【TOP対談】ミャンマーの先輩に問う!

MYANMAR JAPON代表の永杉が日本・ミャンマーの第一線で活躍するリーダーと対談し、"現代ミャンマー"の実相に迫ります。

国際人権NGO ヒューマン・ライツ・ウォッチ アジア局プログラム・オフィサー 笠井哲平 氏(P.3)

ウクライナと同じ熱量でミャンマー問題を見てほしい

永杉 防衛省の士官留学生受け入れ問題については同感です。この件については、海外のミャンマー人からも日本に対する失望の声が非常に多く聞かれました。2021年時点で即座に停止するべきだったと思います。
 さて、今お話になられたことは、国際社会への提言と、日本政府への提言でした。最後に、我々日本人一人ひとりが、今後ミャンマー問題とどのように向き合っていくべきかという点についてご意見をお聞かせいただけないでしょうか。

笠井 日本人個人に求めることは、ミャンマー情勢について正確に知ることです。正しい情報を知るために大切なことはメディアの報道ですが、大きな影響力を誇りながらも残念ながら現状の主要テレビメディアの報道姿勢は、質・量ともに十分とは言えません。もちろん、MYANMAR JAPONさんのように真摯にミャンマー情勢を伝えるメディアやジャーナリストも存在します。しかし、クーデターから2年以上経過し、全般的にロシア・ウクライナ問題より扱いが小さくなってしまったのは事実です。
 さらに、伝え方についても、「ミャンマーではこんな悲惨なことが今も起こっています」で終わらせてはいけません。士官留学生の受け入れや、軍系企業を利するODAは、私たちの政府や身近な企業が関わっている問題ですが、その事実を知らない日本人が多くいると思います。
 主要テレビメディアの方々には、被害の大きさや悲惨さを伝えるだけではなく、ミャンマー問題の裏側にある日本の政府や企業の関係性もしっかりと書き出し、ミャンマー問題は私たち一人ひとりと密接に関わる問題であるということを、わかりやすく報じてほしいと思っています。

永杉 対岸の火事ではなく、日本の政府や企業などと結びつく身近な問題であるという視点を持つことは本当に大切なことですね。我々もそのような視点で、日本人にミャンマー情勢を理解してもらえるように努めたいと思います。本日はお忙しい中ありがとうございました。

永杉 豊 [Nagasugi Yutaka]

MJIホールディングス代表取締役
NPO法人ミャンマー国際支援機構代表理事

学生時代に起業、その後ロサンゼルス、上海、ヤンゴンに移住し現地法人を設立。2013年6月より日本及びミャンマーで情報誌「MYANMAR JAPON」を発行、ミャンマーニュースサイト「MYANMAR JAPONオンライン」とともに両メディアの統括編集長も務める。(一社)日本ミャンマー友好協会副会長、(公社)日本ニュービジネス協議会連合会特別委員、UMFCCI(ミャンマー商工会議所連盟)、ヤンゴンロータリークラブに所属。著書に『ミャンマー危機 選択を迫られる日本』(扶桑社)。

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