今月のKEY PERSON

NTT Communications Yangon Office Country Manager 岸 康浩 氏

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サクラタワーでのサービス提供を皮切りに、これまでいくつもの日系企業をサポートしてきたNTT Communications。
目覚ましいテクノロジーの発展が同社の事業をサポートし、益々の拡大が見込まれている。
カントリーマネージャーを務める岸氏に今後の展開を聞いた。

日本を代表する電気通信事業会社 安定、高品質なネット回線を提供

誰もが知る大手通信会社
世界110都市以上に拠点

 日本の電気通信事業体として、あまりにも有名なNTTグループの一角を担うNTTコミュニケーションズ。その歴史は古く、1952年に母体となる日本電信電話公社が設立、97年のNTT法(日本電信電話株式会社法)改正による再編として分割された。NTTの100%子会社として、1999年に同社が設立。長距離通信事業、フリーダイヤルなどの特殊付加電話サービス事業、インターネットサービスプロバイダ事業(OCN)をNTTから受け継ぎ、国際通信事業にも参入。スタッフは6250人を抱え、日本を代表する大手通信事業会社として知られている。

 世界40ヵ国以上、110都市以上に拠点を設置し、ネットワークサービス提供エリアは190ヵ国以上。ミャンマーには2010年から携わってきた。当時、民主化の選挙が行われる前、当時としては世界最大級のDDoS攻撃(サーバーに大量のデータを送りつけ、パンクさせること)が発生。その際、同社がDDoS攻撃の防御を当局から依頼され、無償で対応したのをきっかけに、この地と関わりを持つこととなった。

 2012年、ついに同社はヤンゴン支店を設立し、13年にはヤンゴン市内のダウンタウンにあるサクラタワーでインターネットサービス提供を開始。当時は、オフィスビルごとの限定的なサービスのみでしか行うことができなかったが、16年にNSライセンスを取得、より広範囲で営業活動を行えるようになった。「NSライセンスがなかった頃は、サクラタワーだけでのサービス提供でした。ただ、当時はローカルの通信会社であれば、ネットを導入させるまでに1、2ヵ月かかったこともありましたから、結果的に弊社が重宝されました。テナントにとってもネットは不可欠ですし、ヤンゴン市内にサービス拡大後は他のビルのお客様からも引き合いが増えてきました」と語るのは、2010年から前述したDDoS攻撃の対応にあたっていたという岸カントリーマネージャー。

 サクラタワーのテナントであれば、早ければ即日でネットの開通が可能。ローカルに比べ、その圧倒的なスピードが差別化となり、事業も徐々に成長してきた。現在、顧客の6割が日経企業で、外資3割、ローカル1割という内訳。近年、競合のローカルも安定的なサービスを提供しはじめているものの、まだまだジャパンクオリティでの優位性を保っているという。

トランザクションの増大で高まるセキュリティの重要性

 例えば、「下り10Mbps」の契約であれば、同社ではそのスピードが確実に提供できるよう徹底している。日本と同様、使用状況を常にモニタリングし、何か異常が見つかれば、すぐに顧客に連絡。場合によっては現場まで駆けつけ、すぐに対処するというから安心はお墨付き。「この国では契約時の回線速度と実数が違うケースが半ば当然になっていますが、弊社では当たり前のことをできるように実践しています」。

 とはいえ、今でも突発的に電信柱が倒れたり、停電することで不通になることも。日本と違い、深夜に回線工事をしないなど、日中のハプニング起こるが、「どうしてもネットがつながらないと困るというお客様の場合、別のキャリアも併用し、回線を2回線引くことで安定供給を可能にします」と岸カントリーマネージャーは説明する。

 2017年にTier3データセンターサービス、18年に海外拠点と国内拠点をシームレス、かつセキュアに接続するグローバルIP-VPNサービスを提供開始。これらは金融機関など高いセキュリティが不可欠な事業向けであり、他者から覗かれる心配のない安心の接続システム。コンプライアンスを重視する日系企業にとってはなくてはならないし、ミャンマー企業にも伸びていく可能性を秘めている。また、クラウドサービスも提供し、導入こそ少ないが、プライベートクラウドを検討する企業も出始めている。さらにはマンダレーでもインターネットサービスの提供を開始し、企業をサポートしていくという。「ミャンマーでは海外向けのインターネット接続帯域が伸びており、毎年2.5倍に通信量が増えています。弊社においては各国にある拠点の多さも強みですし、高い品質のサービスでグローバルにサポートできればと考えています」と岸カントリーマネージャー。

 スタートアップから金融システムまでインターネットはこの国の成長において不可欠であることは間違いなく、今後もトラフィックも増大していくことが見込まれる。日本を代表する通信会社の同社に課される責務は大きい。

岸 康浩 [Kishi Yasuhiro]

Profile
1972年、島根県出身。広島大学経済学部卒業後、1995年に入社。営業の後、ITエンジニアとして社内のNW、サーバ構築・管理を担当。NTT PCコミュニケーションズに出向、インターネットサービスプロバイダ、クラウドサービスなどに関わる。2008年、初駐在はアメリカ。海外向けインターネット接続サービスのアジア営業を担当し、10年よりミャンマー事業に携わる。2018年より現職