【TOP対談】ミャンマーの先輩に問う!

MYANMAR JAPON代表の永杉がミャンマーの第一線で活躍するリーダーと対談し、"現代ミャンマー"の実相に迫ります。

<第62回>計画・財務省 投資企業管理局(DICA)局長、ミャンマー投資委員会(MIC)事務局長 アウン・ナイン・ウー氏

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今回のテーマ  外国投資を管理するDICAとMIC

アウン・ナイン・ウー氏 [U Aung Naing Oo]

計画・財務省 投資企業管理局(DICA)局長、ミャンマー投資委員会(MIC)事務局長
1981年から2000年まで兵役。2000年からMyanmar Agricultural Produce Trading(MAPT)の副所長を務める。その後、経済貿易省次官などを経て、2012年から計画・財務省 投資企業管理局(DICA)局長、2014年からミャン マー投資委員会(MIC)事務局長。投資、貿易、ASEANなどをテーマにした国際会議やセミナーにも頻繁に出席をしている。

「ビジネスのしやすさランキング」
2021年までに100位以内を目指す

ミャンマーの「可能性」を現実化するプロジェクト

永杉 本日は計画・財務省 投資企業管理局(DICA)局長であり、ミャンマー投資委員会(MIC)事務局長のアウン・ナイン・ウーさんにお話を伺います。早速ですが、DICAとMIC双方の役割に加え、現在の役職に就かれた経緯をお聞かせください。

アウン まず、MICはミャンマー投資法に準じて組織された政府機関で、外資の投資に関する調査や許認可を行う役割を担っています。MICの傘下組織に位置するのがDICAで、MICの業務サポートや、外資企業の投資促進、会社登録手続きの検証作業などを行っています。
私がDICAの局長に任命されたのはテイン・セイン前政権時代の2012年5月。当時私は経済・貿易省の次官でしたが、DICA改革のため計画・財務省へ移るとともに局長に就任しました。その後、2014年からMICの事務局長も兼務することになりました。

永杉 MIC、DICAはミャンマー経済発展のための礎と理解していますが、DICAにはジャパンデスクが設置されていますね。

アウン ジャパンデスクにはJICAの上田さんが投資促進の支援を行っているほか、JETROの田原さんは日本の投資家がスムーズにミャンマーに進出できるようDICAに協力してくださっています。日本の投資家のためにも、両国の関係のためにも重要なデスクと認識しています。

永杉 日本人のエキスパートがDICAへ出向していることは、我々日本人にとっても非常に心強いものです。将来に向けたDICAのビジョンを教えていただけませんか。

アウン 「可能性の実現」という一言に集約されます。ミャンマーには多くの可能性が存在しますが、実現しなければ意味がありません。明確な形として残せるようプロジェクトを推進していきたいと思います。

新法の施行に合わせ会社登録の電子化も開始

永杉 新投資法の運用が開始しています。新法に関するお考えと、運用開始前後で外資の投資に変化はありましたか。

アウン 新投資法は前政権時代に草案ができあがり、現政権で修正・認可されたものです。透明化と簡略化が新法の特徴で、煩雑な手続きがシンプルになったことで投資家のコストも抑えられます。外資に関してですが、2016年と2017年は若干減少しています。これは2016年の政権交代の影響があると考えられます。

永杉 政権交代時は移行期間でもあり、大きな変化が起こりにくいのは仕方がないのかもしれません。新政権は2年目ですが、3年目以降は投資状況も改善していくのではないのでしょうか。一方、新会社法の施行も目前に迫っています。

アウン 新会社法は2018年8月1日に施行されます。以前の会社法と比較し、新規会社登録作業が簡素化されました。会社登録がオンライン化されるほか、現地企業に外国人が35%まで出資できるようになります。また、外資企業は現地企業と合弁で事業を行うことにより、投資金額の制限がなくなったことも特徴です。これにより現地企業も資本金を拡大でき、外国企業の優れた技術を取り入れることができます。

永杉 オンライン会社登録システムに注目が集まっています。具体的にお話しいただけますでしょうか。

アウン 新法施行と同日から、電子会社登録システム「Myco( Myanmar Companies Online)」を開始します。PCやスマートフォンでどこからでも登録作業ができるので、時間や費用を大幅に削減できます。DICAにとっても、手続業務の削減につながるだけでなく、登録された会社情報の一部がインターネットで開示されるので、透明化も推進できると期待しております。
対応言語はミャンマー語と英語です。新法に関しては日本語版がインターネットで公開されていますが、「Myco」に関しては、現状日本語対応はしておりません。

永杉 新システムが運用される場合、トラブルの発生も考えられます。何らかの対策は用意されていますか。また、運用開始にあたりDICAの通常業務を休止するなどの予定はありますか。

アウン 7月をテスト期間とし、8月1日から正式に運用を開始します。ウェブサイトで使用方法を解説する動画を公開するなど、利用者への周知徹底を図っております。登録作業自体は簡単なので、利用方法に関する混乱はないと思います。また、20ヵ国で同様の案件を手がけた米国企業がシステムを構築していますので、大きなトラブルは避けられると考えています。
システムテストは7月23日から31日に行う予定です。この一週間は既存の会社登録業務を停止します。

永杉 新投資法と新会社法によって、今まで以上にミャンマーでの事業をしやすくなりそうですが、世界銀行と国際金融公社が毎年発表するビジネスのしやすさを国別でランク付けした「ドゥーイング・ビジネス2018」では、現時点でのミャンマーは世界190ヵ国中171位となっています。

アウン ご指摘通り、ミャンマーは発展途上で改善すべきことが多々あります。しかし、政府は2021年までに同ランキングを100位以内にするべく、さまざまな施策を打ち出しておりますので、今後にご期待いただければと思います。

日本からの投資額は世界トップクラスと認識

永杉 日本についてお聞きします。2017年度の海外直接投資(FDI)を見ると、日本からミャンマーへの投資額はシンガポールや中国などを下回っています。しかし、実際はシンガポールを通したケースやティラワ工業団地への投資などを合わせると、日系企業の投資金額は世界1位と言えるのではないでしょうか。

アウン 我々が投資企業データを集める際、どこの国で登記された企業であるかを確認します。もちろん日本で登記された企業もありますが、日系企業がシンガポールやタイで登記してからミャンマーに投資することがあります。我々としてはシンガポールで登記された企業はあくまでもシンガポール企業として扱います。第三国経由の日系企業があることは我々も認識していますし、合算すれば日系企業の投資はトップクラスに入ると思います。

永杉 最後に両国の関係についてお聞かせください。古くからさまざまな分野で深い関係性を持つ両国が今後どのようになっていくと思われますか。

アウン 政治、経済の面だけ見ても、両国の関係は常に深いものがありました。国民性も大変近いと考えていますので、将来よりよい関係になっていくと思われます。

永杉 新法もでき、今後更なる日系企業の進出が増えていくことになるでしょう。お互いの国でもっと自由なビジネスが展開され、共に発展していく未来を私も望んでおります。本日は貴重なお話をお聞かせいただきありがとうございました。

永杉 豊[NAGASUGI YUTAKA]

MYANMAR JAPON CO., LTD. CEO
ビジネス情報誌「MYANMAR JAPON BUSINESS」、生活情報 誌「ミャンジャポ!」、英語・緬語ビジネス情報誌「MYANMAR JAPON+plus」などの発行人。ミャンマーの政財界や日本政府要人に豊富な人脈を持ち、ビジネス支援や投資アドバイスも務める。一般社団法人日本ミャンマー友好協会副会長、公益社団法人日本ニュービジネス協議会連合会特別委員、UMFCCI(ミャンマー商工会議所連盟)、ヤンゴンロータリークラブ所属。