【TOP対談】ミャンマーの先輩に問う!

MYANMAR JAPON代表の永杉が日本・ミャンマーの第一線で活躍するリーダーと対談し、"現代ミャンマー"の実相に迫ります。

一般社団法人 日本ミャンマー未来会議代表 井本勝幸 氏(P.3)

活動意図を総理に直談判 資金協力を取りつける

永杉 いくら「ゼロ・ファイター」とはいえ、農村開発を行うとなれば資金が必要になります。調達はどのようにして行うのでしょうか。

井本 昨年11月、首相官邸に岸田首相を訪ね「少数民族支援をタイ側で行いたい。時間差はあるかもしれないが、必ずミャンマー支援につながる」ということを説明させていただきました。その結果、外務省より本事業に対して「ODA連携無償資金協力」という枠で資金協力を得ることができました。

▲岸田首相に少数民族支援について訴え理解を得た

永杉 先ほども井本さんがおっしゃった通り、通常は政府系組織であるJICAが国軍の支配地域で支援活動を行い、民間団体は少数民族武装勢力の支配地域で支援活動をするという線引きが存在していました。
しかし、今回のプロジェクトは、名目上「タイにおけるプロジェクト」ですが、その実は国境を隔てたミャンマーの少数民族も利することを目的としたものです。この活動資金を日本政府が出すというのは、画期的なことではないでしょうか。

井本 そう思います。これまで、日本政府は軍に対する姿勢が批判されることが多くありました。ミャンマー人からは「二枚舌外交ではないか」などの言葉も聞かれることがあります。しかし今回、日本政府が資金提供という形を通じて、ミャンマーの少数民族に寄り添う姿勢を示せたことは素晴らしいことだと思います。
一方、ミャンマー人から見れば、「結局はタイでの活動ではないか」と思われてしまうかもしれません。しかし、「タイの少数民族も豊かにしながら、ミャンマーの少数民族を支援する」という理念は、近い将来きっと理解してもらえると信じています。

永杉 私自身はクロスボーダーで支援することが重要だと思いますが、軍の締め付けが厳しい今、正規の方法以外で支援を続けることは大きなリスクが伴います。ですから、本当の意味で息の長い支援を続けるためには、タイ側から支援を広げていくやり方はしかるべきだとも思います。我々もこうした取り組みを、多くのミャンマー人に広めていくお手伝いができればと考えます。本日はお忙しい中ありがとうございました。

▲ミャンマーカイン州の避難民シェルターで手足を失った青年たちと

永杉 豊 [Nagasugi Yutaka]

MJIホールディングス代表取締役
NPO法人ミャンマー国際支援機構代表理事

学生時代に起業、その後ロサンゼルス、上海、ヤンゴンに移住し現地法人を設立。米国ではおもにライセンス・商標コンサルタントとして多くのブランドを日本に紹介する。2013年6月より日本及びミャンマーで情報誌「MYANMAR JAPON」を発行、ミャンマーニュースサイト「MYANMAR JAPONオンライン」とともに両メディアの統括編集長を務める。UMFCCI(ミャンマー商工会議所連盟)、ヤンゴンロータリークラブに所属。著書に『ミャンマー危機 選択を迫られる日本』(扶桑社)。

ミャンマー避難民の子供たちに食料と医薬品を