外国人が日本で働く際に必要な「在留資格」の基礎知識
「技能実習」と「特定技能」の違いとは?(3)

2019年、新たな在留資格として加わったのが「特定技能」です。この資格が、さまざまな問題を抱える技能実習制度に変わるものとして期待を集めています。
両者は似たような在留資格と捉えられることもありますが、実態は大きく異なります。ここでは、注目すべき違いを5つ紹介します。

1.目的

両者の最大の違いは、創設の目的です。

発展途上国への技術移転という目的で創設された技能実習とは異なり、特定技能は「人材を確保することが困難な産業上の分野において、一定の専門性・技能を有し即戦力となる外国人を受け入れていく」(出入国在留管理庁の文書より抜粋)ことを目的として創設されました。

つまり、最初から人材確保を目的としたものなので、「実習生」ではなく「労働者」として権利の保護が行われます。

2.在留期間

技能実習は当初、在留期間が2年と定められており、期間の短さが問題となっていました。近年は延長され、最大5年となりましたが、それでもまだ短いのではないかと言われています。

一方、特定技能は細かく分けて1号と2号があり、1号は最長5年ですが、2号は在留期間に制限がありません。

3.職種

技能実習生を受け入れられる職種は、88職種161作業と定められており(2023年9月現在)、基本的には、これら以外の単純作業はしてはならないと定められています
詳細:技能実習制度 移行対象機種・作業一覧(88職種161作業)
(外部WEBサイトに移動します)

一方、特定技能はもう少しざっくりとした分野となっており、特定技能1号は「介護」「農業」「宿泊」などの12分野。特定技能2号は「建設分野」「造船・舶用工業分野」の2分野となっており、合計14分野で受け入れが可能となっています。
詳細:出入国在留管理庁「特定技能ガイドブック」
(外部WEBサイトに移動します)

なお、これらの分野は、今後も変更が予定されています。例えば、国土交通省は特定技能の中に「自動車運送業」の追加を検討しており、これによりタクシーやバス、トラック運転手の人手不足解消が期待されています。

4.技術水準・日本語能力

技能実習生は、そもそも「技術を学びに来る」という目的なので、来日前にその分野に関する技能を習得する必要はありません。日本語能力に関しても、介護の現場のみ日本語能力検定N4レベル以上であることが求められますが、それ以外の職種の場合は、日本語能力に関する規定はありません。

一方、特定技能は、即戦力の労働者として働くため、「特定技能評価試験」と「日本語能力試験」に合格しないと来日することができません。

ある程度日本語ができることで、仕事が円滑に進むだけでなく、会社や同僚とのコミュニケーションが取れることで、働き手の孤立化が避けられるという利点も存在します。

5.働き方や待遇

前のページで解説した通り、技能実習は転職ができないという問題がありますが、特定技能の場合、同じ職種であれば転職が可能となっています。

また、技能実習は家族の帯同は不可でしたが、特定技能2号なら、要件を満たすことで配偶者と子どもの帯同が認められています。

<まとめ>

技能実習の送り出し機関や監理団体のすべてが悪質というわけではありません。来日前から帰国後に至る手厚いサポートを提供し、実習者にとっても受け入れ企業にとってもWin-Winの実習が行われたケースも多数存在します。

しかし、悪質なケースは後を立たず、諸外国からは「日本は人身売買の国」という不名誉な指摘を受けている事実もあります。

また、創設の目的の形骸化という根源的な問題がある以上、新制度への移行は避けられない見通しです。

MYANMAR JAPONでは、こうした経緯も踏まえ、「技能実習生以外のミャンマー人材」をご紹介し、雇用する企業にとっても、働くミャンマー人にとっても安心な人材紹介システムを提供したいと考えています。

ミャンマー人採用は、ミャンマーとミャンマー人を深く知る
MYANMAR JAPONにお任せください。

【参考ウェブサイト】
外国人就業規制・在留許可、現地人の雇用 | ミャンマー | ジェトロ
https://www.jetro.go.jp/world/asia/mm/invest_05.html

外国人就業規制・在留許可、現地人の雇用 | タイ | ジェトロ
https://www.jetro.go.jp/world/asia/th/invest_05.html

在留資格一覧表 | 出入国在留管理庁
https://www.moj.go.jp/isa/applications/guide/qaq5.html

技能実習制度及び特定技能制度の現状について | 出入国在留管理庁
https://www.moj.go.jp/isa/content/001385692.pdf

外国人技能実習制度について |厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/jinzaikaihatsu/global_cooperation/index.html

外国人技能実習生の実習実施者に対する令和4年の監督指導、送検等の状況を公表します|厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_34487.html

「技能実習生の支払い費用に関する実態調査の結果について」 | 出入国在留管理庁
https://www.moj.go.jp/isa/content/001377469.pdf

技能実習生の失踪者数の推移(平成25年~令和4年上半期)| 出入国在留管理庁
https://www.moj.go.jp/isa/content/001362001.pdf

技能実習制度 移行対象機種・作業一覧(88職種161作業)| 出入国在留管理庁
https://www.mhlw.go.jp/content/11800000/000932483.pdf

「特定技能ガイドブック」| 出入国在留管理庁
https://www.moj.go.jp/isa/content/930006033.pdf