先週の新型コロナの流行状態を分析します。
患者数
11月9日から15日のヤンゴンの週間陽性者数は、5,463人とやや減少しました。その代わり、ヤンゴン以外の陽性者数が2,300人と再び増加したので、ミャンマー全国の合計は7,736人と前週よりも増加しています。全国の陽性者数に占めるヤンゴンの割合は、最近は65~70%ぐらいに低下しています。これはマンダレーで毎日陽性者が120人ぐらい確認されているのが原因かと思われます。マンダレーではまだ20人しか死亡者がでていませんが、これから急激に患者数が増加すると当然死亡者も増えるでしょうから、都市間の交通規制が長引く原因になるかもしれません。運送業関連の方は要注目です。
死亡者数
ミャンマー全体での週間死亡者数は、156人と減少していません。
ヤンゴンの死亡者がミャンマー全体の95%を占めているので、ヤンゴン以外ではほとんど死者がでていないと言っても過言ではありません。ちなみに、ヤンゴンの次に死亡者が多いラカイン州は20人で、死亡率は0.6%でしかありません。
しかし、最近の日本全国の死亡者数は毎日平均10人以下ですから、人口を考慮すると毎日5人、さらに高齢者が少ないことを考えるならば、それ以下になってもおかしくありません。ところが、現実には毎日20人以上が亡くなっています。「こんなものだ」と考えずに、もっと減ってもらわなければいけません。やはり患者数が多すぎて、あまり患者のケアに手が回らなくなっているのでしょうか。それとも、受診が遅れて手遅れになっていることが多いのでしょうか。
治療中患者数
治療中患者数は一時14,000人を割ったのですが、最近は再び15,000人台に戻ってしまい、減少傾向にはありません。毎日1,000人以上の新規患者が出ているのであれば、治療中患者数が減らないのもある意味当然です。
しかし、全国に55,000床と日本の1/30しか病床がないミャンマーで15,000人の患者を診るのは、かなりの負担であることは間違いありません。この状態がずっと続くと医療関係者が疲労するのは当然ですが、さらに患者数が増えるような事態になれば、コロナ以外の患者も診れなくなる可能性が非常に高いと言わざる得ません。
どの指標をとっても、ミャンマーの現在の感染状況は満足できる数字ではありません。すでにロックダウンを始めてから2か月以上経過して国民は自宅謹慎に飽きてきていますし、産業に与える影響も甚大となっています。世界中で商用機の運航をすべて禁止している国はほとんどない状況です。総選挙も終わったので、政府はそろそろ覚悟を決めて門戸を開く決断をしなくてはならないかもしれません。
しかし、現在ヤンゴンでコロナに感染した場合は、自身の免疫力と回復力だけがたよりです。タバコはやめて、持病のコントロールに気を使い、コロナにかからないように最大限の配慮をしてください。