少数民族の代表団として安倍元首相とも面会
永杉 厳しさを増すミャンマー情勢ですが、多くのミャンマー避難民がタイ国境に押し寄せ、また少数民族と国軍の戦闘も激化するなど、国境地帯がいま揺れています。その現場を取材する企画も6回目となりますが、今回 はカレン民族同盟(KNU)で報道官を務めるパドー・マンマン氏にお話を伺います。
まず最初に、KNUが拠点としているカイン州(旧カレン州)についてお聞きしたいのですが、少数民族であるカレン族はこちらにどのくらい住んでいるのでしょうか。
マンマン カイン州の人口およそ150万人のうち、30%ほどがカレン族です。これは近隣の州も同様です。民族名を冠した州でも、基本的には多民族なのです。カレン族全体ではミャンマー国内に500~700万人ほどいると思います。
永杉 KNUは、カレン族の自治権拡大を求めて活動を続けてきました。その一環で日本へも訪れたことがあるそうですね。
マンマン
2013年の4月でした。少数民族の11勢力で構成されるUNFC(統一民族連邦評議会)のメンバーとして日本へ行き、当時の安倍首相とも面会しました。その席ではミャンマーのすべての民族の平等と、民主化の進展に向けて日本政府に支援を要請しました。これは日本財団・笹川陽平会長のお招きでもありました。
永杉 ちょうど10年前ですね。残念ながら当時に比べてミャンマーの民主化は遠いものになっています。そしてカイン州でも2021年のクーデター以降、国軍とKNUの戦闘は実に8000回以上も発生しています。
マンマン 国軍は学校や病院をターゲットにしており、反軍事政権の市民を徹底的に殺害する姿勢です。これはとても人間の行うことではありません。