【TOP対談】ミャンマーの先輩に問う!

MYANMAR JAPON代表の永杉が日本・ミャンマーの第一線で活躍するリーダーと対談し、"現代ミャンマー"の実相に迫ります。

Overseas Irrawaddy Association(OIA)代表 フォー・ティンジャン 氏(P.2)

バックナンバーはコチラ

クーデターで状況が一変
多くの難民がタイに流入した

永杉 2021年2月1日にクーデターが発生します。その後、市民の抵抗運動が起こり、軍がそれを弾圧。市民は攻撃から逃れるため国境地帯のジャングルに逃げ込んだほか、国外への難民も発生しました。クーデター後のメーソートの状況はいかがでしたか。

フォー ここに多数の難民が流入したのは、21年12月15日のことです。前日の14日、メーソートと国境を接するカレン州のレイケイコー村が攻撃を受けたことにより、多くの避難民が発生したのです。
 初日に逃げてきたのは、およそ1,300人。OIAは寺に身を寄せる彼らを支援するために即日炊き出しを実施しました。その日から今日に至るまで難民や避難民の支援活動を続けています。永杉
 レイケイコー村は日本財団が中心となり、住宅や学校、クリニックを開設するなどの支援事業が行われてきた村です。一方、カレン民族同盟(KNU)の統治地域ということで、クーデター後、国軍による空爆や攻撃が行われました。付近では攻撃が断続的に続いており、避難民は今も増え続けていると聞いています。当初1,300人だった難民は現在、どのくらいの人数になっているのでしょうか。フォー
 まず、メーソートにいる難民だけでも、その数は数十万人にまで膨れ上がりました。また、近隣の国境地帯にもおよそ数万人の避難民が潜伏していると見られています。
 しかし、OIAがこれらすべての人々を支援できているわけではありません。特に国境奥地へはアクセスも困難なため、我々が支援できているのは国境地帯の数千人程度に過ぎないのです。

永杉 支援活動はOIA単独で行っているのでしょうか。それとも、他団体などと協力して行っているのですか。

フォー 各国の団体や個人と協力して行っています。例えば、タイのバンコクを拠点に活動している国際非政府組織(INGO)が30年以上にわたりタイ国内にいるミャンマー難民を支援してきた実績があります。メーソートでの食料支援は彼らとも協力して行っています。
 また、日本人も支援活動を行ってくれています。先日は、日本人の井本勝幸さんや在タイの日本人起業家などが食糧支援プロジェクトを立ち上げ、米400袋を寄付してくださいました。

永杉 現在、難民や避難民の方々はどのような物資を必要としているのでしょうか。

フォー 衣食住すべてと言っていいでしょう。彼らは着の身着のままで逃げ出してきましたから、何も持っていません。しかし、喫緊の課題はやはり食糧問題です。先に申し上げた通り、各国の団体や個人が支援してくれていますが、メーソートと国境地帯を合わせて数十万人の食べ物を安定的に供給することはできていません。ですから、彼らにいきわたる食料を準備し続けなければならないのです。具体的に言うと、米、油、豆、魚の缶詰、干し魚などが求められています。また、できることなら週に一度は野菜などの生鮮食品を提供できればよいと考えています。

▲川を渡りタイ側に逃れてきたミャンマーの難民

ミャンマー避難民の子供たちに食料と医薬品を