JETRO STREAM~日系企業動向、ミャンマーの新潮流を読み解く~

【コラム】 20201202

アジア・デジタル・トランスフォーメーション(ADX)促進事業が始動
 アジアにおけるデジタル化の本格到来の中、日本政府が肝いりで推進しているアジア・デジタル・トランスフォーメーション(ADX)促進事業の第1回目の公募が行われ、23件の支援プロジェクトが採択されました。

日・ASEAN企業の連携によりDXを推進
 本事業は、日本企業を対象にASEANにおいて、デジタル技術を活用し、現地企業や現地政府と協働して新規ビジネスの組成を図ることを目的としています。多数の公募の中、ミャンマーにおける案件は4件が採択され、タイの7件には及ばなかったものの、ASEANでは2番目に多い実証プロジェクトが始まります。特にスマートフォンの普及率がほぼ100%といっても過言ではないミャンマーにおいては、多くの国民が既にデジタル技術に慣れ親しんでおり、いろいろな可能性を秘めています。

医療から人材育成まで幅広いプロジェクトが始動
 今回、ミャンマーで採択された4件の実証プロジェクトをご紹介します。まず、医療・ヘルスケア分野では、フジタ医科器械が排泄機能障害の改善リハビリの実践方法や効果、データ収集可能な機器を医療施設に導入し、普及事業を行います。その背景には、ミャンマーでも急激な都市化に伴う食習慣の変化から成人病の罹患者や結直腸・直腸がん患者が増加しており、医療現場においては、患者予後やQOLの改善に資する治療が求められています。

 農業分野では、ARUN Seed がゴマをターゲット作物とし、農業従事者の市場アクセス改善のためのプラットフォーム「e-Marketplace」を構築し、AI 画像認識モデルに基づく農産物のQR コードを導入し、品質・トレーサビリティの確保を図ります。
 観光分野では、日本工営が2019年7月に世界遺産登録されたバガンにおいて、早期の観光需要回復に向けて、デジタルツールを活用し、観光客が旅行先でのコロナ感染対策状況を認識し得る仕組みの開発・体制の構築を図ります。

 観光分野では、日本工営が2019年7月に世界遺産登録されたバガンにおいて、早期の観光需要回復に向けて、デジタルツールを活用し、観光客が旅行先でのコロナ感染対策状況を認識し得る仕組みの開発・体制の構築を図ります。

 人材育成分野では、スタディストが製造業のみならず、飲食業・サービス業等の労働生産性の向上に向けて、従来のテキスト・集合研修・OJTを駆使した教育スタイルではなく、デジタル技術を活用しながらビジュアルベースの標準作業手順書(SOP)を、遠隔運用も可能となる形で提供します。

 各プロジェクトの概要はこちらで閲覧できます。今回は第1回目の公募でしたが、いずれ第2回目の公募が始まります。ジェトロとしても、各企業様と連携しながら、デジタル技術を活用し、ミャンマーにおいても新たなビジネスモデル構築のお手伝いをしたいと考えています。

(2020年12月号掲載)

田中一史(たなか かずふみ)
日本貿易振興機構(ジェトロ)ヤンゴン事務所長。主にアジア経済の調査や企業の海外展開支援業務を担当。海外勤務は、マニラ事務所調査ダイレクター、サンフランシスコ事務所北米広域調査員、バンコク事務所次長を歴任。2017年12月より現職。

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