【TOP対談】ミャンマーの先輩に問う!

MYANMAR JAPON代表の永杉が日本・ミャンマーの第一線で活躍するリーダーと対談し、"現代ミャンマー"の実相に迫ります。

Overseas Irrawaddy Association(OIA)代表 フォー・ティンジャン 氏(P.3)

縫製訓練センターを立ち上げ
難民の自活を支援する

永杉 今後、OIAとしてメーソートや国境地帯の人々をどのように支援していこうと考えていますか。

フォー 現在、食料が圧倒的に不足しているという現実があります。ですから、当面はさまざまな団体や個人から寄付や支援を受けて食糧支援を続けていかなければなりません。
 一方で、その支援方法には限界があります。現時点でさえ、すべての難民や避難民に食料を行き渡らせることができていません。今後、更に避難民が増えれば、一人あたりの支援はより手薄になってしまうでしょう。
 その状況を打破するためには、避難民一人ひとりが自活する必要があります。そこで我々は、支援団体からサポートを受けてメーソートに縫製訓練センターを作りました。難民にここで縫製の実習訓練を重ねてもらい、地元の工場に就職できるよう協力していきます。将来的には工場で働くだけでなく、希望する人にミシンや材料を無償提供し、自宅で衣料品を作って納品してもらい手数料を支払うというようなビジネスモデルも考えています。

永杉 現在はどのような製品を作っているのでしょうか。

フォー Tシャツなどを作っています。ここで製作したTシャツは日本でも買えるようになる予定です。

永杉 製品を買えるようになれば、手軽な支援の形として日本人も協力しやすくなりますね。いい考えだと思います。最後に、日本人へのメッセージをお願いします。

フォー アジア各国の中でも、日本は民主主義や人権問題に関して高度な認識を有している国だと考えています。特に東南アジア諸国と比べると遥かに進んでいます。日本人には、今ミャンマー人が自由を求めて戦っている思いを共感していただけるのではないでしょうか。
 ミャンマーと日本の間には長く深い交流の歴史があります。独立闘争の時代を振り返ってみても、日本が大きな役割を果たしてくれました。こういうことを言うのはあつかましく申し訳ないと思いますが、今一度、ミャンマーのために日本国民皆さまのお力添えをいただきたいと考えています。

永杉 私は昨年、「ミャンマー国際支援機構(MIAO)」というNPO法人を、在日ミャンマー人や日本人有志、超党派の国会議員らとともに立ち上げました。そこでは、支援の手が届かない人々に向けて食糧支援を行うことも活動の柱の一つとして掲げています。ですから、OIAが行っているような避難民への食料支援には是非協力したいと思います。
 一方、本日お話をうかがったような、難民の自活も大変重要な話だと思いました。もちろん、ミャンマーが安定して難民の方々が帰国できることが一番ですが、現実はそうではありません。「難民の自活」という新たな支援方法についても模索したいと思い至りました。本日はお忙しい中ありがとうございました。

(取材協力:ジャパンソサエティ井本勝幸 撮影:尾崎ゆうき)

永杉 豊 [Nagasugi Yutaka]

MJIホールディングス代表取締役
NPO法人ミャンマー国際支援機構代表理事

学生時代に起業、その後ロサンゼルス、上海、ヤンゴンに移住し現地法人を設立。2013年6月より日本及びミャンマーで情報誌「MYANMAR JAPON」を発行、ミャンマーニュースサイト「MYANMAR JAPONオンライン」とともに両メディアの統括編集長も務める。
(一社)日本ミャンマー友好協会副会長、(公社)日本ニュービジネス協議会連合会特別委員、UMFCCI(ミャンマー商工会議所連盟)、ヤンゴンロータリークラブに所属。著書に『ミャンマー危機 選択を迫られる日本』(扶桑社)。

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