今月のKEY PERSON

Yangon Japan Medical Centre 井上聡 院長

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待ちに待った日本人医師が常駐するクリニックが、ヤンゴン市内のバハンに開業した。
あらゆるサービスを日本語で対応し、安心感は抜群。
キャリア36年を誇る井上院長にサービス内容や今後の展望を語ってもらった。

“YJMCがあるので安心” 日本人医師常駐のクリニック

8年かけてようやく開業
内視鏡検査が可能な医院

ミャンマー在住の邦人が待ちかねていた日本人医師が常駐するクリニックがついに誕生。今年8月、正式に日本人医師に免許が交付されたクリニック「Yangon Japan MedicalCentre」(YJMC)だ。

 YJMCは、神奈川県央地域の保健、医療、介護、福祉を38年間支えてきた医療グループの社会医療法人社団・三思会が運営するクリニック。海外進出はミャンマーが初であり、理念の「社会に貢献する法人」「信頼される法人」「誇りと責任を持てる法人」を実現すべく、計画より8年、ようやくこの地で開業に至った。

 そもそも日系クリニックの前例が少なかったミャンマーにおいて、同院が日本の医療機関として初のミャンマー投資委員会(MyanmarInvestment Commission:MIC)による認可を取得。その後のクリニックライセンスや日本人医師のライセンス手続きに予想よりも多くの時間がかかったが、今年8月にようやく医師免許が交付され、晴れて日本人医師の存在をPRすることが可能となった。ミャンマーでの医療に対する在住者の不安は大きく、日本人医師の存在自体が付加価値だと言えるだろう。

 院長を務めるのが、キャリア36年を誇る井上聡医師。慶應義塾大学医学部卒業後、研修医を経て、米国コーネル大学に留学。帰国後、各病院で消化器科医長や外科部長、さらに慶應義塾大学医学部専任講師を務め、2016年よりマレーシアで勤務後、18年に来緬。消化器内視鏡専門医、指導医でもある。

 「内視鏡検査は、多くの人がこれまで日本やタイ、シンガポールで受けていたと聞きます。私は30年以上、そうした検査をしてきましたので、わざわざ帰国し、禁食して検査を受けなくても、ヤンゴンで気軽に受けていただければと考えています」。

健診、予防接種にこだわり
日本語対応なので安心

 健康診断に関しては通常の採血、レントゲン、心電図だけではなく、呼吸機能検査、骨密度検査、聴力検査、眼底、眼圧検査までカバーし、日本と同等の健診を受けられる。また、それらをオンラインで電子カルテにつなぎ、ほとんどの結果が1時間程度で出るため、その日のうちに症状と対処法を日本語で確認でき、さらには子宮がん、乳がん検診といったことも可能。井上院長は「予防接種にもこだわり、ミャンマーで入手できるほとんどの種類を揃えています。日本で2回接種してきたものの、3回目が完了していない、といったケースもご相談ください」と話す。

 ミャンマーというお国柄からか、多い症状が発熱、腹痛・下痢であり、最近流行しているインフルエンザでは1日に4人も診断したことがあった。また、雨季には、蚊を媒介としたデング熱やチクングニア熱の患者も増加傾向のため注意が必要。「デング熱などは重症化した場合、タイに搬送するケースが多いですね。日本に帰国しても、そもそも症例が少ないため対処法も十分ではないので」と井上医師。

 緊急を要する事態にも迅速に対応できるのも強みの一つ。というのは、同院ではラボを設置しているため、ほとんどの結果がすぐにわかる。ラボのないクリニックでは、病気の特定に時間がかかるため、重症化するケースも少なくない。人に感染する病気の場合はさらなる被害が拡大する。また、ミャンマー人医師が小児科を担当しているため、子どもの診察もできるという。「局所麻酔を使い、オデキを取るくらいの手術や傷をきれいに縫うなどの治療もできますよ」と井上院長。

 日本人の看護師が常駐し、受付から会計までをすべて日本語で行い、あらゆる日系の旅行保険に対応しキャッシュレスサービスも可能、手続きも同院で済ませることができる。入院には対応していないが、重症のときは、タイや日本の治療先に紹介状を書き、段取りしてくれるため安心して相談できるのがうれしい。土曜日(午前中)の診察も行っている。

 井上院長は「『YJMCがあるのでミャンマーでの生活も安心』と言ってもらえることを目指します」と締めくくった。

井上 聡 [Inoue So]

Profile
1957年、東京出身。83年に慶應義塾大学医学部卒業後、医師免許を取得。同年慶應義塾大学医学部研修医として勤務、91年に医学博士号を取得し、翌年米国コーネル大学に留学。帰国後、各病院で消化器科医長や外科部長、慶應義塾大学専任講師も務めた。2016年、マレーシアのHSCジャパンクリニックに勤務後、18年4月に社会医療法人社団・三思会に入職し7月に来緬。YJMCの院長となる。消化器内視鏡専門医、指導医。