在外ミャンマー人の所得に関する連邦税法の改正意訳全文(給与部分)

 ミャンマー国外に住むミャンマー国民が海外で得た所得に関する連邦税法の改正点の概要については、前回ご説明しました。今月は、給与部分に関するアナウンス(弊事務所意訳)全文を紹介させていただきます。2023年9月12日付けにて、連邦税法改正法の施行が発表(No.55/2023)され、さらにその補足として、給与所得に関する計算方法及び納付方法の詳細についてのアナウンスがされたものです。

計画財務省IRD発表
非居住者の給与所得についての所得税徴収に関する発表(意訳)

1.ミャンマー国民の納税義務はすべからく同等の義務であるということを目的として、以前に発令された非居住者が海外で外国通貨で得た給与所得に対する免税措置を、連邦税法改正法により2023年10月1日に取り消した
かつ、同法において、非居住者の給与所得にかかる計算における所得税率、払うべき税額の決定方法、および納付すべき通貨の種類について定める

2.ミャンマーの国外に居住し就業しているミャンマー国民は、2023年の連邦税法のとおり、自己が海外において外国通貨で得た給与所得について、下記の2通りの方法により計算して、いずれか少ない税額を支払うものとするA)所得税法上認められている控除項目につき控除を行い、累進課税によって計算する方法B)所得税法上認められている控除項目を控除せず、税率2%にて計算する方法

3.非居住者が、海外において外国通貨で得た給与所得につき所得税を支払うときに必要な情報については下記の通り

A)自己の支払うべき給与所得税額を把握するためには、IRDのウェブサイト(https://www.ird.gov.mm/)の所得税計算(非居住者)のMenuリンクまたは直接のリンク(https://paye.ird.gov.mm/)より、所得税計算システムPaye Tax Calculatorに入り、計算することができる

B)所得税を納付するためにシステムに入って行うデータの入力は、所轄の大使館職員もしくは所轄税務署の担当官が行う。システムの入力に必要な情報は、納税義務者の名前、パスポート番号、身分証明書番号、OWIC番号またはCDC/SIRB番号、住所等である

C)給与所得税については、自己が取得した外国通貨で納付する必要がある

D)上記2のとおりに計算した支払うべき所得税額につき、関連する当該国の税法上納付した所得税額を相殺することができる

E)通常は、関連する当該国にあるミャンマー大使館において、パスポート更新時に払うこととなる。(自分の給与所得税について税負担を負いたくない(※一度にという意)納税者は、毎月、四半期、毎年、当該国の大使館にて支払うこともできる)

F)関連する収入年度につき納付した場合には、所轄大使館または、所轄タウンシップの税務署からQRコードが入っている電子納付書および非居住者の個人所得税納付関連の証明書が発行される4.非居住者が、自己の所得について税金を計算して納付することは、自国国民のために教育・健康・交通網などを支援することとなる。
かつ、所得税を納付する非居住者は、自国で建物、土地、アパート、車両などの固定資産の購入のための収入源の監査を受ける際に証明された金額を、正式な方法により取得した収入(ホワイトマネー)とすることできる。その証明された額までは所得税は課されない

5.非居住者が海外において外国通貨で得た給与所得についての所得税納付について、もっと詳しく知りたい場合は、納税者サービス本部01-8389311、01-8389322、税金サービスオフィス(ネピドー)067-3430522、067-3430544、税金サービスオフィス(マンダレー)02-4030192、02-4030638、02-4030639に問い合わせを。

(2023年12月号掲載)

執筆者プロフィール

若松裕子
Japan Outsourcing Service Co., Ltd.(税理士法人Right Hand Associates)ヤンゴン事務所長・税理士。
2014年よりミャンマー駐在。中小企業から上場企業、ミャンマー国内法人まで幅広く事業をサポート。趣味は坐禅。