なるほど! 納得!! ミャンマー法 ~駐在弁護士が気になる“あれこれ”を解説~

【コラム】 20201209


ミャンマーでどうやってブランドを保護するか?(1)
 10月1日から、ミャンマー知的財産庁のソフトオープンとして、新商標法での商標の優先登録の出願が始まりました。既に商標を使用している証拠(通常は、旧制度の①Registration Office での登録と②新聞広告の商標警告)を添付して、優先登録の出願をすることができます。

 では、DICA で会社名(支店名)を登録していれば、その会社名について更に商標登録をすることは不要でしょうか。

 商号(Trade Name)は、あるビジネスを他のビジネスと区別することができる名称(nameor denomination)をいい、例えば会社名などがこれに該当します。

 他方で、商標は商品・サービスについて、他人の商品・サービスとの区別を可能にする標章(mark)をいい、商品・サービスの名称やロゴマークがこれに該当します。

 確かに、会社法では、以下の会社名の登録はできないこととされています。
①既存の法人が既に登録した名称と同一の名称
②既存の法人が既に登録した名称と類似する名称(欺く意図、その他誤解を生じさせ、混同を生じる可能性があるもの)

 しかしながら、会社名を登録していても、同一の名称を商品・サービスに付する権利まで独占することはできません。

 そのため、同一の名称を付した商品・サービスが現れて、消費者が貴社の製品と混同することを防止するためには、商標登録を行っておく必要があります。

商標と商号の主な違いは以下の通りです。

※会社(又は支店)登録されていない商号については、商標法で保護されることにはなっているが、実際にどの程度の保護が与えられるかは明確ではない。

(2020年12月号掲載)

甲斐史朗(かい ふみあき)
TMI総合法律事務所パートナー(ミャンマー担当)。日本国弁護士。早稲田大学政治経済学部政治学科、ロンドン大学LLM卒業。2015年1月よりヤンゴンオフィス駐在。

TMI総合法律事務所
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弁護士約420名、弁理士約80名を擁する日本の五大法律事務所の一つ。
ミャンマーには、日本の法律事務所として最初に進出し、2012年にヤンゴンオフィスを開設。

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