ミャンマー・日本間の往来が始まりました
 5月から、ミャンマーと日本をつなぐ商用便が再開しました。ミャンマー・日本間往復へのハードルが少しずつ低くなってきています。日本からミャンマーに入国する場合、ワクチンの(2回)接種証明書を所持している方は、PCR陰性証明書の提示は不要です。

 接種証明書を所持していない方でも、ミャンマー到着前48時間以内の新型コロナPCR陰性証明書を所持していれば、入国可能となりました。ミャンマー入国後、RDT検査が行われますが、ワクチン証明書のある方は、陰性ならすぐに入国が可能です(接種証明書のない方は、3日間隔離)。ミャンマー当局の指定する保険の加入と、引き続き有効なVISAは必要です。新しい情報は、在ミャンマー日本国大使館HPでチェックされることをおすすめします。

 また、渡航の予定がある方は、たびレジの登録も行っておくとよいでしょう。

 日本からのご来緬者の方もぐっと増えてきて、往来が少しずつ再開していると感じます。観光ビザも再開されましたが、日本から来緬する日本人の方の渡航目的のほとんどは、ビジネス関連です。内容は様々で、休眠撤退の準備に来緬する方、コロナ・政変で滞っていた現場をてこ入れにくる方、これからさらに増強してビジネスを骨太にする準備に来る方。同じ業界でも会社が違えば、コンディションも違います。それぞれの思いやミッションを持ち、緊張感と感慨を胸にご来緬される方が多いように見受けられます。

 ビジネスの情報は、公的機関、コンサルティング会社、法律事務所、会計事務所などに現状を聞いたり、現地在住者や同業者からの情報を得たりすることも有効ですが、特に困難が生じた場合など、JETROにご相談するのも、非常に有用です。JETRO内には、投資アドバイザーの方もいらっしゃいます。

 また、DICA(Directorate of Investment and CompanyAdministratio)の中には、引き続き、日系企業の進出をサポートするジャパンデスクが設けられており、専任のアドバイザーの方も常駐されています。

 金融問題については、引き続き困難な状況が続いています。日本からの来緬者の方の中でも、現金の持ち込みをされる方が多く見られます。現金の持ち込みについては、到着時に申告を行うことで、可能です。しかし、資本金として使用する場合は、海外からの銀行送金によらなければなりません。後々のオフショアローンや、清算時など、資本金の着金を示す銀行のcreditadviceの提出が求められる場面があります。ご留意ください。

 先日の中央銀行の説明により、外資比率10%の外資企業について、ドル預金残高の強制兌換は、適用除外となりましたが、国内外へのドル送金や、MMKからのドル両替による国外送金、ドル預金のドル引き出しなどについては、実質滞っている状況です。引き続き困難が予想されます。

 税務については、税務署の機能が通常化してきました。滞っていたタックスクリアランスも進み始めており、6月末期限の申告についても、特別な延長措置はありません。申告や納付の遅延について、延滞金が発生する事案が増えてきました。個人所得税の納付について延滞金が発生する事案も出ました。各期限について、ご注意ください。キャピタルゲイン申告や印紙税など、都度1カ月で申告納付を行わないものについて特に気を付ける必要があります。資産の売却や契約の締結など、予定されている場合は、これらの税金についての申告納付についてもあらかじめスケジュールに入れておきましょう。

(2022年7月号掲載)

執筆者プロフィール

若松裕子
Japan Outsourcing Service Co., Ltd.(税理士法人Right Hand Associates)ヤンゴン事務所長・税理士。
2014年よりミャンマー駐在。中小企業から上場企業、ミャンマー国内法人まで幅広く事業をサポート。趣味は坐禅。