水準と考えるか、日本はまだたいしたことないのに医療崩壊寸前だと大騒ぎしているのどちらかです。

私としては、ヤンゴンは今のところ、コロナの封じ込めには成功していませんが、医療崩壊せずになんとかやっているのではないかと評価しています。しかし、今まで何度も繰り返していますが、これ以上患者が急激に増えるとすでに一杯の状態なので本当の医療崩壊になりかねません。またコロナにかかってしまった場合ヤンゴンで期待できる治療は日本にいる場合とは明らかに異なります。

コロナにかからないための基本は全く変わっていません。ソーシャルディスタンスマスク手洗いです。

YJMCは、日本人の新型コロナ患者をクリニック内で診察したため、先週一週間は自主的に閉鎖しました。この間に室内消毒を行いました。日系企業のTOBU Co, Ltd.が応援価格で施工してくれました。ありがとうございます。

また、月曜日に全職員に対して中国製ですがCOVID-19抗原キットを使って検査しましたが、全員陰性でした。というわけで、YJMCは21日から通常業務を再開しています。何名からかお問い合わせをいただきましたが、先々週にYJMCを訪問したことによるコロナ感染の危険性は全くないと考えています。中国製の抗原キットの性能は分かりませんが、抗原キット自体は結果が陰性でも安心できない一方、陽性であった場合はかなり信頼できるそうです。

私が帰緬する際に日本製のものを持ち帰る予定ですが、それまでは中国製のものなら検査可能です。

執筆者プロフィール

井上 聡(いのうえ そう)
Yangon Japan Medical Centre院長
慶応義塾大学医学部卒業。外科専門医、消化器内視鏡専門医。2018年7月よりヤンゴン在住。

Yangon Japan Medical Centre

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