Dr.井上のミャンマー新型コロナウィルス最新情報

【コラム】【新型コロナ】 20201103

先週はタジンジュの5連休があって、車の数や外出者の数も増えてきているように思えますが、新型コロナウイルスの感染状況はどうなっているでしょうか?

患者数
発表されているヤンゴンの陽性者数が減ってきたように思えますが、10月26日~11月1日の週間陽性者数は6,800人で、1週間前、2週間前と比べて減っているどころかむしろ少し増えています。その他の地区の陽性者数は2,118人でやっと増加が止まったところです。これはロックダウンを行ったにもかかわらず、ヤンゴンでもその他の地域でも抑え込みに成功していないということです。
11月2日の発表では、ヤンゴンの患者数は524人でした。相当減ってきたと思うかもしれませんが、連休の最終日のデータに喜んではいけません。
 
死亡者数
死亡者数は一週間に171人で少し減ってきたかもしれません。しかしまだ1日に20人以上が亡くなっており、落ち着いたとはいえません。
 
治療中患者数
治療中患者数は先週計算式を間違えて異なった数字を紹介してしまいました。10月22日がピークなのは変わりませんがその時の患者数は19,859人でした。その後も19,000人前後をうろうろしており、減ってきていません。これは株式市場でいうところのもみ合い状態です。市場ではいったんこの状態を抜け出すと急激に上がったり下がったりすると言われています。
なんとなく1日の陽性者数2,000人ぐらいがピークだったのかなと安心している人が多いかもしれませんが、人口が同じぐらいのフランスなどでは1日に5万人もの陽性者が見つかって、再度ロックダウンが始まっています。このもみ合いの状態から上に流れが傾くと感染者数が急激に増える可能性があります。東南アジア諸国では欧米と異なりそれほど感染が拡大せず何らかの要因(Factor X)が存在するのではないかと言われていますが、インド、バングラデシュでは新型コロナウイルスが大流行しているので、このまま患者数が急激に増えることがないと決めつけることはできません。

新型コロナはインフルエンザと比べると感染力は低いが、死亡率が高いと言えます。インフルエンザは子供にも影響がありますが、新型コロナは子供にはあまり影響がありません。新型コロナの問題点の一つはインフルエンザには見られない医療崩壊を起こすことがあるという点があげられます。ミャンマーにおける現在の治療中患者数は19,000人で、テントを建てたるなどしてなんとかやりくりしている状態です。しかし、新規感染者が毎日5,000人も増えたりしたら、ヤンゴンは完全に医療崩壊になります。まだ安心しないでください。
 
ミャンマーは10月30日から外務省の「国、地域別海外安全情報」で感染症危険レベルが3に格上げされました。レベル3は渡航中止勧告です。引き上げに伴い、ミャンマーから日本へ渡航するミャンマー人を含む全ての外国人に対して、ミャンマーから出発72時間前のPCR検査による出国前検査証明の提示や、本邦入国時の新型コロナウイルス感染症検査(抗原検査)の受検が求められます。(ただし日本国籍の方は、ミャンマー出国前のPCR検査及び出国前検査証明の提出は不要です。)

執筆者プロフィール

井上 聡(いのうえ そう)
Yangon Japan Medical Centre院長
慶応義塾大学医学部卒業。外科専門医、消化器内視鏡専門医。2018年7月よりヤンゴン在住。

Yangon Japan Medical Centre

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