ミャンマー医療の現状とバンコクへの緊急搬送について現時点での情報

【コラム】 2020701

下記日系医療関係企業より連名にてミャンマーの最新医療レポートの提供がありました。

・Yangon Japan Medical Centre
・Myat Mon 東京クリニック
・ブルーアシスタンスミャンマー
・ウェルビーミャンマー
・プレステージインターナショナルミャンマー

ミャンマー再渡航をご検討されている皆様
ミャンマー医療の現状とバンコクへの緊急搬送について現時点での情報を取りまとめました。皆様のご判断の一助となれば幸いでございます。なお、情報は6月26日時点のものとなります。日々状況は変化することをご理解の上、ご参考にして頂きますようお願い申し上げます。

<①ミャンマーにおける新型ウイルス対策の全体評価>

Q:3月23日の陽性患者発生から現在に至るまでの陽性患者数の推移、死亡者数の推移及び回復者数の推移をどのように評価されますか?
A:ミャンマーにおける新型コロナウイルスの封じ込めに関しては、非常に成功していると評価しています。ほとんどが隔離中に発症しているので重症化することが少なく、結果として死亡者数が非常に少なく抑えられています。

Q:3月23日の陽性患者の発生以降、ミャンマー政府や特にヤンゴン管区政府が実施してきた防疫体制と各種規制は、現状で効を奏していると評価できますか?
A:上記と同じになりますが、患者が発生した時の封じ込めのための対策は非常に厳格であり、それが功を奏しているので感染がコントロールできていると思われます。

Q:今後、Covid-19 蔓延の第二波、第三波が到来した場合、各種規制や防疫体制をもってある程度の抑え込みが可能と推測されますか?
A:現在の国境閉鎖などの対策を永久に続けることは不可能でありますが、現在のような対策をとれば抑え込みは十分に可能であると思われます。

Q:万一、Covid-19 に罹患した場合、政府指定医療施設での治療となりますが、現状の回復者数を鑑みると外国人が許容できる医療サービスの提供と医療水準が保たれていると評価できますか?
A:単に施設面、サービス面だけでいえば、先進国外国人が許容できるほど十分に衛生的、快適であるとは言えないと思います。しかし死亡者数が少ないのは事実であり、早期発見患者が多い、高齢者が少ないとの条件を考慮しても治療結果は現時点で良好であると言えると思います。

Q:政府指定医療機関又はヤンゴン総合病院において、ミャンマーの医療人材は人工呼吸器等の医療器材の取り扱いについて許容できる程度の取り扱い知識と技能を保持していると評価できますか?
A:ヤンゴン総合病院などミャンマーのトップレベルの医療人材の水準を測るだけの情報と経験を持っていません。しかしどの国でもトップはある程度の水準を持っていると思います。

Q:JCCM会員企業で駐在員の一時退避率は概ね5割であり、5月に入りシフト勤務やミャンマー人スタッフのみで事業所を再開している企業が多く見受けられますが保健スポーツ省ガイドラインに沿った防疫体制を講じた上で、事業所を再稼働させることに関してどのように評価されますか?
A:これに関しては医療関係でないのでコメントはできません。

Q:今後、入国規制や検疫規制が緩和され一時退避している日本人駐在員がミャンマーへ帰任する際、ミャンマーにおけるCovid-19 症の蔓延状況に鑑みて懸念される事項やその懸念を低減させるために行うべき事項をご教示ください。

A:現在の警戒レベルを維持するのであればミャンマーはかなり安全です。しかしこのままの警戒レベルを永遠に続けることは不可能を思っています。どの程度海外からのコロナ持ち込みを許容して、警戒レベルをさげるのかは予想できませんし、世界中でまだ実施されていなので、結果の予想も不可能です。

(文責:Yangon Japan Medical Centre院長 井上聡)

<②ミャンマー国内のプライベート病院の受け入れ状況について>

❑今年4月~5月に比べて外国人を受入を拒否をする医療機関はほぼなくなってきているように感じます。専門医の診察が必要な場合も問題なく医療機関は受け入れられ、診察も問題なくできています。オンライン診療も各医療機関実施しており、医療機関に向かわずとも診察を受けることができます。発熱・咳などの症状がある場合で、コロナ感染の可能性については、担当医師の判断で政府に通報致します。

(文責:ブルー・アシスタンス・ミャンマー / General Manager 西村博彦)

❑ピーク時と比べ、現状は発熱や咳等の疑わしい症状がある場合を除き、通常時と同様に受診出来るようになりました。ただし、一部の医師は引き続き、外国人の受診に対し、拒む場合があります。その場合は、別の医師へご案内いたします。 また、感染の疑いがある場合はこれまで通り、政府へ通報されます。

(文責:ウェルビー・ミャンマー / Managing Director 河原寛明)

❑4月のような「発熱・咳などの症状=政府系病院を頼るしかない」という状況からは脱しています。多くのプライベート病院がオンライン診療を整備しており、他疾患との鑑別診断を受けられるようになったことが大きな理由です。現在は市中感染が落ち着いているので、これまで出勤を控えていた医師たちも診療を再開しており、医療へのアクセスは改善していると判断します。ただしこれらは、市中感染が発生しておらず、国際線の着陸禁止措置が取られている現在の状況です。措置が解除となれば、どこの病院も海外渡航歴による受診制限を設定すると思われるので、状況は変化すると予想します。

(文責:プレステージ・インターナショナル・ミャンマー / Manager 多木陽子)

<③海外への緊急搬送の現状について>

実際にこの期間に一般旅券を所有する外国人の方が、バンコクの私立病院に緊急搬送したケースが発生しています。(ただし年齢・症状・搬送に至る経緯などは一切不明)同院に問い合わせたところ、担当者より「この外国人のケースの場合は10日かかった。搬送手配や病院受け入れを検討することは可能だが、患者様の容体や搬送に係る時間を考慮する必要がある」との回答を頂いています。

緊急搬送に関しまして、タイ・ミャンマーの措置内容と緊急搬送時の課題について、2020年6月26日現時点で把握できている情報を以下に記載します。ただし、あくまで現時点での対応であり、今後も同様の対応が受けられることを確約するものではないことを十分ご理解ください。
<隣国タイの措置>非常事態宣言により,外国人の入国を原則禁止とする。ただし,労働許可証を有する外国人,外交団,国際機関の職員,政府の代表等に限り,健康証明書(出発の72時間以内に発行されたもの)及び出発地のタイ大使館/総領事館が発行するレター(労働許可証を有する外国人の場合のみ)の提示があれば,入国は可能となる。

❑2020年3月21日より以下の入国制限を実施中
(1)過去14日間の乗客の移動履歴を確認し、感染地域および感染拡大地域に移動したかどうかを確認する。
(2)医療機関が発行した英文の健康証明書を確認する。健康証明書は、新型コロナウイルス陰性証明を含み、出発日の72時間前までに発行されていること。
(3)健康保険を確認する。海外旅行中の医療費の全額をカバーする10万米ドル相当かそれ以上のもの。(患者と同伴者が付帯していることが条件となる。保険を付帯していない場合は10万ドル以上を所持している証明書が必要)
【課題①】タイ入国に関して、緊急搬送のためにミャンマー国内で該当患者のPCR検査を施行することは可能なのか?
【回答①】緊急搬送した上記のケースでは,病院がミャンマー政府にPCR検査の実施許可を取り付け,病院内でPCR検査を実施したとのこと。

❑タイ入国後の行動制限措置に関して
例外的に入国した者に対し,入国時に発熱及び呼吸器症状が確認された場合は,ウイルス検査を実施する。入国時の検査で陽性の場合は,タイの医療機関で隔離・入院治療の措置をとる。陰性の場合,入国後14日間の自己観察を要請する。3月22日から,全ての国からの入国者に対し,14日間の自宅待機を求める。
【課題②】医師・看護師がアテンドする場合のタイ入国後隔離の取り扱いはどうなるのか?
【回答②】緊急搬送した上記のケースでは,タイから同行する医師であれば提携する医療機関でPCR検査,隔離措置。なお,ミャンマーから同行する医師については実績がなく不明。
<ミャンマーの措置>3月31日から6月30日まで,商用旅客航空便の着陸を禁止する。3月19日から陸路での外国人の出入国を禁止する。

❑ミャンマーの入国制限措置(2020年6月1日付 ミャンマー外務省発表)
(1)感染ハイリスク国からの入国制限措置並びに全ての国に対するアライバルビザ及びe-ビザ発給の暫定的な停止措置(3月15日及び3月20日付発表)
(2)全ての外国人入国者に対する陰性証明書の提示義務づけ(3月24日付発表)
(3)外交団,国連機関職員及び航空機・船舶乗務員を除き,全てのタイプの入国ビザの発給停止措置(3月28日付発表)
【課題③】医師・看護師のアテンドが必要で、医療チームを海外から呼ぶ場合、ミャンマー入国時のPCR検査が必要なのか?
【回答③】緊急搬送した上記のケースでは,タイから救援機に同乗しミャンマーに到着した医師が,救援機内で待機することでPCR検査,隔離措置が免除されたとのこと。

❑入国後の21日間の施設隔離措置
緊急搬送時に医師・看護師がアテンドする場合、
【課題④】ミャンマー人医療者であれば、ミャンマー再入国時の隔離の取り扱いは?
【回答④】事例がないため確認困難。
【課題⑤】外国人医療者であれば、ミャンマー入国時の隔離措置の取り扱いは?
【回答⑤】課題③の回答のとおり。

❑全体を通して
【課題⑥】タイ入国時のVISAの発給は?
【回答⑥】緊急搬送した上記のケースでは,ヤンゴンにあるタイ大使館で発給可能であったとのこと。
【課題⑦】タイ側の病院の受け入れ状況は?
【回答⑦】必ずしも全て受け入れられるものではなく、ケースバイケースの対応となる。
【課題⑧】これら搬送のために必要な準備が全て整うまでにどれくらいの時間がかかるのか?
【回答⑧】緊急搬送した上記のケースでは,10日間を要したとのこと。

(文責)ブルー・アシスタンス・ミャンマー / General Manager 西村博彦
ウェルビー・ミャンマー / Managing Director 河原寛明
プレステージ・インターナショナル・ミャンマー/ Manager 多木陽子

<④ミャンマー再渡航の際の留意点>

【駐在員/帯同家族】健康管理を徹底してください。重篤疾患が発症しないように生活習慣を正しましょう。持病がある方は定期的に病院を受診し、医師に体調を確認してもらうようにしてください。
【お子さん】平常時でも1歳未満のお子様の帯同は推奨しておりません。また、ミャンマーは様々な感染症が蔓延しており、ワクチンの供給量が不安定な国です。全ての予防接種を日本で終わらせてから入国をお願いします。
【妊婦さん】高度な医療を扱う外資系病院も進出しておりますが、万が一の分娩トラブルが起こった際のリスクが非常に高いため、引き続きミャンマーでの出産は推奨いたしません。ミャンマーへ戻る場合は、感染者の増加やフライトの運航状況が不安定になった場合に備え、いつでも帰国できるように準備をしておいてください。
上記の通り、緊急搬送にかなりの時間を要するので、心筋梗塞・脳梗塞・盲腸・交通事故による大怪我など、緊急性が高い病気・怪我に関しては、依然としてバンコクの医療を頼らずにミャンマー国内での治療・手術を第一優先として考える必要があります。

(文責:Myat Mon 東京クリニック院長 Dr. U Myint Oo)
以上

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