【TOP対談】ミャンマーの先輩に問う!

MYANMAR JAPON代表の永杉がミャンマーの第一線で活躍するリーダーと対談し、"現代ミャンマー"の実相に迫ります。

<2020年1月号>SMART Group of Companies チョウ・チョウ・ライン会長

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環境への配慮、生え抜き社員の登用など
企業の社会的責任を重視する経営を推進

今回のテーマ  石油、電気など幅広く事業展開するグループ企業

チョウ・チョウ・ライン氏 [U Kyaw Kyaw Hlaing]

SMART Group of Companies 会長
Yangon Arts and Science Universityで理学修士号を取得。卒業後の1975年、Myanma Oil and Gas Enterpriseに入社。81年から石油サービス多国籍企業のSchlumbergerに勤務後、94年に独立し、SMART Technical Servicesを設立。現在はSMARTグループの会長を務める。テレビ・ラジオ番組への出演のほか、リーダーシップや自己啓発に関する著書も多数。

豊富な海外経験を生かし石油関連企業を創業

永杉 本日は石油や電気関連などで構成される企業グループSMART Group of Companiesのチョウ・チョウ・ライン会長にお話をうかがいます。早速ですが、チョウ会長の来歴と会社設立の経緯を教えてください。

チョウ 大学卒業後の1975年に国営のMyanma Oil and Gas Enterpriseに入社し、6年間勤務しました。その後81年に石油・天然ガスの探鉱・開発・生産などを行う多国籍企業シュルンベルジェに籍を移し、94年まで13年間勤務しました。この間、ミャンマーだけでなくインド、インドネシア、フランス、アメリカなどの国々に赴任した経歴を持っています。各国を巡ったのは良い経験でしたが、そろそろミャンマーに帰りたいという思いが芽生え退職。19年におよぶ経験を生かして94年の5月に、石油関連企業のSMART Technical Serviceを設立しました。

永杉 現在はグループ企業として運営されていますが、内訳を教えてください。

チョウ SMARTの名前を冠する企業は5つありますが、私はその他に2社の立ち上げに関わっています。まずは創業時の会社であるSMART Technical Service。これは石油に関する総合的なサービスを提供する企業です。その後、石油と深く関係がある電気関連企業SMART Electricalを設立し、続いてMEI(Myanmar Electrical Instrumentation)を作りました。その頃から中国との取引が増えてきたため、窓口となるHoly Dragonを立ち上げました。その後は、採掘を柱としたSMART Energy Resources、測量などを行うSMART Measurement & Control、そして資源探査などをメインとするSMARTE & P Internationalという順番で会社を起こし、現在のグループ体制となりました。

熱意のある社員を登用
正しい競争を促す社風

永杉 チョウ会長はグループの代表を務めながら、リーダーシップ論などのビジネス書を多数出版されています。7社を統括する会長および作家として、どのような理念のもとで経営にあたっているのでしょうか。

チョウ まず私は7社の立ち上げに携わりましたが、現在それぞれの会社を指揮するマネージングダイレクター(MD)が存在し、私が直接指揮しているわけではありません。当社において特徴的なのは、MDの大半が生え抜きの社員であるという点。ミャンマーには数多くの企業がありますが、一般的な採用活動を経て入社した人物が経営側まで出世するには厳しい実情があります。やる気があって優秀でも、コネが必要というわけです。一方、当グループのMDのうち、私と血縁関係があるのは1名のみ。あとはすべて生え抜き社員で構成しています。経営に携わってみたいという熱意のある若者には、しっかりと教育を施し、責任のあるポストを準備する。これは、私の企業経営にとって非常に大きな理念の一つと言えるでしょう。

永杉 会社全体の方針はどのように定めていますか。

チョウ ミャンマーで一番の技術やサービスを有する会社を目指すこと、お客様だけでなく社員全体の幸せを追求する会社であること、安全に配慮した会社であることなどが挙げられますが、創業以来特に重視しているのが、環境に配慮した企業であることです。石油や電気などは地球環境に直結する事業ですので、利益至上主義ではなく、環境保全に対して妥協しないことが我が社にとって重要な方針となっています。

クリーンさや律儀さは
日系企業の大きな強み

永杉 エネルギー関連企業ですと外資との協業も多いと思いますが、日系企業との付き合いはありますか。

チョウ 日系企業とは数多く協業しています。例えば、SMART Measurement & Control社は横河電機やKYORITSUとお付き合いがあるほか、採掘分野においてもSMART Technical Service社がJDCと協業しています。

永杉 日系企業に対してはどのような印象をお持ちですか。

チョウ ミャンマーに進出している日系企業すべてと協業したいと考えているほど好印象を抱いています。理由は3つ挙げられます。1つ目は個人的な話ですが、私が武士道に共感を抱いていること。日本人の心に根づく武士の心得というものは、現代のビジネスパーソンも学ぶべき点が多いのではないかと考えています。2つ目はクリーンさです。日本人は友人同士のささやかなプレゼントはあっても賄賂はありません。汚職に手を染めずに働いている人たちと協業したいと考えるのは当然のことでしょう。そして最後は日系企業が持つ律儀さ。ある日系企業は2005年に初めてミャンマーでビジネスをするとき、当社のサービスを使ってくれたのですが、その後も現在に至る14年間、一貫して弊社のサービスを利用していただいています。当初に築いた絆を守り続けようとする姿勢が強く感じられ、我々としてもその会社には最上のサービスを提供しようと思えます。こうした日系企業の律儀なイメージには強い好感を抱いています。

永杉 日本に対して大変良い印象を抱いてくださっていることを、とてもうれしく思います。
 ところで、ビジネス以外でも両国は大変古くから深い絆を有しています。今後、日緬関係にはどのような発展を期待しますか。

チョウ 水にインクを垂らすと、その色に染まっていきます。私は日本という色がもっと深くミャンマーに混じってほしいと考えています。昨年、旅行で日本に行ったのですが、電車内で皆が静寂を保ち、通話や大きな声の会話を控えていることに驚きを感じました。私は旅行者でしたが、その姿を見てそれにならうような行動を取るように心がけたものです。日本の規律がミャンマーに持ち込まれれば、企業や社会がより良くなるきっかけとなるのではないでしょうか。

永杉 今後もミャンマーにとって石油や電気などは欠かせない存在ですから、御社はますますご発展されるものと考えます。ぜひ日系企業との付き合いをさらに深めていただき、お互いがWin-Winの関係になれれば素晴らしいですね。本日はお忙しい中お時間をいただきありがとうございました。

永杉 豊[NAGASUGI YUTAKA]

MYANMAR JAPON CO., LTD. CEO
ミャンマー・日本・バンコクで発行するビジネス情報誌「MJ Business」、英語・緬語ビジネス情報誌「MJ + plus」の発行人。ミャンマーの政財界や日本政府要人に豊富な人脈を持ち、ビジネス支援や投資アドバイスも務める。日本ブランドの展示・販売プロジェクト「The JAPAN BRAND」主宰者。一般社団法人日本ミャンマー友好協会副会長、公益社団法人日本ニュービジネス協議会連合会特別委員、ヤンゴン和僑会会長、UMFCCI(ミャンマー商工会議所連盟)、ヤンゴンロータリークラブ所属。