“人と繋がり 自分の使命に生きる” 埼玉県狭山市の講演より

 「人生100年時代」といわれるこの時代に“自分は10年後に何をしているのだろうか?”という問いかけをさせていただく講演会を、7月27日に埼玉県狭山市で行いました。
 今回の講演は「令和4年度埼玉県荻野吟子賞大賞」と「令和5年度内閣府男女共同参画社会づくり功労者内閣総理大臣表彰」の受賞記念講演です。狭山市と埼玉県西部地域振興センターの共催で、ありがたいことに約180名もの方々にご聴講いただきました。

2023©MFCG

コロナ禍後の社会変化

 21世紀を生きている私たちは、新型コロナウイルス感染症の蔓延により世界の人々と直接の繋がりが絶たれ、世界経済の停滞など誰もが予想していない時代を体験しました。
 2019年12月に中国の武漢を起源に世界中へ広まった新型コロナ。私も含めて多くの人たちは、この感染もかつてのSARS(重症急性呼吸器症候群)のように一部地域の集団感染で、それほど長くかからずに終息するだろうと考えていたのではないでしょうか?しかし、その予測に反して3年以上にわたり自由に外出することすらままなりませんでした。特に子どもたちは、友人に会う機会を失ったまま3年以上を過ごしました。卒業式でさえZOOMなどのオンラインでの参加になり、卒業生のご両親はご子息の晴れ姿を直に見ることがなく、実感のないまま式典の日を迎えたとお聞きしています。そして、新型コロナが日常の中に存在したまま現在に至っています。
 私は、この体験を活かし次の世代や社会を創ることが大切なのではないかと感じています。学生さんからは、マスクを外して素顔を見せることが怖いという声も耳に します。逆に、マスクをしていないと「自信あるね~」などと言われたとの話も。そんなことを同級生に言われるのは、とても悲しいことです。また、人との繋がりが以前より希薄になってきたのではないか、お互いを想いやる気持ちなどが薄れたのではないだろうか、と感じる場面もあります。皆さまはどう思われますか?

10年後の世界を見つめ…

 2021年2月1日、ミャンマーの政情は激変しました。多くの人々が苦労の多い日々を送っています。それでも踏ん張って、乗り切っていこうとしているミャンマーの若者も沢山います。だからこそ「人としてどう生きていくのか」「みんなで未来を見つめ創っていくために何をするべきなのか」を、ぜひご一緒に考えていきたいと思います。
 こんな時代だからこそ、“あなたが10年後に成し遂げたい世界は何ですか?”と問いたいのです。
 MFCGもこの4年間活動を中止することなく(静止はありましたが)現在も継続しています。皆さんと共に社会を、未来を創っていきたいと思います。引き続きご支援のほど、何卒よろしくお願いいたします。

▲19年間育った狭山市での講演会
2023©MFCG

(2023年9月号掲載)

名知 仁子
[NACHI SATOKO]

1963年生まれ。1988年獨協医科大学を卒業後、日本医科大学付属病院第一内科医局入局。2002年、国境なき医師団に入団し、同年タイ・メーソートの難民キャンプ、2004年からはミャンマー・ラカイン州で医療支援に携わる。また、2003年には外務省のODA 団体、ジャパン・プラットフォームの要請で、イラク戦争で難民となったクルド人の医療支援に参加。2008年には、サイクロンで被災したミャンマーのデルタ地域で緊急医療援助に参加する。同年、任意団体ミャンマークリニック菜園開設基金を設立し、2012年6月にNPO法人ミャンマー ファミリー・クリニックと菜園の会(現MFCG)設立、現職。

ミャンマー ファミリー・クリニックと菜園の会:https://mfcg.or.jp/