【TOP対談】ミャンマーの先輩に問う!

MYANMAR JAPON代表の永杉が日本・ミャンマーの第一線で活躍するリーダーと対談し、"現代ミャンマー"の実相に迫ります。

安倍昭恵 氏(P.3)

現地への渡航が難しい今は在日ミャンマー人と交流を

永杉 昭恵さんが代表理事を務める「一般社団法人ミャンマー祭り」が主催する「ミャンマー祭り」はコロナ禍で中断していましたが、2023年5月に4年ぶりとなる開催を果たしました。一方、ミャンマー国内での混乱は依然として続いています。我々が会員向けに提供しているニュースメールを見ても「軍系企業で爆発」「一般市民の逮捕相次ぐ」など、地方はもとよりヤンゴンでも物騒な出来事が続いています。2021年2月のクーデターから間もなく3年。この状況をどう見ていますか。

安倍 前回のインタビューの際にも同じことを申し上げましたが、やはりお互いが武器を持たずに解決する方法を模索してほしいと願うしかありません。こうした発言をすると、ミャンマー人からも反発があることは承知しています。内政干渉だという声もあるでしょう。しかし、ウクライナやパレスチナで起こっているように「家族を守るために相手を殺さなければならない」という状況は、どこかで終止符を打たなければならないと、外部から訴えかけていきたいと思っています。

©ミャンマー祭り

永杉 2023年11月29日、日本の外務省がミャンマーの危険情報を更新し、一部地域の危険レベルを引き上げました。ヤンゴンの6地域(ダゴン・セイッカン地区、フラインターヤー地区など)は渡航中止勧告ではないものの、レベル2である「不要不急の渡航は止めてください」が継続しています。
こうした状況の中、今後我々はどのようにミャンマーと接し、支援していけば良いとお考えでしょうか。

安倍 現地に行って交流をしたり支援活動をしたりすることは難しいでしょう。私も立場上、自由にミャンマーに行けるとは思っていません。だからこそ、今は日本にいるミャンマー人と深く関わることを大切にしています。「ミャンマー祭り」の開催もその一つです。日本人とミャンマー人が交流できる場所ができれば、ミャンマー人にとって日本が過ごしやすい場所になってくれるはずです。
また、ミャンマーからの避難民は国境を越えてタイなどの隣国に逃れています。私はこうした困窮者の方々にも支援の手を差し伸べるべきだと考え、永杉さんが一昨年に立ち上げられたNPO「ミャンマー国際支援機構」にも積極的に協力したいと考えています。
交流や支援をする上で大切なことは、「ミャンマーは貧乏だから、クーデターで大変だから」といった気持ちではなく、ミャンマーから学べることはたくさんあるという気持ちで接してほしいということです。
ミャンマー人を採用している企業経営者のお話を聞くと「ミャンマー人は休みを多く取ることが多くて困る」という悩みを持つ方がいます。休む理由を本人に聞くと「友達が悩んでいるから寄り添ってあげたい」という理由を話したそうです。確かにそれは、仕事優先の日本人からすると驚く理由です。でも、そこで友達に寄り添わないことが本当に正解なのでしょうか。もちろん限度はありますが、ミャンマー人のやさしさから日本人が学べることも多くあるはずです。

永杉 身近な人に深く寄り添う心は、多くのミャンマー人に共通するものです。だからこそ、同じ国民同士で争いを続ける今の状態は本当に心が痛みます。あれから3年が経とうとしている2024年こそ、事態が良い方向に動くことを期待せずにいられません。本日はお忙しい中、ありがとうございました。

©ミャンマー祭り
©ミャンマー祭り

永杉 豊 [Nagasugi Yutaka]

MJIホールディングス代表取締役
NPO法人ミャンマー国際支援機構代表理事

学生時代に起業、その後ロサンゼルス、上海、ヤンゴンに移住し現地法人を設立。2013年6月より日本及びミャンマーで情報誌「MYANMAR JAPON」を発行、ミャンマーニュースサイト「MYANMAR JAPONオンライン」とともに両メディアの統括編集長を務める。ヤンゴンでは人材紹介事業を立ち上げ数多くのミャンマー人材を日系企業に紹介する。ヤンゴンロータリークラブに所属。著書に『ミャンマー危機 選択を迫られる日本』(扶桑社)。

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