【TOP対談】ミャンマーの先輩に問う!

MYANMAR JAPON代表の永杉がミャンマーの第一線で活躍するリーダーと対談し、"現代ミャンマー"の実相に迫ります。

<第74回>ミャンマー連邦共和国 情報省 ペー・ミン大臣

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民政移管後に向上した報道の自由度
今後は国民との対話をより重視する

今回のテーマ  テレビ、新聞、映画などに幅広い影響力を持つ省庁

ペー・ミン氏 [Dr. Pe Myint]

1949年、サンドウェー生まれ。
75年にヤンゴン第一医科大学卒業。医師として10年のキャリアを有するほか、作家として著名でフィクション・ノンフィクションともに多数の作品を執筆。また、People’s Age JournalおよびSarpay Journalの編集者として活躍し、Myanmar Press Councilの副会長も務める。2016年より現職。

NLD政権に代わり
情報公開の機会は増加した

永杉 ミャンマージャポンは、ミャンマーの情報を日本や諸外国へ伝え、日本の情報をミャンマーに伝えることをミッションとしています。こうした業務を続けるなかで、NLD政権以降、より多くの情報が得られやすくなり、また情報を発信しやすくなったと実感しております。そこで今回は、メディアとの関係が深いミャンマー情報省のペー・ミン大臣にお話しをうかがいます。まずは情報省の役割についてお話しください。

ミン 大まかに言うと、「国や政府の情報を積極的に発信すること」「国民の教育に寄与すること」「娯楽を届けること」の3つです。その中でも中心となるのが、国や政府の取り組みを伝える業務。テレビならMRTV、政府系新聞のMyanmar Alin、The Mirror、英字新聞のGlobal New Light of Myanmar、オンラインメディアのMyanmar Digital News Online、さらに情報省のウェブサイトなどを通じて、各省庁の施策や国会での論議といったことを正確に伝えることに努めています。

永杉 民主化以降、この国の情報のあり方はどのように変わったとお考えでしょうか。

ミン メディアの自由度は以前よりも向上したと思います。情報がオープンとなり、多くのニュースを自由に記事として発表できるようになりました。

永杉 一方で、ミャンマーはラカイン問題で主にヨーロッパから一部誤解ともいえる見方をされているように思います。私はこうした問題をもっと積極的に世界へ向けて説明すべきではないかと考えます。大臣のお考えをお聞かせください。

ミン ラカイン問題については、我が国として事実を常に開示しています。もちろん、我々からの一方的な情報だけではなく、国内外のメディアがラカイン州で取材できるようにサポートするのも大切。しかし、一部のグループが政治的な意図を持ってこの問題を取り上げ、恣意的な記事の書き方をしているように感じます。他のメディアがこうした記事をソースとしてしまい、同様の記事が世界に広がってしまっている現状に懸念を抱いてきました。しかし、我々としては、各メディアにおいて記事がどのように書かれるかというところまでコントロールすることはできません。

情報の発信だけにとどまらず
国民との対話を重視する

永杉 ではこの記事もメディアコントロールの対象外ですね(笑)。ところで、ソーシャルメディアの爆発的な普及にともない、フェイクニュースをはじめとしたさまざまな問題も起きていますが、ご意見をお聞かせいただけますか。

ミン プロのジャーナリストは多くの経験を積み、取材をしたうえで正確な情報として記事を発表します。一方、ソーシャルメディアは誰もが自由に発信できる利点はありますが、エビデンスもなく書いてしまうため、ときに問題のある内容を拡散させる怖さがあります。

永杉 国としてソーシャルメディアの規制をする動きはあるのでしょうか。

ミン それはありません。もちろん、名誉毀損などが起これば、被害者が裁判に訴えるなど個別の対応はあるでしょうが、それは正式な司法手続きにのっとったものです。国として発言を規制するという動きは、現時点では一切ありません。

永杉 今後、情報省は国民とどのように向き合っていくことになるのでしょうか。大臣のビジョンを聞かせてください。

ミン メディアを通じて国の施策などを国民に伝える業務はこれからも行っていきますが、その一方で力を入れているのが、Information & Public Relation Departmentという組織です。ここはかつて図書館を中心とした業務のみでしたが、現在はコミュニティセンターとして役割も加わりました。定期的に公開討論などが行われ、アウン・サン・スー・チー国家顧問と国民との直接対話はすでに数百回も行われています。ほかにも地方の村などから代表者が参加して議論し、政府に陳情できるシステムも整えています。つまり、より双方向的な国と国民のあり方を模索しているのです。
 また、国際組織と協力し、ネットリテラシーを高めるトレーニングも行っています。これは2020年に予定されている選挙を見据え、より自由で公正な選挙となるよう、国民にソーシャルメディアなどとの向き合い方を考えてもらうことを目的とするものです。具体的にはフェイクニュースのメカニズムや、ヘイトスピーチの愚かさなどを考えてもらい、どのように防ぐかを理解してもらう取り組みとなっています。

日緬合作の映画は戦前にも
日本との文化交流を望む

永杉 最後に日本とミャンマー両国についてお聞きします。古くから関係の深い両国ですが、大臣としては今後どのようなつながりが望ましいとお考えでしょうか。

ミン 日本はミャンマーの発展に対して多くのサポートをしてくれています。まずはそれに対して感謝を申し上げたいと思います。メディアに関連すると、テレビ局MRTVへの支援が挙げられます。ヤンゴンにあるスタジオは老朽化が進んで使用できない状況だったのですが、現在JICAの支援により改修が進められています。
 また、情報省はミャンマーの映画産業発展に向けた取り組みを行っていて、日本への視察なども関係各所と相談をしています。ミャンマーと日本は第二次世界大戦以前、日本の女優さんが出演する『Japan Yin Thwe』という作品を制作しました。その後も日本と協力して作られた映画は何本かありますが、再びこうした動きを盛り上げていきたいですね。ミャンマー人は日本の製品や文化、映画が大好きですので。

永杉 実は私どもも今年の8月から、ミャンマー初の本格的なTV・ネットショッピングをスタートさせます。ミャンマーの方々に日本ブランドの製品をご紹介し、確実にお届けしていきたいと考えております。両国で映画やテレビ番組の共同制作など、文化面での結びつきがこれまで以上に深まることを期待しております。本日はお忙しい中ありがとうございました。

永杉 豊[NAGASUGI YUTAKA]

MYANMAR JAPON CO., LTD. CEO
ミャンマー・日本・バンコクで発行するビジネス情報誌「MJ Business」、英語・緬語ビジネス情報誌「MJ + plus」の発行人。ミャンマーの政財界や日本政府要人に豊富な人脈を持ち、ビジネス支援や投資アドバイスも務める。日本ブランドの展示・販売プロジェクト「The JAPAN BRAND」主宰者。一般社団法人日本ミャンマー友好協会副会長、公益社団法人日本ニュービジネス協議会連合会特別委員、ヤンゴン和僑会会長、UMFCCI(ミャンマー商工会議所連盟)、ヤンゴンロータリークラブ所属。