5月25日~6月29日に発せられた法令一覧

5月25日~6月29日に発表された主な法令、通達等は以下の通りです。

・年次報告の懈怠を理由として、会社法に基づき、100社の会社の登録が抹消された旨の通知(5月25日、30日、6月3日、13日、20日)。(累計で45回目、合計4500社の登録が抹消されている)

・競争の促進とミャンマードメインの使用の促進のため、電気通信法に基づき、ドメイン等を付与する会社を追加している(3社から7社に増加)。(5月27日)

・輸出による外貨収入について、出荷(shipment)から6か月以内(2021年11月10日からは3か月以内)に外貨取扱銀行(AD Bank)の口座に入金するという規制に違反した企業137社について起訴され、その取締役について、ブラックリストに掲載されたとして、企業名、住所、取締役の氏名、身分証番号を新聞紙上で公開している。(6月3日)

・2020-2021会計年度における各政府機関から受領した情報に基づく建設関係会社のブラックリストを発表している。(6月3日)

・海外送金に際しての源泉税徴収の要否に関し、歳入局(IRD)の確認を必要としている。(6月9日)

・NUGの労働省と称する組織が、海外でミャンマー人労働者の調査を行い、OERC(OverseasEmployment Registration Card)というカードの発行を発表しているとして、以下の点を発表している。(6月9日)

ミャンマー人が海外で雇用されるためには、海外雇用法に基づき労働省が発行したOWIC(Overseas Worker Identifi cation Card)が必要であり、これを所持している場合のみミャンマーから出国することができる。
(NUGの)OERC を所持した者は、ブラックリストに掲載され、ミャンマーからの出入国が禁止され、法的措置が執られる。
海外で(NUGの)OERC の申請又は所持が判明した者は、ブラックリストへの掲載、パスポートの無効化、国籍のはく奪、ミャンマーへの入国禁止がなされる。

・SNS 上で、未認可決済のMobile Pay/MobileWalletサービス業者によるユーザー間の送金、購入決済が可能であるとの情報が掲載されているが、中央銀行による認可がなされていない業者によるこれらの行為については、体系的な監督の欠如により重大な損害を生じさせる恐れがあると指摘し、これらの未認可決済業者の行為については、金融機関法により罰金若しくは禁固又はその双方の対象になると通知している。(6月10日)

・CRPH やNUGに扇動されたPDF 等によるテロ行為は、ミャンマーの安定を阻害し、民主化の実現を妨げるとして、PDF 等の組織が武装解除、降伏して通常の市民生活に戻ることを歓迎すると表明している。(6月12日)

・少数民族武装勢力に対し、ミャンマー国民全体の利益となる平和国家樹立のための和平プロセスに参加することを提案し、6月30日までに代表者等を届け出るように求めている。(6月14日)

・救援便帰国者、国境での入国者、国際商業航空便での入国者に関するCOVID-19関係の規制(6月15日)。

・禁止行為の具体化、市民の保護強化等を内容とする反人身取引法(The Anti Traffi cking in Persons Law)の改正(6月16日)

・COVID-19からのビジネスの経済活動の遅延の回復、輸出入物品の体系的な管理、輸入行為の外貨の使用の規制を目的として以下の物品について、輸入ライセンスの取得が不要とされていた物品について、ライセンスを順次要求することとしており、第6弾として、2022年5月2日より輸入ライセンスを要求する5101品目(10桁HSコード)(6桁HS コードでは2447品目)を発表している。(6月17日)

・綿花及び綿について、重要物品に指定し、投機目的の貯蔵や値上げを禁止し、違反者に対しては、基幹物品・サービス法(The Essential Suppliesand Services Law2012)に基づく措置が執られるとしている。(6月23日)

・建設省の(入札等のための)登録建設業者の登録状況についてのアップデート(6月24日)

・COVID-19に関する各種措置(解除されたものを除く)の7月31日までの延長(6月29日)

※可能な限り全ての法令を網羅する努力をしておりますが、全ての法令を網羅していることを保証するものではありません。また、速報として分析を行っているもので、内容について訂正させて頂く可能性がございます。
※上記内容は現政権の発表内容をお伝えするものであり、弊所及び当職らの評価を含むものではありません。※日付については、原則として公表日を記載しておりますが、現下の状況に鑑み、数日の誤差が発生する場合があります。

(2022年8月号掲載)

甲斐史朗(かい ふみあき)
TMI総合法律事務所パートナー(ミャンマー担当)。日本国弁護士。早稲田大学政治経済学部政治学科、ロンドン大学LLM卒業。2015年1月よりヤンゴンオフィス駐在。