本年もよろしくお願いいたします
 2024年のスタートです。実は、ミャンマーでは、1月1日は祝日ではなく、普通の平日です。稼働している事業所も多く有ります。ミャンマーのお正月は、やはり4月の水祭り時期なのですね。

 さてさて、今年は、どんな年になるのでしょう。去年よりは良い年になってほしいものです。コロナ禍が収束したといっても、他の国と異なり、政変という別の困難をかかえるミャンマー。しかし、日系企業は、いまだ数百社がこの地に留まり、操業しています。

 2022年4月から適用されている外国通貨の公定レートの固定やチャットへの強制兌換のインパクトは大きく、ミャンマーの経済は、引き続き非常に厳しい状況に直面しています。問題がすぐに解決するといった性質のものではないため、タフに耐えていく必要があります。

 一方で、多くはないですが、このような時期にも関わらず、新たにミャンマーに進出してくる日系企業もいらっしゃいます。現状でもCMPやオフショア事業、送り出しについては、金融の混乱の影響を比較的緩和しやすいビジネスのため、引き続き好調の会社さんも多く有ります。新規組については、ミャンマーにないサービスを内需向けに広めたいといった会社さんも見受けられます。

 常々申し上げている通り、ミャンマーの人材は、どのレイヤーをとっても非常に勤勉で優秀なため、この国の宝の1つと言えるでしょう。その人たちをうまく活かせるビジネスモデルであれば、今後も成長が見込めると思います。今現在、ミャンマーでビジネスをやっているということは、その点では非常にチャンスなのです。

 ミャンマーの税務会計においては、2023年は、税務調査が多い年でありました。弊事務所のクライアントも4割近くが受けています。LTOやMTO1,2といった外国企業も所轄する税務署による税務調査については、追徴指摘事項についても、昔ほど納得感の湧かない理由付けはだいぶなくなってきました。ローカルを所轄するMTO4といった税務署については、むしろ悪化しているかもしれません。正しい徴税制度構築のための基礎作りの努力は、役所・納税者側双方が行っていかねばならないものです。1日も早く平和が訪れて、国づくりがしっかりと行えるようになることを祈るばかりです。

あとがき
 先日、若松が取材を受けた本が出版になりました。『アジアで挑戦&活躍する日本の会計事務所』(ブレインワークス社刊)。「企業の海外進出の黎明期だった1990年代から2010年以降に海外に展開した会計事務所9社の取材を通じて、日系企業のアジア進出の変遷への理解を深め、進出のヒントにしていただきたい」「企業の海外進出を陰でささえる会計人個人の奮闘を紹介して、会計分野を目指す若者たちのキャリアデザインの参考にしてもらいたい」という趣旨とのことです。ご興味の向きはぜひ。

(2024年1月号掲載)

執筆者プロフィール

若松裕子
Japan Outsourcing Service Co., Ltd.(税理士法人Right Hand Associates)ヤンゴン事務所長・税理士。
2014年よりミャンマー駐在。中小企業から上場企業、ミャンマー国内法人まで幅広く事業をサポート。趣味は坐禅。