【TOP対談】ミャンマーの先輩に問う!

MYANMAR JAPON代表の永杉が日本・ミャンマーの第一線で活躍するリーダーと対談し、"現代ミャンマー"の実相に迫ります。

<2018年11月号>Shin Ye Htut Group of Companies イエット会長

今回のテーマ  日本と深い関係を築くグループ企業

イエット氏 [U Ye Htut]

Shin Ye Htut Group of Companies会長
1962年生まれ。ヤンゴン大学にて学士号(化学)取得。ヤンゴン経済大学で公共経営修士(M.P.A.)取得。ShinYe Htut Group of Companiesで会長を務めるほか、グループ会社のShin Ye Htut ConstructionのCEO、ShinYe Htut Hotel Businessのマネージングダイレクターなど多くの企業運営に携わる。日本との関係が深く、多くの日系企業と協業するほか、Myanmar Japan Friendship Associationの総書記を務める。ミャンマー語、英語、日本語を解するトリリンガル。

ヤンゴン、ピィ、マグウェイにホテル建設
ミャンマーの魅力を幅広く紹介する

日系企業とともに成長
旅行、貿易、建設などを展開

永杉 本日は日本との関係も大変深いShin Ye Htut Group of Companiesのイエット会長にお話をうかがいます。早速ですが、グループ会社設立の経緯について教えてください。

イエット 1995年に旅行会社のCenter of New Myanmar Companyを設立したのが事業のはじまりです。その後、事業拡大に伴い、2000年にShin Ye Htut Group ofCompaniesを立ち上げました。現在はルビーや翡翠の輸出、建設会社、コンサルティングに加え、千葉県にある病院と提携し、ミャンマー人にメディカルツーリズムを提供する企業も興し、グループは12社になりました。
 ちなみに社名はタウングー王朝のバインナウン王の幼少名から拝借したもの。この王は戦の際に自軍が戦場まで乗ってきた船を沈め、不退転の決意で戦いに臨むよう兵を鼓舞したといわれる人物です。

永杉 多岐にわたる事業を展開されていますが、近年の実績を教えてください。

イエット グループの中でもっとも新しいものが、2017年に設立した建設会社ShinYe Htut Constructionです。日本のスーパーホテルと提携して、カバエーパゴダ通りにホテルを建設しました。同社は10月に日本大使館近くのウンガバー通りにShin Ye Htutホテルをオープンします。また、ヤンゴンから北へ300Kmほどの位置にあるピィにもGreen Land Villa Shin YeHtutホテルを開業しました。今はマグウェイの川辺にHotel Magway Shin Ye Htutを建設する計画を進めています。

永杉 ヤンゴン、ピィ、マグウェイとミャンマー各地でホテル建設を進める理由はなぜでしょうか。

イエット これまで日本から視察目的で来緬された方は、まずヤンゴンから入り、ティラワで工場を視察し、バゴーへ行って終了というケースが多く見られました。しかし、それだけですとミャンマーの一部しかご覧いただけません。ピィとマグウェイを開発する理由は、近辺に多くの視察場所があるから。ピィから車で3時間ほどの場所には豆、ゴマ、米などの農業地帯があるほか、周辺にはピーナッツやゴマを使用した食用油の工場、第二次大戦前から石油の採掘を行っている地域など、ビジネスでも観光でも多くの見どころがあります。また、両所ともバガンやネピドーへのアクセスも良好です。視察をしつつ、ミャンマーをより深く知ってもらえるルートを構築できると考え、この2ヵ所の開発を進めています。

今こそミャンマーが一丸に
人材不足は腰を据えた育成を

永杉 御社は業務拡大を続け順調に成長していますが、一方でミャンマー全体を見るとインフレや所得格差などの問題を抱えています。これらの問題に関してはどのようにお考えですか。

イエット 新政権発足から2年半が経過しました。今、ミャンマーに必要なのは、政府と国民が一丸となって前に進むこと。現在は景気が良くないかもしれませんが、今こそ日本のように官民一体となり発展に向かうべきです。そうすれば、我が国の経済はどんどん良くなっていくでしょう。

永杉 ミャンマー人は真面目な国民性だと思いますが、急激な外資流入や経済発展に伴い、管理職やスペシャリストが不足しています。人材不足の問題についてはいかがでしょうか。

イエット 当社では、日系企業と関係する社員には日本へ勉強に行かせるようにしています。実際に日本で働けば、日本人の働き方から多くのことを学べるでしょう。また、組織として仕事をする方法も学べます。このように、企業が社員に多くの経験を積ませて育成する姿勢でいれば、管理職やスペシャリストの数は自ずと増えていくと考えています。

日系企業との協業多数
今後は保険や銀行業も視野に

永杉 イエット会長は日本との関わりが大変強いですが、現時点で協業している日系企業はどのくらいありますか。

イエット ホテルや建設、ITなど多くの企業が挙げられます。協業は今も増え続けていて、Shin Ye Htutホテルの最上階には日本食と焼肉のレストランを開店する準備を進めるなど、飲食業とも関係を深めています。また、大型建機レンタルを行う合弁企業設立も進めており、現在MICに申請をしています。さらにミャンマーでは駐車場不足が深刻なので、機械式駐車場の技術を持つ綿半と合弁でMICT ParkにShin Watahanを設立したほか、オッペン化粧品と代理店契約を結ぶなど、件数・業種ともに幅広く行っています。天然ルビーの採掘では、20年前からモリスの森社長と合弁会社を設立、提携しています。
 今後、当社は保険業や銀行業へも進出する予定ですが、まもなく日本のDI Tokyo、世界第三位のドイツのハノーバー再保険、そして国営のMyanmar Insuranceなどと住宅保険に関するMOUを締結する予定です。このように今後も日系企業と提携を進め、ゆくゆくはShin Ye Htut Holdingsを設立し、上場を目指しています。

永杉 これほどまでに多くの日系企業と協業しているのは驚きです。ビジネスを通じて感じた日系企業や製品に対する印象はいかがですか。

イエット 日本製品が高品質であることは、私自身強く認識しています。例えば、当社のホテルでは日本のビジネスホテルで使用されているユニットバスを導入しています。また、現在No.3メインロードにデパートを建設していますが、そのテナントで日本製品のみを販売するショールームを展開できればと考えています。日本の優れた製品をミャンマー人に浸透させたいですね。

永杉 両国は歴史的に極めて深いつながりがありますが、今後どのような関係になるとお考えですか。

イエット 戦中も戦後も、そしてそれ以前からも、両国には大変強い絆があります。私は両国交流のため、マンダレーに戦没軍人の慰霊碑を建設する活動などを行っていますが、多くのミャンマー人が日本人に対して強い親愛の情を抱いています。また、現在、丸山市郎在ミャンマー日本国大使がいらっしゃることも両国にとって素晴らしいことです。外交官の中でも本当にミャンマーを理解していただいている大使です。今後も両国の関係はますます発展していくでしょう。

永杉 日本に対して深く心を寄せていただいていること、大変うれしく思います。今後も官民ともに両国の関係がますます深くなっていくよう、私も力を尽くしたいと思います。
 本日はありがとうございました。

永杉 豊[NAGASUGI YUTAKA]

MYANMAR JAPON CO., LTD. CEO
ビジネス情報誌「MJビジネス」、生活情報誌「ミャンジャポ!」、英語・緬語ビジネス情報誌「MJ + plus」などの発行人。 ミャンマーの政財界や日本政府要人に豊富な人脈を持ち、ビジネス支援や投資アドバイスも務める。 日本ブランドの展示・販売プロジェクト「The JAPAN BRAND」主宰者。一般社団法人日本ミャンマー友好協会副会長、公益社団法人日本ニュービジネス協議会連合会特別委員、ヤンゴン和僑会会長、UMFCCI(ミャンマー商工会議所連盟)、ヤンゴンロータリークラブ所属。