先週の新型コロナの流行状態を分析します。今回からしばらく日本で書きますので、ヤンゴンの「現地感覚」と少し食い違うことがあるかもしれませんが、ご了承ください。
陽性者数
ついに11月27日にミャンマー在留邦人1名が新型コロナウイルス陽性と診断され、ヤンゴン市内の病院に隔離されました。
先週の全国の陽性者数は10,070人と先々週とほぼ同数です。しかし、その分布は異なります。ヤンゴンは5,718人で微減です。どうも1日800人で安定してしまっているようです。これに対し、その他の地域の陽性者数は予想どおり増加していて4,352人になりました。1ヶ月前と比べると倍増しています。マンダレーの週間陽性者数は1,716人で3週間前の3倍に増えています。
2017年の資料では、ヤンゴンの人口は736万人に対してマンダレーは616万人とミャンマー第2の都市ですが、人口密度はヤンゴンの724人/km2に対して208人/km2と1/3以下です。人口密度が低いということは感染拡大上では有利なことなので、ヤンゴンと同じくらいまで増えるとは思えませんが、医療施設の充実度を考慮すると、現在の感染拡大状況は既に深刻な状況だと思います。ヤンゴンでは、一日400人ぐらいにまで減って安定してもらいたいと思っているのに800人から減らない。マンダレーでは、どんどん陽性者数が増え続けているということで、ミャンマー全体でのコロナ抑制策はいまのところあまりうまくいっていないと評価せざるを得ません。
死亡者数
先週の週間死亡者数は194人で少し増えています。10月の最高240人ほど多くはありませんが、この増加はこれまで死亡者がほとんどヤンゴンだけに限られていたものが、全国に拡大していることの現れではないかと心配しております。
治療中患者数
治療中患者数は過去最高の10月22日の19,859人を超えてはいませんが、19,000人台後半の値で徐々にに増加しています。地区別の患者数は発表されていませんが、陽性者数のヤンゴンの割合が90%から50%台まで低下していることを考慮すると、当然地方での治療中患者数が増えていると理解できます。
マンダレーは当然ベッド数が足りないと思われますが、ヤンゴンのように臨時治療施設や隔離施設が寄付で作られているのでしょうか。ヤンゴンは陽性者数が1日1,200人の時に合わせて各種施設を用意したので、相対的には以前より余裕があるはずです。しかし1日800人という数は決して少しぐらい増えても大丈夫という数字ではありません。
日本が第3波といって第2波の後に安定していた時期の3~4倍に患者数が増加してことを考えると、何らかの要因で今の2倍に患者数が増えた場合にすぐに破綻してしまう水準です。
少し安心できることは、第3波は寒くなったために来たと言われていますが、ヤンゴンには寒い冬が来ないことです。
「運転手の家族が陽性になり、運転手が濃厚接触者になりましたが大丈夫でしょうか」とか、「濃厚接触者と認定された人と会議をしていました、その後に発熱したのですが大丈夫でしょうか」などと問い合わせを受けています。しかし、これらの人に「絶対大丈夫です」とは言えません。一方、突然の発熱でYJMCを最近受診した人の中には、デング熱が原因だった患者が4人いました。細菌感染症で抗生剤を処方して治療した患者もいます。なお、インフルエンザの患者は今年はまだ出ていません。
発熱があった場合は、まずクリニックを受診して新型コロナウイルス以外の疾患の可能性も調べてください。コロナ以外の疾患が否定された段階で、重症化のリスクをよく考えてからその後の方針を相談しましょう。現在YJMCでは、Dr.Suと楳内事務長が対応しています。