【TOP対談】ミャンマーの先輩に問う!

MYANMAR JAPON代表の永杉がミャンマーの第一線で活躍するリーダーと対談し、"現代ミャンマー"の実相に迫ります。

Capital Taiyo Life Insurance, Ltd. ヤン・パインCEO

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次第に高まりつつある生保への意識
丁寧な対面販売でシェア拡大を狙う

今回のテーマ 太陽生命とのジョイントベンチャー

ヤン・パイン [Mr. Yan Paing]

Capital Taiyo Life Insurance, Ltd.
CEO

ヤンゴン生まれ。アメリカで学士号取得後に帰国。ミャンマー最大のコングロマリットであるCapital Diamond Star Groupにて、マネジメントや事業開発を担当する。2013年、保険市場の民間への開放を受けて設立されたCapital Life Insurance Ltd.で共同設立者兼MDに着任。2019年に太陽生命と合併し現職。ミャンマー保険協会(MIA)の中央執行委員などの要職も務める。

民間参入はわずか8年前
後発だが伸びしろは大きい

永杉 本日は太陽生命とのジョイントベンチャーCapital Taiyo Life InsuranceのCEOである、ヤン・パインさんにお話を伺います。早速ですが、ミャンマー保険市場の概況を教えてください。

ヤン ミャンマーにおいて民間保険会社への市場開放が行われたのは2012年です。当社の前身であるCapital Life Insuranceは、その翌年に設立されました。そして日本の皆さんもご存知の通り、外国企業の保険分野への開放が行われたのが2019年と、ミャンマーの保険業界はアジア全体をみても後発のマーケットです。
 しかし、スタートは遅かったものの、ポテンシャルが極めて高い市場と言われています。一般的に保険業が大きく成長し始めるのはGDPがUSD2,000~2,500に達する頃と言われていますが、現在のミャンマーはUSD1,500程度で、この数字に近づきつつあります。また、5,000万人という豊富な人口も成長への有利な要素と言えるでしょう。

永杉 民間の参入が遅かったため保険に馴染みが薄く、セールスが困難といった問題はないのでしょうか。

ヤン ここ数年で、保険への理解は格段に進んだと考えています。数ある保険の中でもまず最初に増えたのは自動車保険です。近年、輸入だけでなく国内生産も行われるようになり、所有台数は大きく増えました。それにともない、自動車保険の加入率も増加し、ヤンゴンでは20~30%程度が加入しています。また、火災保険の加入率も増加するなど、損害保険は順調に成長しています。他国の傾向をみると、まずは損保が伸び、そこから3~5年ほど遅れて生保が成長するという道筋を辿ってきました。当社は生保を扱いますので、今後大きく成長するものと期待しています。

永杉 国によっては保険業界に対して法律でさまざまな規制をかけているため、ビジネスの遂行が困難になることもあります。ミャンマーの法整備はどのようになっているのでしょうか。現時点では、法律による大きな影響は受けていません。国としても自由化からそれほど年月が経っておらず、さまざまなことが手探りの状況です。現在、関係省庁と我々企業は積極的にディスカッションを行っており、問題の解決を進めています。こうした官民が一体となっている状況は、業界の成熟にとって良い傾向だと言えるでしょう。

早期進出した太陽生命
地道な活動が信頼に

永杉 2019年、太陽生命保険株式会社の出資を受け入れ、社名がCapital Taiyo Life Insuranceに変更されました。太陽生命との合弁の決め手となったのはどのような点でしょうか。

ヤン
 太陽生命がヤンゴン駐在員事務所を開設したのは2012年。そこから今回の合弁までの7年ほど、同社は我が国の保険業界発展のためにさまざまな貢献をしてくれました。合弁に至るためには多数の理由がありますが、こうした地道な活動を目の当たりにしていたことが、決断の大きな決め手となったのは間違いありません。
 また、ミャンマーに根ざして末永くビジネスをしたいという考えが強いことも重要。保険は顧客の人生に寄り添うものですから、長い目でビジネスを考えている会社でなければいけません。太陽生命はその点でも、我々の考えと合致する会社でした。

永杉 実際に提携してみて、太陽生命に対してどのような印象を感じていますか。

ヤン 我が国における活動が長いため、ミャンマーという国や人を理解している会社だということ。生命保険分野に関連する言語能力と知識を有したスタッフが多いこと。そして、人材を育てられる優秀なトレーナーがいることなどが強みだと感じています。
 生命保険の場合、CMなどを展開してブランド名を周知させることも大切ですが、契約の決め手となるのは、顧客との対面での説明です。なぜこの商品が必要なのかを、一人ひとりの事情に合わせて説明できなければ、保険は売れません。太陽生命は日本でもこうした対面の販売を重視しています。そこで培われたノウハウをミャンマー人スタッフ対して適切にトレーニングできるのは、当社が先んじている部分だと自負しています。

貯蓄を好む人々に向け
保険の強みをアピール

永杉 実際の販売方法についてのお話がありました。シェア拡大に向けた戦略をもう少し詳しく教えてください。。

ヤン 第一にやらなければならないことは、生命保険に対するミャンマー国民の意識改革です。生命保険は、もしものときのために必要というだけでなく、契約によっては貯蓄の意味もあるのだということが、まだ広く浸透していません。
 ミャンマー人は貯蓄を好む傾向があります。銀行に預けるだけでなく、金を買うこともミャンマー人の習慣としては珍しくありません。こうした人々に、リスクマネジメントをしながら貯蓄もできる生命保険の存在を周知していく必要があります。理解度は次第に高まりつつありますが、地方はまだまだカバーできていないところばかりです。これをフォローするためには、対面販売のチャネルを適切に拡大することが不可欠。代理店やエージェント、さらには大手銀行とパートナー契約を結ぶなど、顧客とつながる窓口を適切に増やしていきたいと考えています。
 対面販売を重視する姿勢は変わりませんが、時代に合わせて、オンラインへの対応も進めなければいけません。タブレット端末による保険加入申し込みや、スマートフォンを使った保険料収納など、顧客の利便性を高めるシステムは積極的に導入する予定です。

永杉 2019年に地場保険会社との合弁会社を設立した外資6社のうち、5社が日系だったこともあり、日本人はミャンマーの保険市場に強い興味を持っています。現在、全世界的に先行きが不透明な情勢ですが、このようなときだからこそ、リスクに対処できる保険業の存在感は強まるばかりです。本日はお忙しい中ありがとうございました。

永杉 豊[NAGASUGI YUTAKA]

MYANMAR JAPON CO., LTD. CEO
ミャンマー・日本で発行するビジネス情報誌「MJ Business」、英語・緬語ビジネス情報誌「MJ + plus」の発行人。ミャンマー初のTV&オンラインショピングサイト「TV SHOP」を運営。「美容・健康・快適生活」をコンセプトに、ハイブランドを中心とした商品ラインナップを展開している。ミャンマーの政財界や日本政府要人に豊富な人脈を持ち、ビジネス支援や投資アドバイスも務める。日本ブランドの展示・販売プロジェクト「The JAPAN BRAND」主宰者。一般社団法人日本ミャンマー友好協会副会長、公益社団法人日本ニュービジネス協議会連合会特別委員、ヤンゴン和僑会会長、UMFCCI(ミャンマー商工会議所連盟)、ヤンゴンロータリークラブ所属。