先週の新型コロナ発生状況を振り返ってみましょう。
陽性者数
先週の全国の陽性者数は8,868人と少し減少しました。もちろん地区によって違いがあります。ヤンゴンは4,534人と明らかに減少してきました。一日600人強です。
日本の場合と比較すると東京都では第2波のピーク時には350人ぐらいの陽性者がでていましたが、1ヶ月後から今回の第3波が来るまで平均150~180人程度に収まっていました。半分弱です。日本全体では8月上旬のピーク時には一日1,400人ぐらいの陽性者がいましたが、安定期は500人ぐらいでした。これも半分弱です。これをヤンゴンに当てはめるとヤンゴンはピーク時は10月5日の週の8217人でしたから半分弱だと3,500~4,000人ぐらいに落ち着くかもしれません。そうだとすると現在の4,534人というのはそれほど悪くない数字かもしれません。
ヤンゴン以外の地区は4,334人とその前週とほぼ同数です。マンダレーの週間陽性者数は1,956人とさらに増加しており、1ヶ月前の週643人と比較すると押さえ込みに成功していないことは明らかです。ミャンマー全体でみるとヤンゴンでは感染拡大は収まってきており、その他の地域でも少し落ち着いてきているが、マンダレーは拡大中であると言えるかもしれません。
死亡者数
全国の週間死亡者数は164人で特に減少しているとは言えません。12月11日現在のマンダレーでの通算死亡者数は66人で、1ヶ月前の11月11日は12人でしたので、この1ヶ月でかなり増加しています。
しかし同時期のヤンゴンの死亡者数は1,414人から2,017人と603人の増加ですから、陽性者数がヤンゴンの半分近くに増えているマンダレーの死亡者数は今のところ少ないと言えます。マンダレーの方がヤンゴンより医療施設が充実しているとは言えないので、隔離施設も足りなくなるしこれから死亡者数も増えてくると思われます。
治療中患者数
治療中患者数は全国で増えも減りもせず19,000人台で安定しています。新規患者数から明らかなように、ヤンゴンでは減少している反面、マンダレーで増加しているであろうことは間違いありません。数字では示されていませんが、ヤンゴンでは医療崩壊の危機的状態から少し余裕ができ来ているはずです。
しかし何度も申し上げている通り、治療中患者数2万人というのはミャンマーの医療資源からみると明らかに多すぎます。
日本では第3波で陽性者数が増えすぎて、陽性者を隔離したり、周囲の濃厚接触者のPCR検査をしてクラスターが発生していないかを調べるフォローが不十分になりつつあると言われてますが、ヤンゴンやマンダレーではもう十分なフォローがされていないのではないでしょうか。ということは、市内に検査されていない陽性者がかなりいることも覚悟しなくてはなりません。
先々週、ついにミャンマー在留邦人がコロナ陽性と診断されたと報告しましたが、この方は無症状患者でした。しかし、先週は日本人の中から新型コロナを発症した患者さんが出ました。この方は70代男性で、1週間ぐらい前から風邪を引いたが少し良くなったと思っていたそうです。熱はないが非常に具合が悪そうで、酸素飽和度が低いのでYJMCで診てもらいたいと連絡がありました。
酸素飽和度を測るパルスオキシメータは、ヤンゴン市内でも比較的簡単に入手できます。酸素飽和度が下がるのは重症なので入院した方がよいと病院を紹介したのですが、測り直したらそれほどひどくなかったのでYJMCで診てもらいたいということで受診しました。しかし、かなり状態が悪そうだったので、処置室で酸素投与をしましたが、熱が38.1℃もありました。直ちに入院が必要な状態でしたが、新型コロナウイルス感染の疑いがあるので大使館と連絡を取りNew Yangon General Hospital(NYGH)に転送、入院となりました。後日この患者さんがコロナ陽性だったと連絡がありました。現在はNYGHのICUで治療中だそうです。早く回復してくれることを祈ります。
YJMCでは発熱のある患者さんはクリニック内に入れないで屋外で診察、検査をするようにしていましたが、今回は熱がないという情報とあまりにも状態が悪かったため室内に入ってもらって対応しました。その結果、職員のコロナ感染の可能性を否定できないため、20日までの予定でYJMCを自主的に閉鎖することにしました。ヤンゴンの日本人の皆様には不便を強いて申し訳ございません。
他の病院では受診した段階で発熱があれば、診察自体を断られたと思われます。何度も注意喚起していますが、これだけコロナが蔓延しているとヤンゴンにいる人はいつコロナに感染してもおかしくありません。発熱があれはもちろんですが、風邪かもしれない、体調不良などの場合でもコロナ感染を疑い、まず体温を測ってください。この患者さんも、直近の1週間に発熱があったはずです。
現在ヤンゴンではコロナの診断は簡単にはできませんが、2~3日症状が続いたらコロナ以外の病気であれば治療可能なので、医療機関を受診してください。特に、60歳以上の方は若い人よりリスクが高いので早めに対応してください。重症化するとヤンゴンでは対応が限られているので、早期の受診をお願いします。