日本在住17年目のミャンマー人が見たクーデター

市民的不服従運動(CDM)について

CDMとは市民的不服従運動(Civil disobedience movementの略号)です。市民的不服従とは市民が法律や命令に非暴力的手段で公然と違反する行為です。ミャンマー国民が2021年2月1日不当にクーデターを起したミャンマー国軍に対して平和的な抗議としてCDMで反抗しています。この記事では反抗方法の詳細と国軍と国民へ影響、それからCDMを継続させるための方法などをまとめてみます。
 

CDMが始まったきっかけ


ミャンマーにおける医療事情は資金や技術面の問題が多く、軍事政権下の時代から腐敗と弾圧によって優秀な人材が海外に流出したので慢性的な人材不足の問題にもっとも打撃受けている分野です。それにコロナショックが加わって医療関係者全員が疲弊している中でクーデターが起きたのですべての不満が国軍に向いた形でCDMが起きました。
 

次に加わったのが全国の国立小中高学校の先生たちです。2020年の11月の選挙の関連業務は全国の小中高校の先生たちが担当しました。先生たちは投票所の管理や票のカウントなどで激務だったにも関わらず2020年の選挙はミャンマー史上もっとも公平な選挙として認められたのでとても誇りを持っています。国軍は選挙の不正を理由にクーデターを起したので先生たちから見たら侮辱されたふうに受け取れます。それがきっかけに国軍に反抗すべく全国の小中高のほとんどの先生達がCDMに積極的に関わりました。
 

CDMの拡大


それから学生、銀行員、エンジニアなどに広まり、官庁関連では中央銀行、税務署、消防署、森林省、建設省などの職員が次々とCDMに加わって大規模なデモに繋がりました。民間では銀行、エネルギー、輸出入、運搬関連の企業もCDMに参加して経済が一瞬にして停止しました。大学生は大学に行かず、子供の持つ親は子供を学校に通わせない形でCDMに参加しました。
 
また消費税、電気や水道などのライフライン関連料金を支払わない形で国民全員にCDMが拡大しました。ライフライン関係の職員は市民から料金の支払いを受け取らずにサービスをし続けることCDMに参加しています。芸能人の大多数は国軍財閥企業からの仕事は断ると宣言し抗議デモに加わって反抗しています。
 

軍への影響

経済が停止し海外口座の預金が凍結されて国軍は国内の資金のみで公務員への支払いをしなければなりません。それでも資金が足りず寺院や優秀な学生と難病患者への支援のために設立された基金や寄付金を略奪して更に国民の反感を買っています。各地域では警察や軍人、それから国軍関係者とその家族に対して商売をしないというボイコットが始まり国軍はかなり圧迫されている状態です。軍財閥企業の製品やサービスはボイコット対象になり大手スーパーから次々と姿を消しました。軍財閥の銀行が市民よって資金が引き出されて今やキャッシュが足りずに引き出しを受け付けられない状態です。
 

国民への影響

まずはCDMに参加した各官庁の階級の高い職員は次々と軍によって拘束されました。拘束を恐れた職員は職場と関係断って退職する手段を選ぶ方も少なくないです。職場が提供している寮に暮らしている方がCDMに参加すると寮を追い出されることもあります。鉄道職員などは普段から生活が貧しい上に国が提供する粗悪な団地で家族を住ませていることが多いので団地から追い出されると行くあてもなく寺院で暮らす、あるいは路頭に迷うこともあります。軍側は国立の病院の代わりに軍付属病院で患者を受け入れるという発表をしましたが実際は一切受け入れてくれません。
 

国民同士の支援


医療に関しは緊急患者や出産に関しては市立病院や無料で医療を受けられるボランティアクリニックが各地で設立されてました。CDMで寮や団地から追い出された職員は市民が一時的な避難場所を提供されたり、CMD支援団体から地元へ戻るための支援を受けられる様になっています。食事に関しては米や野菜の配布、またCDMに参加した公務員なら無料で食事や物資提供するお店が各地で増えています。民間銀行は市民の生活を守るためにATMの引き出し業務だけを提供しています。また夜間にCDM参加者が不当に拘束されそうになると地域の住民が団結して守っています。
 

国軍の終末

国軍は全く予想していない形でCDMの打撃を受けています。 今国軍に最も必要なことはクーデターを正当化することです。武力で権力を奪ったので正当性が証明できないと世界から避難され国軍の解体の道が早まります。それにCDMが加わって国軍はより圧迫されている状態です。デモ隊を弾圧するための展開された警察や軍人は軍からの後方支援がなく市民から食べ物を盗んで飢えを凌いでいる状態です。
 

写真は排除したデモ隊の弁当を盗んでる警察に扮した軍人

50年以上続いた軍による独裁政権があと一方で幕を閉じようとしています。今ミャンマー国民に必要なのはCDMを続けられるような支援体制です。海外のミャンマー人も様々な形でCDMを支援しています。海外各国もミャンマー国民のCDMに支援やミャンマー国軍への制裁に加わるとこの暗黒の状態から早く抜け出せると思っています。

(続く)

テウインアウン
日本在住17年目のWebエンジニア
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