【TOP対談】ミャンマーの先輩に問う!

MYANMAR JAPON代表の永杉がミャンマーの第一線で活躍するリーダーと対談し、"現代ミャンマー"の実相に迫ります。

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第55回 Asia General Holding Co., Ltd. マネージングダイレクター キン・マウン・ミャッ氏

今回のテーマ現代ミャンマーに欠かせない電力関連のリーディングカンパニー

キン・マウン・ミャッ氏 [Mr.Khin Maung Myat]

Asia General Holding Co., Ltd.
マネージングダイレクター

1959年生まれ。82年にヤンゴン大学で理学学士を取得。94年にPeace Myanmar Electric社を設立。その後、変圧器や配電盤などを生産するAsia General社を立ち上げた。2014年にAsia General Holding を設立し、現在マネージングダイレクターを務める。また、UMFCCIやMIAの役員の肩書も持つ。

企業規模が拡大すれば慎重な経営が求められる
日本人の考えから学ぶことは多い

三菱電機のアドバイスで国内生産に踏み切る

永杉 本日は電力関連企業大手、Asia General Holding社のマネージングダイレクター、キン・マウン・ミャッさんにお話を伺います。それではまず、御社の業務内容をお話しいただけますでしょうか。

キン Asia General Holding は変圧器、配電盤、スイッチギアを生産するミャンマーのリーディングカンパニーです。グループ会社のAsia General Transformer社で変圧器を、Asia General Electric社で配電盤とスイッチギアを生産しています。

永杉 会社を設立したきっかけと、社歴をお話しください。

キン 元々1994年に、Peace Myanmar Electric という会社を立ち上げました。この会社は三菱電機の代理店として、エアコン、冷蔵庫、モーター、ファン、ファクトリーオートメーション、ブレーカー、送変電システム、LED、メディカルプリンターなどを販売していました。現在、Peace Myanmar Electric Holdingと社名変更しましたが、創業以来23年間三菱電機とお付き合いしています。
以前は配電盤やスイッチギアも取り扱っていたのですが、日本製品を輸入することはコスト面で折り合いがつきませんでした。そこで三菱電機から、ミャンマー国内に工場を建てて生産してはどうかとアドバイスをもらったことがAsiaGeneral 設立のきっかけです。配電盤やスイッチギアとともに、変圧器もあわせ、2008年から生産を開始しました。日本やヨーロッパから部品や材料を輸入し、ミャンマーで組み立てを行っています。 2014年にホールディングス化を実行し、私はPeace Myanmar社から出向する形でマネージングダイレクターを務めております。従業員数はAsia General Transformer社が600名以上、Asia General Electric社は200名以上、そしてPeace Myanmar社には950名以上が在籍しております。

永杉 Peace Myanmar社における役職はどのようなものでしょうか。また、キン社長はUMFCCI(ミャンマー商工会議所連盟)の役員でもありますね。これについてもお話しください。

キン Peace社ではエグゼクティブダイレクターを務めています。マネージングダイレクターはソウ・アウンという者が務めております。AG グループもPeace社も、取締役は選挙で決定し、開かれた経営を行っています。
UMFCCI は以前から会員でしたが、2016年から役員を務めています。また、Myanmar Industries Association(MIA)でも役員として活動しております。

将来は輸出も視野に1億ドル超の売上を目指す

永杉 業績好調なAsia General の経営戦略やビジョンをお聞かせいただけますでしょうか。

キン 経営をするにあたり、5つの基本戦略を掲げています。「電力産業をリードし続けること」「顧客優先であること」「外資との協業で新たな市場を開拓すること」「品質やサービス、スタッフのスキルを磨き続け、国際水準を維持すること」「スピーディーなビジネスをすること」です。
今後のビジョンについては、2020年に「EPC コントラクター」になることを目指しています。つまり、エンジニアリング(Engineering)、調達(Procurement)、建設(Construction)をワンストップでできる企業です。将来的にはミャンマー全土はもちろん、東南アジア、アジアへの輸出も視野に入れています。2015年度の売上は4,000万ドルでしたが、2020年の売上目標は1億2,000万ドルです。今後も他業種に手を広げるつもりはありません。あくまでも、変圧器、配電盤、スイッチギアという柱で勝負していきます。
私個人の考えですが、上場は現在のところ考えていません。我々にも準備が必要ですし、そもそもミャンマー人は株について興味も知識も乏しいため、時期尚早かと思います。

永杉 さて、ミャンマー経済全体についてお伺いします。経済発展の一方、インフレや所得格差が生まれています。お考えをお聞かせください。

キン インフレ、所得格差双方とも、経済をより発展させることが解決の道だと考えます。経済発展が実現すれば雇用も増えますし、賃金も上昇します。所得格差は縮まり、インフレにも耐えられます。税収入が増え、国もより発展するでしょう。大事なことは、広く国民のために雇用を拡大していくことです。

日本人の慎重さは長期的に見ればプラス

永杉 会社設立のきっかけになるなど三菱電機とのつながりが強いようですが、ほかに日系企業との取引はありますか。また、ビジネスを通して見えてくる日系企業や日本人の印象をお聞かせください。

キン 原材料の一部を新日鐵住金やJFE スチールなどから買い付けています。
ミャンマー人にとって、日本製品は馴染み深いものです。高品質な製品を作り続ける日本人や日本企業に対して、尊敬や憧れの気持ちさえ持っています。
日本人の仕事の仕方はとても慎重です。多くの日本人や日系企業はミャンマーでビジネスをするとき、まずはミャンマーの文化への理解を深めることから始めようとします。他国のように、目の前の利益にすぐに飛びつくということはしないのです。日本人のこの慎重さは、ときに我々ミャンマー人の理解の範疇を超えてしまうこともありますが、それでも長期的に見ればプラスだと私は考えます。仕事ぶりから学ぶことは多いですし、企業規模が大きくなればなるほど、スピードだけではなく慎重さも求められますからね。

永杉 キン社長が親日家であることは、インタビューを通して私の心へ温かく伝わってきました。今後も貴社の益々のご発展を祈念しております。本日はお忙しい中ご対応いただきありがとうございました。

永杉 豊[NAGASUGI YUTAKA]

MYANMAR JAPON CO., LTD. CEO
ビジネス情報誌「MYANMAR JAPON BUSINESS」、「MJビジネスバンコク版」、ヤンゴン生活情報誌「ミャンジャポ!」など4誌の発行人。英語・緬語ビジネス情報誌「MYANMAR JAPON+plus」はミャンマー国際航空など3社の機内誌としても有名。日本ブランドの展示・販売プロジェクト「The JAPAN BRAND」ではTV番組を持つ。ミャンマーの政財界や日本政府要人に豊富な人脈を持ち、ビジネス支援や投資アドバイスも務める。 一般社団法人日本ミャンマー友好協会副会長、公益社団法人日本ニュービジネス協議会連合会特別委員、WAOJE(旧和僑会)ヤンゴン代表。