【TOP対談】ミャンマーの先輩に問う!

MYANMAR JAPON代表の永杉がミャンマーの第一線で活躍するリーダーと対談し、"現代ミャンマー"の実相に迫ります。

<第78回>Trust Link Company Limited Managing Director テュレイン・トゥン

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政権交代、経済制裁解除など
時流を見極めビジネスを軌道に

今回のテーマ  入国管理システムも手がけるシステムインテグレーター

テュレイン・トゥン氏 [U Thurein Htun]

Trust Link Co., Ltd. Managing Director
1973年生まれ。ヤンゴン工科大学で電子工学を学ぶ。1999年からCGデザインや印刷を行うStars Empire社のマネージングダイレクター。2010年にミャンマーの入国管理システムなどを手がけるTrust Link社設立。他にも印刷、IT関連を中心に多数の企業の経営に携わる。ミャンマー印刷出版協会事務局長などの要職も兼務。

両親が設立した医療法人
父の急逝で要職に就任

永杉 本日は、ITや印刷関連など多数の企業を経営するテュレイン・トゥンさんにお話をうかがいます。今回はトゥンさんが手がける企業のなかから、システムインテグレーターであるTrust Link社にフォーカスしたいと思います。まずは会社設立のきっかけからお話しください。

トゥン 正式に設立したのは2010年のことですが、活動自体は05年から開始していました。当時ミャンマーでは入国管理がアナログで行われており、近い将来電子化されることは明白でした。そこで私と当社ダイレクターであるグウェ・トゥンで入国管理システムの国際規格を学び開発に着手、およそ8ヵ月で満足のゆくものが完成し、内務省にプレゼンに行ったのです。しかし、結果は不採用。当時の内務省は電子化を推進したいという思惑はあったものの、国のセキュリティを民間企業に任せるわけにはいかないという判断に至ったのです。
 我々はいつかチャンスが巡ってくることを見据えて技術に磨きをかけ、2010年に当時の政府が入国管理システムの電子化に着手し入札を行うことになりました。そのタイミングで正式にTrust Linkを設立したのが経緯です。

永杉 5年にもおよぶ我慢がようやく実を結ぶことになったわけですね。

トゥン そうですね。その入札に含まれていたのは、国内におけるパスポート発給システム、在外大使館におけるパスポートとビザの発給システム、そして空港の入国管理システムの3つ。我々はそれらを受注しました。我々がプログラミングする形でプロジェクトが進行し、パスポートとビザの印刷機、そしてパスポートスキャナーのハードウェアは外国から購入し、すべて問題なくサービス開始に至りました。

永杉 行動力も尊敬しますが、技術も素晴らしいですね。プログラミングはどこで学んだのでしょうか。

トゥン 私もグウェ・トゥンもミャンマー国内で学びました。決して特別なことではなく、技術としては通常のプログラミング技術です。ただ、入国管理システムは国際的な基準に則って開発する必要があるため、それを自分たちで調べ、プログラムに反映させたのです。

銀行システム開発にも参入
Unicode対応も問題なし

永杉 国内で学んだ人材が、入国管理という重要なシステムを開発するのは本当に素晴らしい。ミャンマーの誇りと言えると思います。Trust Linkはほかにはどのような事業を行っているのでしょうか。

トゥン その後、IDカード関連の事業を行いました。プラスチックカード内蔵のチップやバーコードに関連する技術を研究し、政府関連のIDカードプロジェクトに参画。こうした事業と同時に狙っていたのが銀行のシステム開発です。
 当時はアメリカによる経済制裁のさなかでしたが、それが解除された後にはATMや銀行システムの分野で外国企業が積極的に進出してくるだろうという見込みがありました。そこで、我々は制裁中から各所に働きかけ、外国企業が参入してきたときに我々がミャンマー側エージェントになれるよう努力していました。
 制裁解除後、予測通り外国企業が参入。我々は外国企業と銀行を結びつけ、導入に向けた技術的な話し合いを三者でスタートさせました。その結果、ヤンゴン、ネピドー、マンダレー、タウンジーなどにある多くの銀行が、我々のシステムを導入することとなったのです。入国管理など政府関連プロジェクトと、銀行システム関連。これが現時点での我々の二本柱と言えるでしょう。

永杉 これまでミャンマー国内では一般的にZawgyiという独自のフォントが使用されてきましたが、これは世界標準規格であるUnicodeに準拠していないため、文字化けなどさまざまな問題が指摘されていました。そのため、今年の10月1日から政府が先導し、一斉にUnicode規格のフォントに変えるというトピックがありました。システム開発上、これに関する影響はありますか。

トゥン 我々はデータベースシステム開発ですから影響はありません。約10年前の業務である入国管理システムもUnicodeで開発しています。そもそも、当社ダイレクターのグウェ・トゥンはUnicode規格に準じたミャンマー語フォントの開発プロジェクトメンバーです。我々は以前からUnicodeの重要性を訴え続けていたのです。

印刷やITを結び新たな事業創造を目指す

永杉 入国管理、銀行システム、そしてUnicodeと、常に時代の先取りをされているのですね。そんなトゥンさんが思い描く今後のビジョンを教えてください。

トゥン Trust Linkはこれまでの仕事を通じ、生体認証システムなども含む本人確認に関する多くのノウハウを得てきました。私はこの会社以外にも、印刷関連企業を20年、IT関連企業を14年間経営してきています。今後は、それぞれで得た経験をかけ合わせて、新たなビジネスの創造をしていきたいですね。

永杉 最後に日本についてお聞きします。両国はこれまで歴史的に長く深い関係を有しています。今後、2国間の関係はどのようになるとお考えですか。

トゥン 当社は現時点でも、凸版印刷やNEC、大日本印刷などとビジネスをしています。現在、ミャンマー政府は日本からの投資拡大に向けた動きを活発化させており、今後も両国のつながりはより深まっていくことでしょう。当社としても、より多くの日系企業と連携できるように準備を進めています。

永杉 現在、高いスキルを持つIT人材は世界的に不足している傾向があります。個人的には、御社のような優れたIT企業にミャンマー人技術者の人材育成をしていただき、日本企業に紹介できるようになれば、より両国発展の礎になるのではないかと考えております。本日はお忙しい中ありがとうございました。

永杉 豊[NAGASUGI YUTAKA]

MYANMAR JAPON CO., LTD. CEO
ミャンマー・日本・バンコクで発行するビジネス情報誌「MJ Business」、英語・緬語ビジネス情報誌「MJ + plus」の発行人。ミャンマーの政財界や日本政府要人に豊富な人脈を持ち、ビジネス支援や投資アドバイスも務める。日本ブランドの展示・販売プロジェクト「The JAPAN BRAND」主宰者。一般社団法人日本ミャンマー友好協会副会長、公益社団法人日本ニュービジネス協議会連合会特別委員、ヤンゴン和僑会会長、UMFCCI(ミャンマー商工会議所連盟)、ヤンゴンロータリークラブ所属。