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建設ラッシュで変遷を遂げる需要 群雄割拠のオフィス事情

ミャンマー進出を決めて最初に着手するのが、オフィス選びだろう。ここ数年ヤンゴンでは建設ラッシュが進み、選択肢は拡大の一途を遂げている。オフィス構築に寄与する注目企業のほか、ヤンゴン・オフィス事情の現状をお届けする。

 一時ほどの勢いはないとされている海外直接投資も、中長期的にみれば確実に伸びているミャンマー。金融をはじめ外資企業への規制緩和も徐々に進み出し、今もまだ追い風が吹いていることは間違いない。

 日系企業の進出も堅調。そして事業を始める際にまず避けては通れないのがオフィス選びだろう。ここ数年続いている建設ラッシュにより、オフィスの賃料は減少傾向で、オフィス構築をサポートする企業も増えているため、ユーザーにとってはありがたい状況になってきている。

 ヤンゴンのオフィスビルといえば、ダウンタウンの中央にそびえ立つサクラタワーを筆頭にスーレースクエア、ミャンマープラザ、プライムヒルの四強の知名度が高く、次いでラピウォンプラザ、UBC、レーダンセンター、MICT パーク、UFC、センターポイントなどにも日系企業が入居する。ここ最近の開業に目を向ければ、ジャンクションシティ、カンターヤー、クリスタルタワーなどが挙げられ、日系企業の問い合わせも増加中。最新の設備を整え、セキュリティのレベルも世界標準のため、今後はコンプライアンスの観点からもそうしたニーズも高まるだろう。また、最新設備を有する企業にはミャンマー人スタッフが“誇りを持てる”として、採用に有利に働くというメリットもある。

 日系企業が多く入居するオフィスビルに入ること自体もメリットとされ、ひいては企業への信頼性につながり、さらにご近所付き合いでの情報交換といったことも。大手企業ですら“一人社長”といったケースはヤンゴンでは珍しくなく、そうしたときに安心感が担保されているのは、目に見えない大きなメリットと言える。

 競争が始まればあらゆるサービスが向上するのは、どの業界においても同じであり、各オフィスビルは日々切磋琢磨し、もはや停電などははるか昔のこと。入居者同士の交流会など独自のサービスを打ち出し顧客との親和性を高めるオフィスもあれば、それよりも“日常のオペレーション”を重視し、社員教育に注力しているところもある。いずれにせよ、ユーザーにとってはメリットしかない。

 すでに群雄割拠状態のヤンゴン・オフィス事情。冷静に比較しながら、最適な仕事場を見つけてもらいたい。

大学のキャンパスと隣接するMICT パーク。IT 企業を率先して誘致しているため、DMSやOCCなどの企業が入居

渋滞が途切れないレーダン交差点にあるレーダンセンター。丸紅やゼロックス、JOS、FWPなどが入っている

新しめのオフィスビル。電通などが入居し、今後も注目度が高まりそう。ロケーションが抜群で利便性も高い

千代田&パブリックワークスが運営するプライムヒル。住友商事、双日、TMI、JETROなどが入る有名オフィス

最新設備が整うジャンクションシティタワー。まだ日系企業は少ないが、今後注目されるオフィスビルの一つ

KDDI、JTPポールスター、VACなどが入居するラピウォン。パークロイヤル横に位置する老舗のオフィスビル

オフィス選びの基準って?
進出、移転の際に基準となるのは、①ロケーション、②価格、③ファシリティ。ここ最近の多くのオフィスビルはファシリティが充実し、①と②については事業規模やスタッフ数によって変わってくる。①においては、ミャンマー人スタッフはバス通勤が一般的であり、渋滞が激しいことから市内から遠いとそれだけで敬遠されることも。スタッフにヒアリングしながら決めるのも一つの手だろう。

三菱商事、NTT、佐藤工業、SAI トラベル、ACA 設計など多くの日系企業が入居。20階のレストランも人気

最新設備を整えたオフィスビル。顧客はJCB、ANA、FUJIFILM、ミャンマーブルワリーなど大手企業が多数

ファイナンシャルというだけに金融(システム系)企業が多い。日系の入居企業は三菱UFJ 銀行、NECなど

最も新しいオフィスとして注目されているカンターヤー。最新のセキュリティも万全で、iSGMなどが入居する

大使館の横に位置するUBC。入居企業はJFE エンジ、三菱電機、日本財団、KPMG など。常に人気のオフィスビル

ヤンゴンの中心と言えるミャンマープラザ。テナントには日立、三井物産、豊通などの日系企業が名を連ねる

値段の相場って?
価格については随時変動しており、平米30ドル以上が一般的だが、交渉次第で安くなることも。20ドル台から受け付けているところもあるが、中堅規模以上の日系企業の多くは30ドル以上が多い。一方、高い場所では50ドル以上といったところもあり、テナントがあまり空かないといった傾向がみられる。それでも昨今の建設ラッシュにより、価格は軒並み減少傾向と言えるだろう。