「9年間でミャンマーに101校の学校を建設」
平成29年度第48回社会貢献者表彰を受賞させて頂きました平野喜幸です。2013年より9年間に101校の学校建設と教師の人材育成研修事業を主宰しております。今年60歳になりましたが、人生の4分の1をミャンマーで活動しています。

1991年から国際協力NGOに参加
 この度はMYANMAR JAPON誌で私の活動をご紹介いただけることを大変うれしく思います。私は29歳で佐賀県にある「地球市民の会」の門をくぐり国際協力に携わりました。1995年に青年海外協力隊員としてタイに赴任し、1996年に初めてミャンマーを訪れました。1998年から6年間はシャン州で総合農村開発事業を実施、日本財団と共にNGOセダナーを設立して学校建設及び地域開発事業を始動させております。現在は、イラワジから新しいミャンマーを創造する「Milestone Movement in Myanmar」を主宰しております。

自助努力なきところに支援なし
 2013年に日本財団からの要請で、再度ミャンマーの事業に携わる機会を頂きました。当初は3年で30校を建設する予定でしたが、当時のイラワジ管区首相より建設校の積み増しを依頼され43校を建設しました。Artic Yangon事務所の学校建設事業は3段階で構成しております。初年度は建設費の4分の1を村人に集めて貰い、村人の労働奉仕を貰いながら学校を建設します。次年度は村が集めた4分の1のお金を開発資金として返還し、その資金で各村に合った収入向上事業を実施してもらいます。そして夫々の村は、3年目にはどこからの支援にも頼らずに自主的に自立事業を展開する力を身に付けられるよう指導していくのです。この間、学校の先生や地域開発委員会の相互交流や学びのために、年2回程度のARTIC地域開発セミナーを開催しております。

教師のための人材育成研修所を建設、運営
 9年3フェーズで100校の学校建設事業に昇格しました。しかし、学校建設だけではミャンマーの教育発展は望めないことから、第1フェーズ終了時に教師のための人材育成研修所の建設を目標に掲げました。ミャンマーの教育大臣に建設及び事業実施許可の嘆願書を提出し、一年に亘る交渉の末2018年4月に建設許可をいただき、半年間で研修所と宿泊棟を建設しました。2018年11月に研修所の落成式並びに第1回目のHRD(人材育成)研修をスタートさせております。しかし、2020年3月の9回目を最後に、コロナウィルス感染拡大のために1年10ヶ月の休止を余儀なくされました。そしてようやく2022年1月から研修を再開でき、これまでに同研修所において13回390名の教師を受け入れた人材育成の実績があります。なお、研修に参加した先生自身の意識が変わり、自主的に自分たちの地元タウンシップでミニHRD研修を実施しており、参加された教師の数は680名を超えています。私どもは単なる一方的な援助ではなく、彼たちの自立に向けた支援と協力を行なっております。

PROFILE
1962年生まれ。農林水産省農業者大学校第14期卒業。2013年5月より2度目のミャンマーで現在はヤンゴン在住。研修では松下幸之助の生き方と「直ぐやる」「心を込めてやる」「最後まで遣る」の三信条を習慣化することを教えている。座右の銘は「苦労を楽しむ」

(2022年9月号掲載)