【特集1】ODAでみるミャンマー未来予想図

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【特集1】ODAでみるミャンマー未来予想図


都市交通の青写真

 ヤンゴンの街を十字に走る都市鉄道、二重に巡る高速道路――。国際協力機構(JICA)は、2014 年に作成したヤンゴン総合都市交通計画(YUTRA)で、2035 年までのヤンゴン交通網整備の青写真を描いた。ヤンゴン当局などは、このマスタープランを参考に都市整備を進めている。
 YUTRA は増加する交通量を、自家用車に頼らず、公共交通機関の整備で乗り切る計画だ。まず、既存の環状鉄道を改良。道路の一部を専用路線にするバス高速郵送システム(BRT)を導入して住民の足を支える。同時に信号機を電子制御にして渋滞を緩和する。2025 年までには、高架と地下を走る都市大量高速輸送機関(UMRT)1号線をヤンゴン国際空港からダウンタウンまで整備し、内環状高速道路の一部を建設する。外環状の完成は2035 年以降になる。日本がヤンゴンの水道・電力も支援する。


 全国の交通網整備も、JICA が中心となってミャンマーの省庁横断的に作成した計画をもとに進められている。ヤンゴン―マンダレー間の中央南北回廊や、ASEAN との窓口になる東西回廊など5 つの基幹交通網を優先して整備する。全土の交通整備では、2030 年までに約48 兆Ks の資金が要るという。ミャンマー政府のほか、各国の援助や民間資金で賄うことが提言されており、日本の支援は今後も必要とされそうだ。
 日本は、2011 年の民政移管を機に、凍結していた対ミャンマー円借款を再開。2012 年度には約2000 億円、2014 年度も1000 億円近くに上る。またJICAは、2014 年度に技術支援などで380人の専門家を派遣。1000 人以上の調査団が訪緬している。

未来の「売れる」コメ生産へ、種もみ改良


 長靴を履き田んぼの中を歩いていたJICA 農業専門家の藤井知之さんが、ふと気づいたように1本の稲を抜き去り、あぜ道に投げ捨てた。「違う品種が混じっていました」。続いてミャンマー人技術者と議論を始める。
 藤井さんが支援するのは、コメ作りの根幹となる種もみの改良だ。ミャンマーではこれまで、種もみに多数の品種が混じってしまっていた。日本でいえばコシヒカリやササニシキなどが混じっているようなもので、成長の速さや収穫時期の違いで作業効率が悪いほか、収穫されたコメの品質も一定しなかったという。混入のない良質な種もみをつくることで、収穫量をあげ、付加価値の高いコメを生産、将来的には輸出競争力のある農業を目指す。
 藤井さんら3人の日本の専門家が各地の種もみ生産農場で指導し、技術者を育てる。藤井さんは「1粒の混入もあってはならないという気持ちを持ってほしい」と話す。
 特徴的なのは、マーケティングを担当する農業経済の専門家が参加していることだ。ミャンマーではこれまで、良質な種もみが少なかったうえ、種もみが食用に流用されるなどしてきちんと流通していなかった。良質な種もみの必要性を感じない農民も多いという。「農家にメリットを理解してもらわないといけない」と担当の三木俊伸さん。良質な認定種もみを使えば収穫量は20%増しになるという。モデル農場を作り、実際に農民に違いを見てもらう活動を行っている。

中澤慶一郎JICAミャンマー事務所長インタビュー

Profile
2015年3月に国際協力機構(JICA)ミャンマー事務所長に着任。現在のJICAの前身のひとつの海外経済協力基金(OECF)に就職後、インド駐在などを経験。アジア向けの円借款など分野のキャリアを持つ。2010年からJICA米国事務所長。北海道出身。

改革を進める限り、日本は援助していく

 ミャンマーが民主的で発展した国となることは、日本にとって重要なことです。日本の対外援助の長い経験で得た教訓は、受け入れ国が本気にならないと、援助をしても効果がないということでした。いま、ミャンマー政府は改革を進めています。機は熟しました。ミャンマーが民主化を進め、経済改革を推進する限りは、日本は援助を続けます。
 日本はミャンマー援助を全面展開している状況です。中でも、インフラ整備と人材育成が二本柱です。私たちは援助の質にもこだわっています。物づくりが発展しないと成長しないので、インフラを作るだけでなく、運営の技術も教えています。小学校の全教科のカリキュラム作りや、法制度支援などソフト面のインフラも支援していて、50 人を超える専門家がミャンマーの官庁で働いています。
 官民連携も進めています。ティラワ経済特区(SEZ)が良い例でしょう。工業団地は民間主導で行いますが、効率的に許認可を進めるワンストップサービスの部分をJICA が支援しています。ティラワ周辺の発電所なども手掛けています。

 ヤンゴンのインフラ整備では、経済活動を止めないまま工事を進めることが必要になりますし、歴史的な建造物も多く配慮が求められます。こうした点では、電車を一切止めることなしに渋谷駅の工事をしてしまうような日本の技術はとても役に立ちます。
 日本は切れ目のないシームレスな支援を大切にしています。洪水支援では、緊急で毛布やプラスチックシートを送りましたが、中長期の復興の段階になると、防災教育などソフト面での取り組みも必要になるでしょうし、治山治水という課題も出てきます。日本にはそういった長期的視野の支援も可能なのです。

Q. 日本は財政赤字で消費税も上げなきゃいけないくらいなのに、どうしてミャンマーにはそんなにたくさん援助しているのですか?

A. 確かに、日本のODA 総額が減っているなかで、ミャンマーへの援助は増えています。理由のひとつは、ミャンマーは今まさに援助を必要としているという点です。民政移管で改革の機運が出てきたからこそ、効果的な援助を行うことができます。一方で日本の外交から見ると、中国が「新興ドナー」として台頭している現状があります。太平洋諸国などでは、中国は経済援助を通じて影響力を増しています。地政学的に重要で、日本と歴史的な縁の深いミャンマーに対して、政治的な影響力を確保したいという日本側の思惑があります。また、日本企業にとっては、ティラワSEZ の開発や、知的財産法など法整備が進むことで投資環境が整えば大きなメリットになります。

Q. ODA は本当に役に立っているのですか?

A. ミャンマーでは、1950 年代からの戦後賠償で建設されたバルーチャン水力発電所が現在でも稼働しているなど、かつて日本が援助した施設を大切に使ってもらっています。また、鉄道の信号機では古い日本製が現役で使われていて、日本の技術は関係者に高く評価されています。

 日本の援助の特徴は「相手国と一緒になって作り上げていく」という点です。例えば法整備支援にしても、欧米の支援では、専門家が法案や制度の案を作成して終了というケースが多いのに対し、日本の専門家はミャンマーの関係者が納得するまで議論を重ねます。教育省のカリキュラム改訂や、ビジネス関連法の改正など国の根幹にかかわる部分で日本の専門家が重用されているのは、この様な姿勢が評価されているのだと思います。
 ただ、こうした事実が十分に知られていないということは問題です。納税者の意識も高まっていますので、これまで以上の説明責任が求められます。また、ミャンマー国内でもODA による急激な変化には批判の声もありますから、丁寧な情報発信が必要でしょう。

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