村の住民は医療に到達することができない!

 こんにちは!ミャンマー ファミリークリニックと菜園の会(MFCG)の代表理事・医師の名知仁子です。いつも応援を頂きありがとうございます。

住民は食べるのに必死
医療は二の次

 ミャンマーの人口およそ5,400万人のうち、80%は僻地に住んでおり、その大部分は無医村です。人々のほとんどは「季節労働者」で、その日1日をどうやって食べていくかが先決で、医療は二の次になっています。
 お米作りに励む毎日。地域の田んぼを転々と移動し、5,000~7,000チャット(およそ340~480円)の日当を稼いでいるが、その仕事すら無くなることが多くなっているのが現状。さらに、物価の高騰が追い打ちを掛けています。
 高騰しているガソリンは、溜め池や川から水を吸い上げる大型の灌漑用ポンプを回すために欠かせません。そして、ミャンマーでは悲しいことに作物栽培にはほぼ100%農薬を使います。主に中国から輸入していますが、折からのチャット安により大幅に値上がりしています。このため、減反する農家や地主が多くなっているのです。
 炒めもの用の油も値上がりしていて、食用油(パーム油)の卸売基準価格は1ビス( 約1.6kg)あたり5,000チャット(およそ480円)と従来の倍になりました。日当と同じ金額の油は買えません!家族6~10人を養わなければならないので…。

医療相談会の復活
 エーヤーワディ管区の無医村、ミャウンミャ。私は2015年からここに移り住み、16の村々を巡回しています。そして、MFCGでは、この6月から医療相談会を復活させました。行く先々で血圧測定や血糖値測定、そして 健康面の困りごと1つ1つに向き合います。日本もミャンマーも違いはありません。
 昼食も取らずにひたすら相談に乗っていたら、村の人たちが心配してくれて「待っているから、お昼ご飯を食べてちょうだい」と言われてしまいました。ありがたいことです!
 これからもMFCGの挑戦は続きます。引き続きのご支援、どうぞよろしくお願い申し上げます。

MFCG設立10周年記念Tシャツ
記念Tシャツを作成しました。MFCGメンバーのアイデアをもとに、当会10年の成長をイラストで表現。関わってくださった皆さまへの感謝を3カ国語で記しています。
売り上げは、すべて現地の活動に使わせて頂きます。

https://mfcg.original-goods.jp/(配送は日本国内)

(2022年10月号掲載)

名知 仁子
[NACHI SATOKO]

1963年生まれ。1988年獨協医科大学を卒業後、日本医科大学付属病院第一内科医局入局。2002年、国境なき医師団に入団し、同年タイ・メーソートの難民キャンプ、2004年からはミャンマー・ラカイン州で医療支援に携わる。また、2003年には外務省のODA 団体、ジャパン・プラットフォームの要請で、イラク戦争で難民となったクルド人の医療支援に参加。2008年には、サイクロンで被災したミャンマーのデルタ地域で緊急医療援助に参加する。同年、任意団体ミャンマークリニック菜園開設基金を設立し、2012年6月にNPO法人ミャンマー ファミリー・クリニックと菜園の会(現MFCG)設立、現職。

ミャンマー ファミリー・クリニックと菜園の会:https://mfcg.or.jp/