なるほど! 納得!! ミャンマー法 ~駐在弁護士が気になる“あれこれ”を解説~

【コラム】 2020804


工業団地法の成立

 2020年5月26日に、工業団地法が成立しています。

 この工業団地法の大きな枠組みとしては、開発業者が認可を取得して工業団地を開発し、投資者に対して、50年間(及び10年間の延長が2回可能)賃貸して、工場等を建設することを認めた法律です。
 本法では、中央委員会、地方委員会、工業団地の管理委員会の3つの階層の組織を作ることを定めています。また、開発業者及び投資者は、以下の通り定義されています。
 開発業者=その責任において工業団地の設置を行い、工業団地のインフラの建設、運営を行い、工業団地内の保守を行う者をいいます。本法とは異なる経済特区法の例ですが、ティラワのMJTDのような役割を果たす会社を想像すると分かりやすいでしょう。
 投資者=地方委員会の定める規則に従い、工業団地の特定の区画に投資を行う者をいうとされています。工業団地に投資して、工場を設置する会社などが、これに該当します。

開発業者の権利
 DICAのモデル定款を採用している場合、取締役会については、①直接出席による方法のほか、②電話による方法、③オーディオビジュアル機器による中継、④その他即時コミュニケーション手段によって、開催することができます。

 開発業者には、以下の権利等が認められています。
a. 工業団地ビジネスを行うこと(地方委員会との間で法律に基づき開発契約を締結し、投資者への転貸、インフラ整備を行うこと)
b. 管理委員会の監督の下、工業団地の保守工事を行うこと
c. インフラ整備については、自ら行うこと、又は第三者と契約して行うことができる。
d. インフラについての関連サービスを提供すること(関連政府機関の承認を取得すれば、工業団地外でも提供できる)

 なお、ここでいうインフラには、工業団地に関する電力・水の供給、排水処理、防火システム、道路、鉄道、港湾、空港、通信ネットワーク等の有形のインフラと、効率的な運営のためのコンピュータープログラム、マネジメントプログラム等の無形のインフラを含むとされています。

投資者の権利
 本法は、投資者に以下の行為を認めています。
a. 最終製品の製造、関連製品の製造、包装材の製造、高価品の製造
b. 材料と最終製品の運送、及び道路の保守、改良
c. 投資事業に関する他の種類のサービス
d. 規則に従って投資事業で製造された製品を国内外に販売すること

 本法は、開発業者が開発した土地を転貸するという経済特区法と類似の仕組みで、工業団地を造ることを認めた法律といえ、報道されている周辺国からの大規模工業団地への投資計画とも呼応する法律と思われます。
 他方で、現状のMIC 申請手続との関係や、既存の工業団地にどの程度、本法が適用されるか等、不明な点も多く、今後、規則等での内容の具体化が待たれます。

(2020年8月号掲載)

甲斐史朗(かい ふみあき)
TMI総合法律事務所パートナー(ミャンマー担当)。日本国弁護士。早稲田大学政治経済学部政治学科、ロンドン大学LLM卒業。2015年1月よりヤンゴンオフィス駐在。

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弁護士約420名、弁理士約80名を擁する日本の五大法律事務所の一つ。
ミャンマーには、日本の法律事務所として最初に進出し、2012年にヤンゴンオフィスを開設。

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