「ミャンマーの聾唖学校支援に奮闘する」
平成29年度第49回社会貢献者表彰を受賞させて頂きました池谷修・ミャ ケイ ティー夫婦であります。私、池谷修はミャンマー在住50数年になりますが、ミャンマーは第二の故郷ではなく、第一の故郷であり、貧しくとも優しいミャンマーの人々の為に貢献できるならこれ以上の喜びはありません。

寄付大国ミャンマー

所得に対して、寄付する比率の最も高い国は米国ですが、これは米国の高額所得者が税金問題もあり、多額の寄付することが一因であります。世界で寄付比率が二番目に高い国はミャンマーでありますが、米国の如く限られた高額所得者が寄付をするだけではなく、貧しい人でも、より貧しい人に寄付する光景を何度も見ています。

聾唖学校を支援する

 私共夫婦はメリーチャップマンというヤンゴンにある聾啞学校にこれまで宿舎、図書館、食堂、水道設備などを寄贈してきました。聾唖の生徒は卒業しても就職先が非常に少なく、按摩、マッサージなどの職に就ければ良い方という状況でした。そこで考えたのが、美容室を聾唖学校内に建設し、卒業後の就職活動に貢献する、自立できるようにすることでした。聾唖学校の美容室なので、清潔感がないと思われる可能性あり、ヤンゴン或いはミャンマーで最も清潔、且つ、綺麗な美容室にしました。有名な美容師を講師に招き、徹底的に訓練し、料金も手ごろなものに設定し、評判の良い美容室になりました。2017年2月には安倍昭恵様にもMUDITAへご訪問頂いております。

コロナで痛手を負い、ガンで長期療養

 然しながら、2年半前のコロナ騒ぎにより一時美容室は閉鎖され、美容院に勤務の8名の美容師達も遠いカチン州やチン州等に長期に帰省という事態になり、更に小生(池谷修)が1年前に膵臓癌と診断され、日本の日赤病院で10時間に及ぶ大手術となり、日本での長期療養生活となりました。一方、ミャ ケイ ティーも看護のため日本に滞在となり、1年以上に亘りヤンゴンを不在にし、両名ともこの6月にヤンゴンへ戻ったばかりであります。
ヤンゴンの美容室は現在6名の美容師達がどうにか運営しておりますが、私共夫婦が訓練した美容師は1名のみという状況で、環境は一変しております。やはり、我々が直接毎日スーパーバイズしないとミャンマーでは事業展開は容易ではなく、加えて、ミャンマーは国内の混乱・治安悪化、急激な物価高、失業者の急増もあり、食事に事欠く状況下、美容室に来る人も少なく立て直しが迫られており、多くの問題を抱えているのが実情であります。これからが私共にとっての正念場であると考えております。

PROFILE
1945年生まれ、現在はヤンゴン在住。MUDITA主宰。1968年4月日本外務省入省、1968年8月在ビルマ日本大使館勤務。ラングーン大学文学部にてビルマ語研修、1971年在ビルマ日本大使館3等書記官。1974年4月に外務省退職後、(株)大丸商務事業部ビルマプロジェクト担当。1987年大丸ヤンゴン支店支店長。2017年に天皇陛下より日緬友好促進につき叙勲。現在は(株)武蔵富装ミャンマー支店長。

(2022年8月号掲載)